コレステロールとは~高いとどうなる?下げ方は?
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- 2021.03.05
皆さんは「コレステロール」と聞いて、何を思い浮かべるでしょう?
「卵はコレステロールが高いから1日1個まで」「コレステロールが高いと動脈硬化になる」などなど…。概して「悪いもの」と認識されるコレステロールですが、私たちの身体の中でコレステロールはどのような役割を持っているかご存知でしょうか?
今回は、コレステロールの役割と、高いと何が問題なのか、そしてコレステロールを下げる方法について解説します。
- 目次
- 1.コレステロールとは?
- 2.血中のコレステロールの仕組み
- 3.コレステロールが高いと何が問題?
- 4.「LDLコレステロール」を下げる方法
- 4-1.食事由来のコレステロール、飽和脂肪酸の摂取量を減らす
- 4-2.サプリメント・健康食品の利用
- 5.HDLコレステロールを上げる方法
- 6.おわりに
コレステロールとは?
ご存知の通り、私たちの体は細胞でできています。その細胞の膜を構成する成分の一つであり、細胞の膜に弾力性を与える成分がコレステロールです。またコレステロールは、私たちが体の中でエストロゲン(女性ホルモン)などのホルモンを合成する際の原料でもあります。ですので、私たちの体にとってコレステロールは「なくてはならない成分」と言えます。
私たちの体は毎日の食事から300mg程度のコレステロールを取り入れ、また肝臓で600mg程度を生合成し、利用しています。なお、食事からの摂取が不足しても生合成で補うので困ることはありませんし、健康な方であればコレステロールを多く摂取しても生合成を押さえることで調節できるため、直ちに問題にはなりません。しかしながら、もともとコレステロールが高めの方は、食事からのコレステロールの摂取を控えることが重要になります。
参考:食品成分データベース(文科省)
血中のコレステロールの仕組み
食事から摂取したコレステロールは肝臓に集められ、肝臓で生合成したコレステロールと一緒に血中に放出されます。しかしながらコレステロールはそのままでは血液に溶けないため、「リポタンパク質」とよばれるリン脂質や中性脂肪、タンパク質で形成されるごく小さな球形の複合体として血中に放出され、末梢まで運ばれます。
肝臓から放出されたばかりのリポタンパク質は「超低密度リポタンパク質(VLDL)」と呼ばれ、コレステロール以外に中性脂肪を多く含んでいます。このVLDLに含まれる中性脂肪は脂肪組織や筋肉で分解されて利用され、VLDLはIDL(中間密度リポタンパク質)を経てコレステロールの比率が多い「低密度リポタンパク質(LDL)」に変化します。末梢の細胞はこのLDLに含まれるコレステロールをリポタンパク質ごと取り込んで、自らの細胞のコレステロールとして利用します。
図 肝臓からのコレステロールの放出と末梢組織での取り込み
また、肝臓からは「高密度リポタンパク質(HDL)」という別のリポタンパク質も放出されます。このHDLはLDLとは逆に、末梢組織からコレステロールを引き抜いて肝臓に戻すという「逆輸送」の働きを持っています。
図 HDLによる末梢組織からのコレステロール引抜き
これらLDLとHDLが私たちの健康に深く関与しています。健康診断では「non-HDLコレステロール*」「LDLコレステロール」「HDLコレステロール」が測定されますが、いずれも血中の各リポタンパク質が運んでいるコレステロールの量を表しています。
「non-HDLコレステロール」は170mg/dL以上、「LDLコレステロール」は140mg/dL以上、「HDLコレステロール」は40mg/dL未満であると「脂質異常症」と判断されます。
*「non-HDLコレステロール*」:血中の総コレステロールからHDLコレステロールを除いた数値
コレステロールが高いと何が問題?
では、コレステロールが高いと何が問題なのでしょうか。
中でも注目すべきは「LDL-コレステロール」です。LDLは末梢組織にコレステロールを運ぶ役割をもっていますが、その血中濃度が高すぎると一部が酸化して「酸化LDL」に変化します。酸化LDLは血管壁を傷つけ、さらにはマクロファージという生体内の異物を処理する白血球の一種に取り込まれ、コレステロールを抱えたまま血管壁に沈着することで動脈硬化の原因になると言われています。疫学的な調査でも、LDL-コレステロール濃度が高いほどリスクが高く、LDL-コレステロールが80 mg/dL未満と比較して140 mg/dL以上では、冠動脈性心疾患の罹患率が2.8倍になることが報告されています(出典1)。
一方で、HDLコレステロールは末梢組織や血管壁からコレステロールを引き抜く作用があり、動脈硬化に抑制的に働きます。そのため、逆にHDLは高いほど心血管疾患のリスクが低下するとの報告もあります。
このことから、一般的にLDL-コレステロールを「悪玉コレステロール」、HDL-コレステロールを「善玉コレステロール」と呼びます。
図 LDL(悪玉)及びHDL(善玉)コレステロールのはたらき
動脈硬化は心疾患や脳梗塞の原因にもなり、それらの疾患で日本人の死因の1/3を占めていると言われています。定期的に健康診断を受け、自身のコレステロールの数値をしっかり見ておくことが大切です。
「LDLコレステロール」を下げる方法
それでは、どうすればコレステロールの値を維持、改善することができるのでしょうか。
食事由来のコレステロール、飽和脂肪酸の摂取量を減らす
健康な人であれば一時的にコレステロールを多く摂取しても生合成量を少なくすることで調整できるため直ちに影響はありませんが、元来コレステロールが高い方は、コレステロールの摂取を控えることが推奨されています。高LDLコレステロール血症の患者では食事からのコレステロール摂取を200mg/日未満に減らすことが推奨されています。
また、バターなどの動物性脂肪や牛・豚などの動物性たんぱく質に多く含まれる飽和脂肪酸がコレステロールを上げる原因になることが示唆されています。したがって、それら動物性の脂肪やタンパク質の摂取を控えたり、植物性のものに置き換えたりすることでコレステロールを下げる効果が期待できます。
反対に、野菜や海藻などの「不飽和脂肪を多く含む食べ物」を積極的に摂取するなど、飽和脂肪と不飽和脂肪のバランスが取れた食生活を生活習慣に取り入れることで、コレステロールを下げていくことができます。
サプリメント・健康食品の利用
特定保健用食品や機能性表示食品の中にはコレステロールを下げる効果があるものがあります。例えば「キトサン」はカニなど甲殻類の殻から作られる機能性素材ですが、消化管内でコレステロールの代謝物である胆汁酸を吸着し、その排泄を促す働きでLDL-コレステロールを低下させる効果があることが確認されています(出典2)。また、「松樹皮由来プロシアニジン」も消化管内でコレステロールの吸収を抑制し、さらに胆汁酸の排泄を促すことでLDL-コレステロールを低下させることが報告されています(出典3)。
近年研究が進んでいる「乳酸菌」についても、今日では整腸作用だけでなくコレステロール抑制作用があることが明らかとなってきています。
東洋新薬では、この他にもコレステロール値を下げることが明らかになっているフランス海岸松の樹皮から抽出された機能性素材である「フラバンジェノール」を用いた商品開発を行っています。
>関連情報:悪玉コレステロール低減作用をはじめとした「フラバンジェノール」の機能性
>関連情報:健康食品OEM開発のヒント~メタボの予防・改善が期待される成分例と訴求ポイント
HDLコレステロールを上げる方法
多くの研究で、HDLコレステロールを上昇させるためには運動が有効であることが報告されています。特に有酸素運動が有効で、毎日30分間、週に3日の中強度の有酸素運動を継続することが動脈硬化の予防に有効であるとされています。また、適量の飲酒(日本酒で1日1合程度)であれば、HDLコレステロールが増加するため、脳血管障害・虚血性心疾患の発生率を低下させるといわれていますが、高血圧や肝障害のリスクが高くなりますのであまりおすすめできません(出典4)。
なお、健康食品では「リコピン」とよばれるトマトの成分にHDL-コレステロールを上げる効果があることが報告されており、機能性表示食品に応用されています。
おわりに
私たちのからだにとって必要不可欠でありながら動脈硬化の原因にもなってしまうコレステロール。健康的な生活を送るためには食事の見直しや習慣的な運動が基本ではありますが、サプリメントや健康食品も上手く取り入れて、コレステロールをコントロールする方法もございます。コレステロールが気になる方向けの商品開発のことなら、ぜひ東洋新薬へお問い合わせください。
出典1 :Low-density lipoprotein cholesterol and risk of coronary heart disease among Japanese men and women: the Circulatory Risk in Communities Study (CIRCS). Imano et al. Prev Med. 2011
出典2 :LDL-コレステロールが159mg/dL以下の成人男女に限定した再統計解析によるキトサン含有食品の血清コレステロール低減作用に関する検討. 宮元ら, 応用薬理, 2017.
出典3 :特にLDLコレステロールが140mg/dL未満の健常人に限定した統計解析による松樹皮抽出物含有錠剤摂取が血清脂質 (LDLコレステロール) に及ぼす影響 (無作為化二重盲検プラセボ対照群間並行試験). 浜ら, 応用薬理, 2017.
出典4 :e-ヘルスネット 「アルコールと高脂血症」(厚生労働省)
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