機能性表示食品の「表示」を解説。記載義務や禁止事項とは
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- 2022.07.05
本記事では、機能性表示食品の「表示」をメインテーマに、義務表示とパッケージ記載情報を解説します。パッケージにはどのような表示が必要なのか、記載する際にどのようなことに気を付ければよいのか、について確認していきましょう。
機能性表示食品 OEM開発シリーズ
「機能性表示食品を開発、販売したい!」という場合、商品開発から消費者庁への届出、製造、販売までにさまざまなステップが必要です。そこでシリーズとして、本記事以外にも機能性表示食品OEM開発のポイントを解説しているので、合わせてご確認ください。
・機能性表示食品の「エビデンス」を解説 ~有効性・安全性の担保
・機能性関与成分とは?概要から分析方法まで解説
・機能性表示食品の商品開発について。設計と製造を解説
・機能性表示食品の「届出」を解説。事前準備から事後対応まで
*本シリーズは、消費者庁「機能性表示食品の届出等に関するガイドライン」に基づいています。
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_claims/assets/foods_with_function_claims_220401_0002.pdf
- 目次
- 1.機能性表示食品の義務表示:パッケージ(容器)に記載すべき情報
- 1-1.①「機能性表示食品」である旨
- 1-2.②届出番号
- 1-3.③届出表示
- 1-4.④1日あたりの摂取目安量・摂取の方法・摂取上の注意
- 1-5.⑤栄養成分表示
- 1-6.⑥機能性関与成分の含有量
- 1-7.⑦食品関連事業者の連絡先(電話番号)
- 1-8.⑧義務定型文 6文
- 1-9.⑨調理又は保存に関する注意事項
- 1-10.⑩補足:表示する文字サイズ
- 2.機能性表示食品の表示に関する注意ポイント
- 2-1.機能性表示食品の表示で禁止されていること
- 2-2.機能性表示食品では機能の表示ができない成分
- 2-3.関連法規の順守(食品表示法、健康増進法、景品表示法)
- 3.まとめ
機能性表示食品の義務表示:パッケージ(容器)に記載すべき情報
機能性表示食品の商品を手に取ると、パッケージ主要面にはある特定の文言が表示されており、裏面には文字がびっしりと記載されています。これは、一般食品に規定される内容に加えて、機能性表示食品には安全性と有効性の観点から「適正な表示による消費者への情報提供」が必要とされているためです。
パッケージ(容器包装)への表示については、食品表示法という法規によって規定されており、具体的には下図のような内容が表示事項として規定されています。
出所:「機能性表示食品」って何? – 消費者庁
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/about_foods_with_function_claims/pdf/150810_1.pdf
この機能性表示食品における義務表示において、知っておくべきポイントを以下で解説します。ただし、名称、保存方法、原材料名、内容量などの通常一般食品に共通する内容は省きます。
①「機能性表示食品」である旨
「機能性表示食品」であることが分かるように、主要な面に表示することが必要とされています。
②届出番号
消費者庁へ届出した番号のこと。消費者庁データベースにて、本番号で商品情報の検索が可能です。
③届出表示
この機能性表示食品、あるいは機能性関与成分に、どういった効果があるのかを表示したものです。
例えば「血圧を下げる機能があります」や「お腹の脂肪を減らすことが報告されています」など、エビデンスに基づいた機能性として消費者庁に届出した内容を表示します。
>機能性表示食品の「エビデンス」を解説 ~有効性・安全性の担保
④1日あたりの摂取目安量・摂取の方法・摂取上の注意
有効性が期待できる1日の摂取目安量、および摂取方法のことです。
また安全性の観点から、利用にあたっての摂取方法と取扱上の注意事項の表示が求められます。
⑤栄養成分表示
通常一般食品にも見られる表示ですが、機能性表示食品では「1日摂取目安量あたり」での含有量の表示が規定されています(通常一般食品は1食分や1個包装あたりなどの表示が可能)。
⑥機能性関与成分の含有量
機能性関与成分の有効量を示したもので、1日摂取目安量あたり関与成分がどれくらい摂取できるのか、がわかります。なお、製品中の含有量はこの値を満たす必要があるため、製品中の関与成分含量を分析し、賞味期限を通して保証される値である必要があります。機能性関与成分の詳細については、以下の記事も合わせてご覧ください。
>機能性関与成分とは?概要から分析方法まで解説
⑦食品関連事業者の連絡先(電話番号)
表示内容に責任を有する事業者の連絡先のことです。また、消費者からの問合せ先としての番号も兼ねるため、お客様相談室の番号を入れることが一般的です。
※機能性表示食品制度は日本の制度であるため、国内に設置された番号である必要があります。
⑧義務定型文 6文
消費者への注意事項として、下記6文すべての表示が必要です。
-1 | 食生活は、主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを。 |
---|---|
-2* | 本品は、事業者の責任において特定の保健の目的が期待できる旨を表示するものとして、消費者庁長官に届出されたものです。ただし、特定保健用食品と異なり、消費者庁長官による個別審査を受けたものではありません。 |
-3 | 本品は、疾病の診断、治療、予防を目的としたものではありません。 |
-4 | 本品は、疾病に罹患している者、未成年者、妊産婦(妊娠を計画している者を含む。)及び授乳婦を対象に開発された食品ではありません。 |
-5 | 疾病に罹患している場合は医師に、医薬品を服用している場合は医師、薬剤師に相談してください。 |
-6 | 体調に異変を感じた際は、速やかに摂取を中止し、医師に相談してください。 |
*-2は、届出表示と同一面に表示する必要があります。
⑨調理又は保存に関する注意事項
通常の保存方法の内容とは別に、特に注意が必要な場合に必要です。(例「熱湯の取扱いにはご注意ください」「抽出したお茶は保存せず、お早めにお召し上がりください」など)
⑩補足:表示する文字サイズ
上述の表示事項において、文字のポイント数にも規定があります。
表示可能面積がおおむね150cm2以上は8ポイント以上、150cm2未満では 5.5ポイント以上を遵守しましょう。
機能性表示食品の表示に関する注意ポイント
これまでご説明したように、機能性表示食品は原材料名や内容量など一般の食品でも見慣れた表示に加え、機能性表示食品では上記項目を追加して表示する必要があります。「パッケージが文字でびっしり埋め尽くされている」理由がお分かりいただけたかと思います。
ここからは、機能性表示食品の表示に関する注意ポイントとして、禁止事項と留意点をご紹介します。
機能性表示食品の表示で禁止されていること
機能性表示食品は医薬品ではありません。
また、科学的根拠を基に事業者の責任で消費者庁へ届出されたものとして、以下のような表現・表示は禁止されています。
- 疾病の治療効果や予防効果を暗示する表現
(例:糖尿病の方にお奨めです、花粉症に効果あり、風邪予防に 等) - 健康の維持及び増進の範囲を超えた、意図的な健康増強を標榜するような表現
(例:美白、肉体改造、増毛 等) - 科学的根拠に基づき説明されていない機能性に関する表現
- 消費者庁長官の評価・許可等を受けた、と誤認させるような表現
(例:消費者庁長官許可、〇〇省認可 等、国や公的機関が許可・承認したと誤認させる表現) - 機能性関与成分以外の成分を強調する表示(例:〇〇たっぷり、○○強化 等)
- 機能性関与成分ではない、栄養成分の機能を示す用語
(=栄養機能食品に認められている表示。例:ビタミンCは、皮膚や粘膜の健康維持を助けるとともに、抗酸化作用を持つ栄養素です。)
機能性表示食品では機能の表示ができない成分
以下の成分は、機能性表示食品の機能性関与成分として対象外とされており、機能の表示ができません。
これらは 「栄養機能食品」として、規定された量を含有していれば機能の表示が認められている成分になります。また、仮に栄養機能食品の条件を満たしていても、機能性関与成分の機能性と、栄養機能食品の機能性を同時に表示することはできません。
●脂肪酸(1種類) | n-3系脂肪酸 |
---|---|
●ミネラル類(6種類) | 亜鉛、カリウム*、カルシウム、鉄、銅、マグネシウム |
●ビタミン類(13種類) | ナイアシン、パントテン酸、ビオチン、ビタミンA、ビタミンB1、 ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、 ビタミンE、ビタミンK、葉酸 |
*錠剤、カプセル剤等の形状の加工食品にあっては、カリウムを除く。
関連法規の順守(食品表示法、健康増進法、景品表示法)
機能性表示食品は、関連法規に遵守した表示が求められ、表示事項に問題があると罰則の対象になる場合もあるため、注意が必要です。
- 食品表示基準に基づいた表示を行っていない場合、食品表示法違反として、行政からの指示や命令、罰則の対象となる可能性があります。
- エビデンスでいえる範囲を超えた表現は、健康増進法の虚偽誇大、又は景品表示法の不当表示に該当する恐れがあります。
健康増進法や景品表示法の詳細については、消費者庁からパンフレットが紹介されています。詳しく知りたい方は、目を通しておきましょう。
まとめ
いかがでしょうか。今回は機能性表示食品の「表示」をメインテーマとし、パッケージ(容器)における表示義務や禁止事項などについて解説しました。
機能性表示食品の届出件数は、2022年5月31日時点でおよそ5500件。その中で、東洋新薬で製造を受託した商品は200件以上あり、これらの多くの届出を支援しています。また、東洋新薬が届出した商品も90件を超えました。
東洋新薬では、これら多数の実績から得た届出にあたっての表示の考え方など、多くのノウハウを蓄積しています。機能性表示食品のOEM開発・届出でお困りごとがありましたら、ぜひ東洋新薬にご相談ください。
東洋新薬は健康食品・化粧品業界を陰で支えるODEM(ODM&OEM)メーカーとして、世界の人々の『健康と美』への期待に『価値』で応えていくことをミッションとしています。 本サイトでは通販ビジネスにかかわるすべての皆様に様々な情報をお届けしています。
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