ヘルスクレームの例は何がある?機能性表示食品届出の“注意点”と“抑えるべき3つのポイント”

  • 2021.01.20

機能性表示食品は販売前に、事業者が消費者庁に対して、国の定めるルールに基づき食品の機能性(有効性)と安全性に関する科学的根拠(エビデンス)などの必要事項を届け出ることが求められます。

※一般食品や健康食品は、機能性の表示(ヘルスクレームの表示)を行うことができません。

2015年4月にこの制度が施行されてから5年以上が経ち、これまでに3,000件を超える届出がなされ、多種多様な機能性表示が世に出てきました。

今回は、これまでに届出された機能性表示を振り返りながら、ヘルスクレームの例、機能性表示食品で言えること・言えないこと、そのキーポイントについてご説明します。

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目次
1.ヘルスクレームとは
2.これまでに届出されてきたヘルスクレーム
3.届出公開=ゴールではない 届出後の撤回リスク
4.機能性表示食品の届出を行う上でおさえておくべき3つのポイント
5.まとめ

ヘルスクレームとは

ヘルスクレームとは、有効性・機能性に関わる健康を強調する表示を指します。
機能性表示食品制度では、事業者の責任において消費者庁に「届出表示」として届出することでヘルスクレームの表示が可能となります。

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これまでに届出されてきたヘルスクレーム

機能性表示食品で可能な機能性表示の範囲は「疾病に罹患していない者の健康の維持及び増進に役立つ旨又は適する旨を表現するものである」と、機能性表示食品の届出等に関するガイドラインに記載されています。

具体的にはどのような表示が可能なのでしょうか。
これまでに届出された、機能性表示食品のヘルスクレームを見てみましょう。

カテゴリ 訴求内容
生活習慣 1)LDLコレステロールを下げる
2)LDLコレステロール酸化を抑制
3)血中脂質の酸化を抑制する
4)中性脂肪を下げる
5)HDLコレステロールを増やす
6)総コレステロールを下げる
7)中性脂肪の上昇を抑える
8)血糖値の上昇を抑える
9)肝機能酵素値の改善に役立つ
10)尿酸値を下げる
11)血圧を下げる
12)血管の柔軟性維持に役立つ
体脂肪 1)体脂肪を減らす
2)内臓脂肪を減らす
3)皮下脂肪を減らす
4)高めのBMIの改善に役立つ
5)脂肪を消費しやすくする
6)ウエストサイズを減らす
7)エネルギー消費を高める
1)ピント調節機能を維持する
2)目の潤いをサポート
3)コントラスト感度を高める
4)光刺激から目を守る
5)目の使用による首・肩・腰の負担を軽減する
身体機能 1)骨の成分の維持に役立つ
2)骨密度を高める
3)基礎代謝の向上をサポート
4)運動量の増進をサポート
5)筋力の維持・低下抑制に役立つ
6)歩行能力の維持に役立つ
7)バランス感覚を維持する
8)腰の不快感を和らげる
9)関節軟骨を維持する
10)関節の柔軟性、可動性をサポート
11)関節の違和感を緩和する
12)免疫機能の維持に役立つ
認知機能 1)記憶力を維持する
2)判断力を維持する
3)注意力を維持する
4)言語流暢性をサポート
5)視覚情報作業の効率を維持
6)空間認知力を維持する
7)倫理的思考力を維持する
8)脳の血流を改善する
肌、顔 1)肌の潤いを守る
2)肌の乾燥を緩和する
3)肌のバリア機能を高める
4)光刺激から肌を保護する
5)肌の弾力を維持する
6)むくみを軽減する
口腔環境 1)健康な歯ぐきを維持する
2)歯垢の生成を抑える
3)舌苔を減らす
4)唾液量を維持する
5)歯を丈夫で健康にする
生活の質
(QOL)
1)疲労感を軽減する
2)ストレスを緩和する
3)前向きな気分を維持する
4)睡眠の質を高める
5)おなかの調子を整える
6)腸内環境を改善する
7)便通を改善する
8)胃の負担をやわらげる
9)排尿にいく煩わしさを和らげる
10)末梢体温を維持する
11)末梢の血流を維持する
12)目や鼻の不快感を緩和する

(2020.12.25時点)

その数、なんと60種類以上。特定保健用食品で認められていた「LDLコレステロールを下げる」「体脂肪を減らすのを助ける」といった表示だけでなく、「ピント調節機能」などの目の機能、「関節の柔軟性、可動性をサポート」などの身体機能、「記憶力」などの認知機能、「紫外線刺激から肌を保護する」などの肌の健康、「歯垢の生成を抑える」などの口内環境、「疲労感を軽減する」などの生活の質(QOL)関連の機能……このように、多種多様な機能性表示が生まれています。

2020年の1年間に限ってみても、実にこれだけのヘルスクレームが新しく実現されています。

・肌の弾力「肌の弾力を維持し、肌の健康を守るのを助ける機能があることが報告されています。」
・排尿機能「トイレが近いと感じている女性の日常生活における排尿に行くわずらわしさをやわらげる機能があると報告されています。」
・顔のむくみ「一時的に自覚する顔のむくみ感や、脚(ふくらはぎ)のむくみを軽減する機能があります。」
・免疫機能「pDC(プラズマサイトイド樹状細胞)に働きかけ、健康な人の免疫機能の維持に役立つことが報告されています。」
・論理的思考力など「加齢によって低下する認知機能の一部である、記憶力(見たり聞いたりしたことを思い出す力)、空間認知力(物の位置、形、向きなどを正確に把握する力)、論理的思考力(筋道を立てて物事を考え、答えを導き出す力)、持続的注意力(注意を持続させながら、作業を続ける力)、ワーキングメモリー(作業に必要な情報を整理し、短期的に記憶する力)を維持する機能があることが報告されています。」
・エネルギー消費「日常生活活動時や運動時(3.5メッツ程度のもの)のエネルギー消費(カロリー消費)を高める機能があることが報告されています。」
・舌苔「舌苔を減らすのに役立ちます。」
・唾液量「唾液量を維持する機能があることが報告されています。」
・歯の健康「歯の再石灰化を促進し、歯の表面を改善してむし歯の原因となる酸に溶けにくい状態にすることで歯を丈夫で健康にする機能が報告されています。」
・血管の柔軟性「加齢とともに低下する血管の柔軟性(血管を締め付けた後の血管の拡張度)維持に役立つ機能があります。」

今後も、新たなヘルスクレームが生まれてくることが期待されます。

また、最終的なヘルスクレームとしては新しくなくても、以下のように作用機序を届出表示に入れることで、より成分の機能性がイメージされやすくなった例もあります。

「末梢の血管の抵抗を下げることにより、血圧を低下させる機能が報告されており、血圧が高めの方に適しています。」
「糖化ストレスを軽減することにより、肌の潤いを保持する機能のあることが報告されています。」
「善玉菌とよばれる腸内の酪酸菌を増やし、有用物質である酪酸を増加させることにより、腸内環境を改善することが報告されています。」

この場合、機能性表示食品に関する質疑応答集に記載されている通り「ヒトにおける作用機序について出典を明記する必要」がありますが、より消費者に伝わりやすい機能性表示にするための選択肢になるのではないでしょうか。

>「血糖値を下げる」機能性表示食品“バナバ”とは?

届出公開=ゴールではない 届出後の撤回リスク

一方で、届出後に問題が生じ、撤回に至ったとされる事例もあります。

例えば「歩行能力の改善」という機能性表示が、医薬品の表現と重なるため薬機法に抵触する恐れがあるとされ、撤回・届出表示を変更して改めて届出するという事態になりました。

機能性表示食品は特定保健用食品と異なり、国の審査を受けたものではないので「届出公開されたから大丈夫」とは限りません。つまり、「他社で届出公開実績のある表示だから、当社でも同様の表示が実現できるだろう」と安易に判断すると、足元をすくわれる恐れがあります。

「その機能性表示が言えるかどうか」を判断するためには、次の3つのポイントをおさえておくことが重要です。

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機能性表示食品の届出を行う上でおさえておくべき3つのポイント

機能性表示食品の届出表示を考えるキーポイントは3つ。

1.科学的根拠があるか
2.医薬品的表現でないか(意図的な健康の増強を標ぼうする表現でないか)
3.健康の維持増進にどのように役立つか

届出表示について不備指摘を受ける時は、大抵これらのいずれかを満たしていないと想定されます。

特に前例のないヘルスクレームでの届出を狙うなら、臨床試験や研究レビューを行う前の段階から、健康の維持増進にどのように役立つのか?医薬品的表現でないか?科学的根拠(評価指標など)はどういったものが適切なのか?と逆算して、入念に理論およびストーリーを構築していく必要があります。

まとめ

続々と新しいヘルスクレームが生まれている機能性表示食品は、とても夢のある制度ですね。一方で、その実現のためには科学的根拠の準備段階からの、入念な論理構築が必要です。

また「届出公開実績のある表示だから」と深く考えずに開発すると、足元をすくわれる恐れもあります。機能性表示食品の開発には、膨大な時間と費用を要しますので、適切なストーリーを描いて、そこから逆算した開発プランをいかにして設計するか、が重要なポイントといえます。

東洋新薬では、臨床試験の実施から届出まで一貫して行えるサポート体制を整え、お客様の要望にお応えいたします。売りたいもの、困っていることなどがございましたら、ぜひお気軽にご連絡ください。

【機能性表示食品のおすすめ関連情報】
>機能性表示食品 OEM開発シリーズ① 有効性・安全性のエビデンスとは?
>機能性表示食品 OEM開発シリーズ② 関与成分とその定量分析・定性分析について
>機能性表示食品 OEM開発シリーズ③ 商品の設計と製造について
>機能性表示食品 OEM開発シリーズ④ 義務表示とパッケージ記載情報について
>機能性表示食品 OEM開発シリーズ⑤ 消費者庁への届出について
>機能性表示食品 OEM開発シリーズ⑥ 最終回・まとめ

出典:
・機能性表示食品の届出等に関するガイドライン
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_claims/assets/foods_with_function_claims_210322_0002.pdf
・機能性表示食品に関する質疑応答集
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_claims/pdf/food_with_function_clains_190326_0003.pdf

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この資料では、機能性表示食品の開発において、消費者庁に届出・受理されるまでにぶつかりやすい「3つの壁」とその回避術をご紹介します。

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※1:日本製薬団体連合会ホームページ、医薬品等承認情報に基づき集計。調査期間:2016年1月1日~12月31日(当社調べ)
※2:消費者庁2023年1月20日発表情報より作成【許可取得実績数300件】
※3:消費者庁公開情報の製造受託を主たる業務とする企業の届出情報を基に、届出件数、独自エビデンス数を抽出・集計。(2022年8月31日時点、自社調べ)

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