血管内皮機能とは?動脈硬化の進行を知り・回復させる方法

  • 2022.03.04
血管内皮機能

健康診断を受けたときに気になる血圧やコレステロール値。これらは動脈硬化につながり、心血管疾患の原因になることが知られています。しかし、これらの値には個人差があり、同じ値でも動脈硬化の進展具合には、差が出る場合があります。

今回ご紹介する「血管内皮機能」は、測定できる医療機関が限られているためあまり知られていませんが、動脈硬化の進行度合いを正しく把握することのできる指標です。

そこで今回は、血管内皮とはどのようなものか、血管内皮機能を回復するにはどうしたらよいのかについて、解説します。

監修:さくら総合病院 循環器センター長 梅津 拓史 先生

目次
1.血管内皮機能とは?
2.血管内皮機能が衰える原因
2-1.加齢について
2-2.高血圧、高コレステロール、高血糖
2-3.生活習慣について
3.血管内皮機能を回復・改善させるには?
4.血管内皮機能をサポートするサプリメントとは
5.まとめ

血管内皮機能とは?

血管内皮は、血管の最も内側にある一層の細胞層です(図1)。全身の血管内皮の総重量は、肝臓にも匹敵します。また、総面積はテニスコート6 面分、一列に繋げると10万Km(地球2 周半)にも相当する、ヒト最大の内分泌器官です1)

図1. 血管の構造

血管内皮は、体に有益な成分(生理活性物質といいます)を作り出したり、血管内に放出したりしています。その生理活性物質の一つに、NO(一酸化窒素)というものがあるのですが、NOには「血管を広げる働き」「血栓(血の塊)の形成を防ぐ働き」「血管壁が厚くなるのを防ぐ働き」があります2)

そのため、血管内皮細胞の働きが低下してしまうと、血管が広がらなくなり、血栓ができやすくなり、その結果、血管壁が厚くなってしまい、動脈硬化と呼ばれる状態に進展してしまいます。そして、その病状が更に悪化すると、心筋梗塞や脳梗塞などの重篤な疾患が引き起こされてしまいます(図2)。

以上のことから、血管内皮機能の低下を防ぐことが、健康を維持する上で非常に重要であることがお分かりいただけたでしょうか。

図2. 動脈硬化のプロセス

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血管内皮機能が衰える原因

血管内皮機能が衰える原因は加齢や生活習慣など、さまざまなものがあります。今回は加齢、生活習慣病、生活習慣の影響についてご紹介します。

加齢について

血管内皮機能は、加齢によって低下するという報告があります。健常な日本人の年代別の血管内皮機能を、flow-mediated dilation(FMD)という検査方法を用いて、調べた研究があります。FMDは血流を低下させた状態から増やした時の血管拡張度(%)のことで、6%以上が正常であり、値が低下するほど血管内皮機能が低下していることを示します。FMDの値は年代が上がるにつれて低下する3, 4, 5)ことが報告されています(図3)。

図3. 健常な日本人における年代別のFMDの変化
※複数の文献3, 4, 5)からの推定

>関連情報:心疾患・脳血管疾患はなぜ起きる?血管の柔軟性維持のために重要な生活習慣とは

高血圧、高コレステロール、高血糖

血管内皮機能は、高血圧、脂質異常症、糖尿病、メタボリックシンドロームなどの生活習慣病によっても低下することが知られています。いずれも動脈硬化の危険因子として知られる病態であり、動脈硬化の起点となる血管内皮機能へ影響を及ぼします。

たとえば、高血圧患者では、FMDが正常血圧者と比較して低下していることや、FMDの低下の程度が、血圧が上がるほど大きくなることなどが報告されています6, 7)。また、脂質異常症が存在する場合は、血中のLDLコレステロールが増加すると、血管内皮細胞からのNO産生を低下させる6, 8, 9, 10)と言われています。糖尿病の場合にも、酸化ストレスの亢進等が原因となり、血管内皮細胞の障害が生じます6, 11)

>関連情報:血糖値の仕組み・血糖値を改善する成分

生活習慣について

血管内皮機能は、塩分の過剰摂取、運動不足、喫煙などの生活習慣によっても低下すると言われています6)

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血管内皮機能を回復・改善させるには?

血管内皮機能を回復させるには?

加齢や生活習慣病などにより、一度衰えてしまった血管内皮機能は、回復することはできないのでしょうか?そんなことはありません。生活習慣を改善することで、回復させることが可能です。

例えば、食塩摂取制限は血管内皮機能の回復に効果があると言われており、肥満正常血圧者に減塩食を2週間摂取させた研究では、減塩していない食事を摂取した場合と比べ、FMDが増加したという報告があります12)

また、食塩摂取制限以外にも、適度な有酸素運動、減量や禁煙などの生活習慣改善により1)、血管内皮を障害する原因を取り除くことで、内皮機能を回復させることができます。

血管内皮機能の低下は動脈硬化の起点となるため、悪化して血管壁が厚くなったり、血栓ができたりしてしまう前に、早め早めに対処する必要があると言えます。

>関連情報:血管ケア・血流ケアがもたらす全身の健康

血管内皮機能をサポートするサプリメントとは

血管内皮機能をサポートすることが可能なサプリメントは、血管の健康を維持し、血流を改善するためのサプリメント・補助食品です。

これらのサプリメントは、血管の柔軟性を保つ成分や、血流をスムーズにする成分を含んでいます。例えば、アルギニンやシトルリンなどのアミノ酸は、血管を広げる作用があり、血流改善に役立ちます。

また、ビタミンEやオメガ3脂肪酸などは、血管の健康をサポートする成分としておすすめです。

これらの成分を含むサプリメントを選ぶことで、血管内皮機能の維持に役立つでしょう。健康的な血管は、全身の血流をスムーズにし、心臓病や脳血管疾患のリスクを低減します。血管内皮機能をサポートするサプリメントの選び方を知り、健康維持に活用しましょう。 またサプリメントの開発者の方は、ぜひこれらの特徴を踏まえた上で商品設計を検討することをおすすめします。

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まとめ

いかがでしょうか。血管の収縮、拡張をはじめとしたさまざまな作用を持つ、ヒト最大の分泌器官である「血管内皮」。この血管内皮機能が低下すると、動脈硬化発症の起点になります。

しかし、血管内皮機能は生活習慣の改善により、回復することが可能です。
重篤な循環器疾患に至る前に、生活習慣を改善し、血管内皮機能をケアすることが非常に重要であると言えます。

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【出典】
1) 血管内皮機能測定の意義, 心臓, 48, 476-479, 2016.
2) 梅津拓史,血管の専門医が教える『血流』をよくする最高の習慣,総合法令出版,2020.
3) Tomiyama H. et al., The Relationships of Cardiovascular Disease Risk Factors to Flow-Mediated Dilatation in Japanese Subjects Free of Cardiovascular Disease. Hypertension Research. 31, 2019-25, 2008.
4) Takuma M. et al., High-intensity resistance exercise with low repetitions maintains endothelial function. Am J Physiol Heart Circ Physiol. 315, 681-6, 2018.
5) Hirofumi T. et al., Relationships among Hyperuricemia, Metabolic Syndrome, and Endothelial Function. 24, 770-4, 2011.
6) 循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2011‒2012 年度合同研究班報告)血管機能の非侵襲的評価法に関するガイドライン
7) Iiyama K. et al., Impaired endothelial function with essential hypertension assessed by ultrasonography. Am Heart J, 144, 39-44, 2002.
8) Libby P. Inflammation in atherosclerosis. Nature, 420, 868-874, 2002.
9) Deanfield JE. et al., Endothelial function and dysfunction: testing and clinical relevance. Circulation, 115, 1285-1295, 2007.
10) Galle J. et al. Impact of oxidized low density lipoprotein on vascular cells. Atherosclerosis, 185, 219-226, 2006.
11) Yang G. et al. Novel mechanisms of endothelial dysfunction in diabetes. J Cardiovasc Dis Res, 1, 59-63, 2010.
12) Kacie MD. et al. Effects of a low-salt diet on flow-mediated dilatation in humans. Am J Clin Nutr, 89, 485-490, 2009.

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※1:日本製薬団体連合会ホームページ、医薬品等承認情報に基づき集計。調査期間:2016年1月1日~12月31日(当社調べ)
※2:消費者庁2023年1月20日発表情報より作成【許可取得実績数300件】
※3:消費者庁公開情報の製造受託を主たる業務とする企業の届出情報を基に、届出件数、独自エビデンス数を抽出・集計。(2022年8月31日時点、自社調べ)

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