血管の柔軟性を維持するために重要なことは?原因や対策を解説

  • 2021.08.23
血管 柔軟性

令和元年(2019)人口動態調査による日本人の死因を確認すると、多い順にがん、心疾患、脳血管疾患と続きます。第2位と第3位の心疾患と脳血管疾患を合わせた数は、第1位のがんにも匹敵します。

これらの疾患は、血管が詰まったり、破れたりすることが原因となるもので、血管の柔軟性と大きく関係があります。このことからも、血管の柔軟性を健康な状態に保つことの重要さがよく分かります。今回は、そんな血管の柔軟性を維持するために重要なことをテーマに、原因や対策をご紹介します。

監修:さくら総合病院 循環器センター長 梅津 拓史 先生

目次

1.血管の柔軟性とは?
2.血管の柔軟性が損なわれる原因とは?
2-1.血管の柔軟性を損なう生活習慣①喫煙
2-2..血管の柔軟性を損なう生活習慣②運動不足
2-3.血管の柔軟性を損なう生活習慣③乱れた食生活
3.血管の柔軟性を維持する対策とは?
3-1.血管の柔軟性を維持する対策①喫煙量の減少
3-2..血管の柔軟性を維持する対策②運動習慣
3-3.血管の柔軟性を維持する対策③健康的な食習慣
4.まとめ

血管の柔軟性とは?

「血管の柔軟性」と言われてもいまひとつピンとこない方でも、「動脈硬化」という言葉はご存じのはず。その名の通り、血管のうち「心臓から全身に血液を運ぶ動脈が硬くなる」ことです。

本来、血管はしなやかで柔軟性があり、血液をスムーズに通すもので、これは血管が健康である状態といえます。一方、血管の柔軟性が損なわれ、血液が流れにくくなってしまう状態が動脈硬化です。動脈硬化は加齢、コレステロール、高血圧、肥満、生活習慣などの危険因子が重なることによって発症しやすくなると言われています1)

本記事では、この血管の柔軟性が損なわれている状態である「動脈硬化」の原因のうち、対策の余地がある生活習慣について注目してみます。

関連記事:動脈硬化が起こるメカニズムとは?心臓や脳の病気との関係も解説

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血管の柔軟性が損なわれる原因とは?

血管の柔軟性を損なう生活習慣①喫煙

危険因子の筆頭に挙げられるのが「喫煙」です。「喫煙と健康 喫煙の健康影響に関する検討会報告書」では、たばこと疾患等との因果関係をレベル1(科学的証拠は、因果関係を推定するのに十分である)からレベル4(科学的証拠は、因果関係がないことを示唆している)までの4段階で判定しています2)。たばことの因果関係でレベル1とされたものには、各種がんの他、血管の柔軟性と深くかかわる、虚血性心疾患、脳卒中、腹部大動脈瘤、および末梢動脈硬化症といった、循環器疾患が挙げられています。

レベル1 肺,口腔・咽頭,喉頭,鼻腔などのがん、虚血性心疾患,脳卒中,腹部大動脈瘤,末梢性の動脈硬化症、慢性閉塞性肺疾患、結核死亡など
レベル2 大腸,乳,前立腺などのがん、胸部大動脈瘤、気管支喘息の発症および増悪,結核発症など

たばこは、さまざまなルートで血管の柔軟性に影響を与えます。例えばたばこの煙に含まれるニコチンは悪玉コレステロールを増やし、善玉コレステロールを減らしてしまいます。動脈硬化の原因となる悪玉コレステロールを増やし、逆に動脈硬化を防ぐ働きをする善玉コレステロールを減らしてしまうので、2重に血管の柔軟性に悪い影響があるのです。

血管の柔軟性を損なう生活習慣②運動不足

運動をすると体が温まりますよね?これは発生した熱エネルギーが血液によって全身に運ばれるから。運動によって筋肉が収縮・弛緩することで血行が促進されるのです。ふくらはぎが “第二の心臓” と言われるのは、ここにその所以があります。

血行が促進されると、血流によって血管の内側の細胞(内皮細胞)に適度な刺激が加わります。すると細胞が活性化し、血管の柔軟性に重要な物質(一酸化窒素など)が放出され、その結果血管壁が広がり血液がスムーズに流れる様になるのです。

こうした直接的な血管への影響以外にも、運動には、消費エネルギーを増やすことで、肥満の予防や解消にもつながったり、血圧や血中脂質が正常に保たれやすくしたりするなど、血管の柔軟性を損なう他の危険因子(高血圧、脂質異常症)に対しても良い効果が期待できます。

血管の柔軟性を損なう生活習慣③乱れた食生活

毎日の食事も、血管の柔軟性に大きく影響を与えます。糖質や脂質、塩分過多の食習慣がある場合、動脈硬化の危険因子である肥満や高血圧などに繋がります。それはつまり、血管の柔軟性を大きく損なうと言い換えられます。

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血管の柔軟性を維持する対策とは?

血管の柔軟性を維持する対策①喫煙量の減少

喫煙が原因で血管の柔軟性を損なう場合の対策としては、お気づきの通り、喫煙量を減らすことです。

ニコチンに関していえば、ニコチンを含まない電子たばこに切り替えるという手も良いかもしれません。喫煙をされる方は、喉頭がん・肺がんをはじめとする各種がんだけでなく、循環器疾患のリスクも増大させることを意識して、まずは減煙に取り組みましょう。そして、いずれ禁煙を目指してみてはいかがでしょうか。

血管の柔軟性を維持する対策②運動習慣

対策としてオススメな運動は、“第二の心臓”ふくらはぎを活発に動かすジョギングや自転車などの「有酸素性運動」や、スクワットや腕立て伏せ・ダンベル体操に代表される「レジスタンス運動」です。

有酸素運動については絶対強度が2メッツ(安静時を1とした時と比較して何倍のエネルギーを消費するかを示す強度の指標)増加するごと、あるいは相対強度が10%増加するごとに、FMDが約1%単位で改善するといった知見があります3)

FMDとは血管内皮の機能を評価する指標で、健常値の目安は6%以上といわれていますので、1%単位での改善は大きい値です。強度が強いほど効果があるということですので、同じウォーキングでも速めのウォーキング、さらにはジョギング、エアロビクス、水泳など、自分に可能な範囲で高強度な有酸素運動に取り組んでみましょう。

一方、レジスタンス運動については、強度よりも頻度がよりFMDの改善に関係が強いといったこともいわれています。スクワットや腕立て伏せ・ダンベル体操の強度を上げるというのはなかなか難しいですし、そんなときは、実施頻度を週1回から週2回や3回にと、頻度を高めていくことが良さそうですね。

また、ストレッチも効果があります。体が硬い人ほど動脈硬化が進行しているという報告があり4)、1日1回15分のストレッチ運動を6ヵ月継続することで動脈硬化度を改善すること、逆にやめてしまうと6ヵ月後にはその効果が無くなり元に戻ることが示されています5)。継続が条件となりますが、有酸素運動やレジスタンス運動も無理と言う方は、ストレッチという方法も良さそうです。

血管の柔軟性を維持する対策③健康的な食習慣

一般社団法人日本動脈硬化学会は「The Japan Diet」という日本食を中心とした食事スタイルを提唱しています6)。これは「主食」「主菜」「副菜」「汁」といった日本食のパターンを推奨するもので、動脈硬化予防のための健康的な食様式として、以下のような食べ方を勧めています。

  • 肉の脂身、動物脂、鶏卵、清涼飲料や、菓子などの砂糖や果糖を含む加工食品、アルコール飲料を控える
  • 魚、大豆・大豆製品、緑黄色野菜を含めた野菜、海藻・きのこ・こんにゃくを積極的にとる
  • 精製した穀類を減らし未精製穀類や雑穀・麦を増やす
  • 甘味の少ない果物と乳製品を適度にとる
  • 減塩して薄味にする
  • 主食・主菜・副菜をそろえて、朝食、昼食、夕食を偏らずに食べる

合わせて注意したいのは、たんぱく質不足です。過度なヘルシー志向から肉の摂取を必要以上に避けてしまったり、糖質の多いインスタント食品の利用が増えたりしたことから、たんぱく質が不足してしまっている人も少なくありません。国民健康・栄養調査によると、戦後から増え続けたタンパク摂取量は1980~1990年代にピークを迎え、その後減少し、近年は1950年代と同程度の摂取量です7)。また、運動時に体内のタンパク質が分解されてエネルギー源として利用されてしまうたえ、食事だけで賄えない場合はプロテインを利用するのも一つの手です。

毎食バランスのとれた食事を整えるのは正直とても大変なことですが、まずは一日一食だけでも意識するなど徐々に改善してみてはいかがでしょうか。外食でメニューを選ぶ際に、肉より魚、野菜を多く、塩分・甘いもの・アルコールは控えめにといったことを意識するだけでも、一歩前進です。今日から変えていきましょう。

>関連情報:フラバンジェノールの血管柔軟性に対する有効性

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まとめ

いかがでしょうか。血管の柔軟性が損なわれる原因には日々の生活習慣もあり、喫煙、運動不足、乱れた食生活を紹介しました。

それに対する血管の柔軟性を維持する方法として、減煙・禁煙や有酸素運動・レジスタンス運動・ストレッチ、整った食事をご紹介しました。これらを継続することで、血管の柔軟性を維持・改善することができますし、逆に止めてしまえばまた元に戻ってしまいます。日々の生活の習慣にすることが大事ということですね。血管の柔軟性に良い習慣として取り入れてみてはいかがでしょうか。

また、血管の柔軟性に有用な食品もあります。商品開発をご検討の際はぜひ東洋新薬にご相談ください。

<出典>
1) 厚生労働省 e-ヘルスネット 動脈硬化
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-082.html
2) 令和元年(2019)人口動態統計(確定数)の概況(厚生労働省)
3) Ammar W. Ashor et al. Sports Med. 2015; 45: 279-296
4) Yamamoto K et al. Am J Physiol Heart Circ Physiol. 2009;297(4):H1314-8.
5) Shinno et al. Eur J Sport Sci. 2017; 17: 586-592.
6) 一般社団法人日本動脈硬化学会
7) 国立健康・栄養研究所
https://www.nibiohn.go.jp/eiken/kenkounippon21/eiyouchousa/keinen_henka_time.html

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※1:日本製薬団体連合会ホームページ、医薬品等承認情報に基づき集計。調査期間:2016年1月1日~12月31日(当社調べ)
※2:消費者庁2023年1月20日発表情報より作成【許可取得実績数300件】
※3:消費者庁公開情報の製造受託を主たる業務とする企業の届出情報を基に、届出件数、独自エビデンス数を抽出・集計。(2022年8月31日時点、自社調べ)

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