実は怖い動脈硬化 メカニズムと関連疾患について

  • 2021.05.13

「動脈硬化」・・・よく耳にする言葉ですが、詳しく知らない方が多いと思います。動脈硬化は加齢と共に進行し、死因につながる疾患までも引き起こす危険な病変であり、決して侮ってはいけない血管の変化です。

今回は、動脈硬化によって引き起こされる疾患、動脈硬化のメカニズムについて解説します。

監修:さくら総合病院 循環器センター長 梅津 拓史 先生

目次
1.動脈硬化が引き起こす疾患
1-1.動脈硬化と心筋梗塞の関係
1-2.動脈硬化と脳梗塞の関係
2.動脈硬化が起こるのはなぜ?そのメカニズムを解説
3.まとめ

動脈硬化が引き起こす疾患

William Oslerが遺した「人は血管とともに老いる」という言葉が示す通り、加齢による血管系疾患のリスクは100年以上も前から知られています。中高年になってから起こる、気を付ければよいと誤解されがちですが、実際はなんと、0歳の時点ですでに主な動脈に硬化の初期病変がみられ、10歳前後から急激に進みはじめ、30歳頃になると完成された「動脈硬化」として現れるようになるといわれています1)

動脈硬化が進展すると「心筋梗塞」や「脳梗塞」など、突然死につながる非常に重篤な疾患を発症します。厚生労働省発表の65~90歳の年齢別死因(図1)によれば、男女ともに心疾患または脳血管疾患を死因とする割合は年齢とともに増加。女性では65, 75, 90歳の全年代で心疾患の割合が第1位となっています2)

図1. 死因別死亡確率(2010年)/※参考3)より一部改変

また、2018年における傷病別の医療費(図2)では、がんよりも循環器系疾患の方が比率が高く、男女ともに第1位となっています3)

図2. 傷病別医療費構成割合(2018年)/※参考4)より一部改変

動脈硬化と心筋梗塞の関係

心臓を覆うように流れる冠動脈において動脈硬化が進展するとプラーク(脂質が沈着したコブ)が生じ、これが破裂すると冠動脈内に血栓(血のかたまり)ができてしまいます。また、明らかなプラーク破裂がない場合も血管内皮細胞(血管の最も内側の細胞)の障害や欠損により、血栓が形成されることがあります。すると、血管の内腔が狭くなり、あるいは詰まってしまうことで、血流が途絶・心筋が壊死する「心筋梗塞」を発症します4)

動脈硬化と脳梗塞の関係

脳血管自体に動脈硬化が生じ、プラークが生じて破裂・閉塞することで発症するケース。首の左右を流れる頸動脈に動脈硬化が生じ、頸動脈のプラークからはがれた血栓が脳血管まで流れてきて詰まることで発症するケース。普段は症状が出ない程度の脳血流が残っている状態で、血圧低下・脱水・貧血・低酸素血症が生じ、虚血・閉塞することで発症するケースがあります5)

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動脈硬化が起こるのはなぜ?そのメカニズムを解説

日本語で「動脈硬化」と聞くと、「単に動脈が硬くなること」を連想してしまいますが、正しくは「血管が硬くなり、血管プラーク(粥腫)ができること」を指します。内膜の粥腫形成(atherosis)とともに中膜の動脈壁硬化(sclerosis)がみられるため、正確にはatherosclerosisといいます。

動脈硬化は、血管の最も内側にある細胞層である「血管内皮」の障害から始まります7)。高血圧・糖尿病・感染などによる刺激を受けると、血管内皮がダメージを受けます。すると、血管内皮を修復しようと白血球がどんどん集まり、内膜に潜り込み、マクロファージという細胞に変化します。すると、コレステロールが次々に取り込まれ、沈着することで動脈硬化は進行します(図3)6)8)

また、動脈硬化に関与する「危険因子」と呼ばれる条件を多く持つ人ほど、動脈硬化が加速度的に進行することが知られています。危険因子としては、脂質異常症・高血圧・糖尿病、喫煙・加齢・肥満といった因子が知られていますが、その中でも脂質異常症・高血圧・喫煙が特に重要で、3大危険因子とされています。危険因子を持つ場合、血管内皮の異常が引き起こされることが報告されています7)

図3.動脈硬化のメカニズム/※参考8)より一部改変

動脈硬化の発症の起点となる血管内皮は総重量が肝臓に匹敵し、総面積がテニスコート6 面分、全長が10 万km(地球2 周半)にも相当します。さまざまな生理活性物質を産生するヒト最大の内分泌器官であり、血管機能を制御する最も重要な器官と考えられています9)

血管内皮機能の低下は動脈硬化の発症に深く関与するため、血管内皮機能の維持が健康を維持する上で大変重要であると考えられます。

まとめ

いかがでしたでしょうか?動脈硬化は、心筋梗塞や脳梗塞といった致死率の高い疾患を引き起こす大変恐ろしい血管の変化であることが認識いただけたと思います。

動脈硬化は血管内皮の障害を起点として発症します。そのため、動脈硬化の予防には「血管内皮機能を低下させない」ことが大切です。血管内皮へのダメージは、高血圧・脂質異常症・喫煙などの危険因子を減らすことで軽減できるため、食事や運動・生活習慣をなるべく早く改善し、血管内皮をケアしていくことが非常に重要であると考えられます。

【出典】

1)頸動脈硬化症の初期病変に関する病理学的検討, 動脈硬化, 1988;16(4):565-571
2)4 死因分析, 厚生労働省
3)平成30年度 国民医療費の概況, 厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-iryohi/18/index.html
4)急性冠症候群ガイドライン(2018 年改訂版)
https://www.j-circ.or.jp/old/guideline/pdf/JCS2018_kimura.pdf
5)脳梗塞の分類, 阪大・脳循環グループ
http://www.osaka-njm.net/info/classification
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life10/04.html
6)e-ヘルスネット, 厚生労働省
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-082.html
7)酸化ストレスと動脈硬化, YAKUGAKU ZASSI, 2007;127(12):1997-2014
8)FMDとは, UNEX
https://unex.co.jp/fmd.html
9)血管内皮機能測定の意義, 心臓, 2016;48(4):476-479

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