高齢者の「低栄養」「フレイル」とは~「日本人の食事摂取基準(2020年版)」を基に解説

  • 2021.04.09

急速に高齢化する日本。私たちの健康の維持・増進に深く関わる食事において、高齢者の「低栄養」や「フレイル」が、大きな問題となっています。そこで今回は、高齢者の「低栄養」と「フレイル」について、厚生労働省「食事摂取基準(2020年度版)」に沿って解説します。

目次
1.「低栄養」について
2.「フレイル」とは?
3.フレイルを予防するためには?
4.「日本人の食事摂取基準」(2020年版)
4-1.たんぱく質
4-2.カルシウム及びビタミンD
5.高齢者「フレイル」向け食品・サプリメントの開発
6.まとめ

「低栄養」について

人は加齢により、身体だけでなく生活環境も変化します。高齢者はさまざまな要因で低栄養になる可能性があると言われています。

例えば、一人暮らしで食事の準備が困難になる、認知機能の低下、食欲の低下、咀嚼・嚥下障害、消化管機能の低下などさまざまな要因が低栄養に結び付いてしまいます。

出典:
「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08517.html
「高齢者」
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586580.pdf

 
中高年以降は脂質や塩分の摂りすぎによる生活習慣病など「過栄養」がよく問題となりますが、高齢者は「低栄養」にも注意が必要です。
 
 

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「フレイル」とは?

フレイルとは「老化に伴う種々の機能低下を基盤とし、さまざまな健康障害に対する脆弱性が増加している状態」を指します。

「食事摂取基準(2020年度版)」では 1.体重減少 2.疲労感 3.活動度の減少 4.身体機能の減弱(歩行速度の低下) 5.筋力の低下(握力の低下)の5項目のうち、3 項目が当てはまれば「フレイル」とする定義が紹介されています。
 

 
高齢化社会で問題となるのが「要介護」の人口増加。「フレイル」は「健常状態と要介護状態の中間的な段階」とも言い換えられ、現時点では問題がなくとも、自立生活を送ることができない要介護になるリスクを常に抱えている状態であり、問題となっています。

また「フレイル」は低栄養やそれに続く「サルコペニア*」が要因の一つであり、高齢者では適切に栄養を摂取し、筋肉などの身体機能を維持することが何よりも重要であると言えます。

*サルコペニア:加齢による筋肉量の減少、及び筋力又は身体能力の低下がある状態

フレイルを予防するためには?

フレイルを予防するには、運動・食事・精神面でバランスよく対策する必要があります。

・適度な運動
ウォーキングや、スポーツへの参加など毎日の適度な運動はフレイルを予防する上で非常に重要です。

・社会活動への参加
フレイルの予防には、友人や知人との触れ合いや社会貢献、地域との関わりを維持することがとても重要です。

・バランスの良い食生活
たんぱく質・炭水化物・脂質・ビタミン・ミネラルの五大栄養素をバランスよく摂ることがフレイル予防には欠かせません。

>関連情報:シニアマーケット考察:高齢化社会の健康食品開発を考える

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「日本人の食事摂取基準」(2020年版)

「日本人の食事摂取基準」(2020年版)では、これまで述べた高齢者の「低栄養」や「フレイル」のリスクを考慮して、日本人の食事摂取基準が策定されています。策定の目的として従来の「健康の保持・増進」、「生活習慣病の発症予防及び重症化予防」に加えて「高齢者の低栄養予防・フレイル予防」が新たに追加され、たんぱく質、カルシウム、ビタミンDなどの栄養素の摂取基準にフレイル予防との関連情報が記載されています。

たんぱく質

高齢者はたんぱく質の合成能低下や低栄養などにより筋肉が衰えやすいため、適切な量のたんぱく質の摂取が重要です。筋肉を維持することで「サルコペニア」や「フレイル」を予防し、できるだけ自立した生活を目指すことができます。

実際に、高齢男性にたんぱく質摂取量が0.8 g/kg体重・日または1.6 g/kg体重・日の食事を10週間摂取させると、0.8 g/kg体重・日の群では筋肉量が減少した一方で、1.6 g/kg体重・日の群ではその量が維持できたことが報告されています。また、日本人の高齢者を対象とした複数の研究で、たんぱく質摂取量が少ない集団と比較して、多い集団は有意に「フレイル」のリスクが抑えられていることも報告されています。

食事摂取基準においてたんぱく質摂取の目標量は「エネルギー摂取量に占める割合」で示され、2015年版は18歳以上で13~20%と定められていましたが、2020年版では50~64歳で14~20%、65歳以上で15~20%に引き上げられています。

また、これらを1日当たりのたんぱく質の重量に換算すると、身体活動レベルがⅡ(ふつう)の場合、65~74歳の人は90~120g、75歳以上の人は79~105gと算出されます。図に年齢毎のたんぱく質の目標摂取量を示します。


年齢毎のたんぱく質の目標摂取量

なお、たんぱく質を多く含む食品としては、肉、魚、卵、乳製品、大豆製品などが挙げられます。高齢者の方は、たんぱく質を多く含む食材・食品を積極的に摂取することが推奨されます。また、最近では「たんぱく質10g」を簡便に補給できることを謳う加工食品が増えてきており、そういった商品も有用であると考えられます。

一方、高たんぱく質の食事は腎機能に悪影響があると言われているので、摂り過ぎには注意が必要です。

カルシウム及びビタミンD

カルシウムは骨の成分のひとつであり、カルシウムの摂取と骨粗しょう症に関する研究は数多くあることから「フレイル」に関係すると思われます。しかしながら、現時点で「フレイル」予防のための目標摂取量を設定するには、エビデンスが不足しているとされています。

ビタミンDは消化管からのカルシウムとリンの吸収を促進するはたらきがあります。また、ビタミンDは筋力維持にも役割を持ち、ビタミンD不足が転倒のリスクになることが報告されていますが、現時点ではカルシウムと同様、目標摂取量を設定しうるエビデンスが不足しているとされています。ただし、日照により皮膚でビタミンDが産生されることを踏まえて「フレイル」予防にあたっては日常生活で可能な範囲で適度な日照時間を増やすことが推奨されています。

高齢者「フレイル」向け食品・サプリメントの開発

これらのことから、高齢者の「低栄養」や「フレイル」に対して、たんぱく質を補給できる食品が求められていると言えます。たんぱく質と言えば「プロテイン」。主に筋肉増強を目的にトレーニングに励んでいる人が飲むイメージがありますが、今後は高齢者向けプロテイン需要があると思われます。また、たんぱく質そのものではなく、たんぱく質やアミノ酸の消化・吸収を助けるような素材・成分も「フレイル」の予防に一役買うことができるかも知れません。

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まとめ

いかがでしょうか。一口に高齢化社会と言っても「アクティブシニア」や「フレイル」など、さまざまな人たちがいます。それらの栄養学的な属性を理解した上での商品コンセプト開発が大切です。

シニア向け商品開発でお悩みの方は、ぜひ東洋新薬までお問い合わせください。

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※1:日本製薬団体連合会ホームページ、医薬品等承認情報に基づき集計。調査期間:2016年1月1日~12月31日(当社調べ)
※2:消費者庁2023年1月20日発表情報より作成【許可取得実績数300件】
※3:消費者庁公開情報の製造受託を主たる業務とする企業の届出情報を基に、届出件数、独自エビデンス数を抽出・集計。(2022年8月31日時点、自社調べ)

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