サプリメントOEM開発の基礎知識・代表的な企業事例・失敗から学ぶポイント

  • 2025.12.23

この記事で分かること

  • 自社ブランドサプリメントOEM開発の基礎知識と市場動向
  • 大手サプリメントOEMメーカー各社の特徴と強み
  • 品質管理、法規制対応を含む、サプリメントOEM製造の具体的なプロセス
  • サプリメント事業への新規参入における成功事例と失敗を避けるためのポイント

自社ブランドのサプリメントを開発したいスタートアップ企業、サプリメント事業への新規参入を検討中の企業のご担当者の皆さま。「製造や設備についての専門知識が不足しており、不安がある」とのお悩みはありませんか?

OEM開発は、そのようなお悩みを解決するための有力な選択肢です。サプリメント業界ではかなり前から、OEM(委託元ブランドによる受託製造)が広く活用されてきました。

日本国内のサプリメント市場は年々拡大を続け、2023年には1兆円を突破。それに伴い、OEM市場も成長を続けています。

そこでこの記事では、化粧品・健康食品メーカーなどブランドオーナー企業の商品開発ご担当者に向けた、サプリメントOEM開発の基礎知識から具体的な事例、さらには失敗から学ぶポイントまでを、詳しく解説します。

サプリメントOEM開発の市場動向と大手メーカー比較

国内サプリメント市場は、コロナ禍において健康維持への関心が高まったことなどから、成長を続けています。これに伴い、サプリメントOEM開発の市場も拡大傾向にあるというデータがあります。

サプリメントOEMメーカー各社は、対応が可能な剤形・仕様とその製造能力だけでなく、販売事業者の商品戦略に応えるための独自の素材や技術を持ち、それぞれ特徴を有しています。

国内サプリメントOEM市場の最新動向

国内のサプリメントOEM市場は、堅調な成長を続けています。矢野経済研究所の調査によると、2022年度の健康食品受託製造(OEM)市場は 1,674億7,000万円(対前年度比0.2%増)、2023年度は1,708億7,000万円(同0.2%増)と予測されています。

この成長の背景には、異業種からの新規参入が活発化していることが挙げられます。化粧品企業や小売業者、さらに広告代理店やECコンサルティング会社などがサプリメント事業に参入し、OEM活用が増加しています。

また、2020年前後に注目され始めたD2Cブランドの隆盛も、大きく影響しています。多くのD2C企業が製造をOEMメーカーに委託し、自らはブランド構築と消費者との顧客関係を深め、LTVを高める戦略を取っています。結果として、従来よりも製造が小ロット化し、多品種化ニーズも増える傾向となっています。

さらに近年では、広告手法の変化やモール販売の増加など、市場と消費者ニーズがさらに変化・細分化し、スピード感のある商品開発が求められています。そのため、サプリメント OEM企業は単なる製造委託先を超えた、戦略的なパートナーとしての役割も持ち始めています。

大手サプリメントOEMメーカーの特徴と、各社の強み

大手サプリメント OEMメーカーは、それぞれ独自の技術と強みを持ち合わせています。ここでは、2025年1月に設立された「一般社団法人日本健康食品工業会」の役員企業から、各社の特徴と強みをまとめます。

アピ

  • 健康食品のOEM分野で国内トップクラスの実績を誇る受託製造企業。
  • 原料開発から製剤設計、機能性表示食品の届出支援まで一貫対応し、錠剤・カプセル・ゼリーなど多様な剤形に対応。
  • 健康補助食品GMP認定工場で高品質・高付加価値な製品づくりを行っている。

東洋新薬

  • 青汁やプロテインなどの顆粒や打錠品が特に強み。
  • 独自素材や特許製法を活かした差別化提案に加え、国際的な認証であるNSF GMPを取得した工場で高品質な製造体制を構築。
  • 研究開発から販促支援まで一貫対応。
  • 機能性表示食品の届出もトップクラスの実績で、そのノウハウから多くの差別化提案を強みとしている。

三生医薬

  • ソフト・ハードカプセル、錠剤、顆粒など多様な剤形に対応する健康食品OEMメーカー。
  • 独自製剤技術と健康補助食品GMP認定工場での製造体制を備える。
  • 機能性表示食品の届出支援実績は業界トップクラス。
  • 専門チームによる開発支援で、差別化と制度対応を両立している。

AFC-HDアムスライフサイエンス

  • 健康食品・サプリメントのOEM分野で豊富な実績を持つ上場企業。
  • 健康補助食品GMP認定を取得した自社工場で錠剤・カプセル・ゼリーなど多様な剤形に対応し、原料調達から製造・品質管理まで一貫体制を構築。
  • 機能性表示食品や小ロット開発にも柔軟に対応し、科学的根拠に基づく製品提案力に定評がある。

アリメント工業

  • ソフト・ハードカプセル、錠剤、顆粒など多様な剤形に対応する健康食品の総合受託メーカー。
  • 健康補助食品GMP認定工場での製造と品質保証部による厳格な管理のもと、高品質な製品を安定供給。
  • 機能性表示食品やハラール製品にも対応し、研究開発力にも定評がある。
無料OEM 商品企画~製造の流れガイド~【健康食品・サプリメント編】

サプリメントOEMの導入プロセス

サプリメントOEM開発を成功させるためには、まずサプリメントの製造プロセス全体を知ることが必要です。企画段階から出荷まで、サプリメントOEM商品開発は具体的にどのように進むのか把握しましょう。また、安全で高品質な製品を確実に製造委託するために、品質保証についても知っておく必要があります。これらについて詳しく解説します。

企画から出荷までのOEM製造の流れ

サプリメントOEM開発は、企画から出荷まで、以下の段階を経て、進みます。

①企画

お客様からOEMメーカーに詳細な情報を共有いただきます。打ち合わせでは、商品イメージやターゲット層、商品製造に関する要望などを共有し、具体的な方向性を定めます。

②試作

決定した内容を元に、複数の試作品を作成し、調整を繰り返します。この段階で、商品の味や香り、溶けやすさなどの使用感を具体的に評価します。

③仕様決定

試作品が完成したら、包装資材や仕様を決めます。

  • チャック付きのアルミ袋は最近多くみられます。工程が少なく製造期間短縮に有効であり、通販においては配送コストの面でもメリットがあります。
  • 一方、高級感を重視する場合は化粧箱に入れる仕様にするなど、商品コンセプトに合った検討が必要です。

④製造

最終お見積り後に発注いただくと、原料調達、生産ラインへの組み込みなどの製造工程がスタートします。

  • 製造期間は資材や原料の調達にかかる期間によって異なります。
  • 製造から納品まで通常、約1~3ヶ月半かかります。
  • 機能性表示食品の場合には、消費者庁への届出に伴う期間が別途必要となります。

発注前の打合せで決定した品質管理基準に従った各種の検査を経て、商品として出荷されます。

企画から出荷までのフロー図

品質管理に関する第三者認証

サプリメント OEMメーカーを選定する際、品質管理体制の確認は最も重要な判断基準の一つです。

健康補助食品GMP(Good Manufacturing Practice)認証は、適正製造規範として製品の安全性と一定品質を保証するものであり、多くの大手OEMメーカーが取得しています。機能性表示食品においては、健康補助食品GMPの認証を取得するなど、GMPに準拠した製造管理体制が求められます。

GMP以外にも、食品の安全管理を実践するためのマネジメントシステムとしてISO22000 / FSSC22000があります。また、有機JAS認証やHALAL認証(ハラール認証)は、それぞれ商品に「有機」「HALAL」と表示するために必要となる、認証制度です。

認証・規格 対象分野 主な内容
健康補助食品GMP / NSF GMP 健康食品 健康食品の製造における衛生管理・品質管理の水準を確保するための規格。米国FDA(食品医薬品局)によるcGMPに準拠したNSF GMPは、国際的に通用するGMP認証。
ISO22000 / FSSC22000 健康食品を含む食品全般 原材料の受け入れから製品出荷まで、食品安全リスクを体系的に管理する食品安全マネジメントシステムの国際規格。FSSC 22000はISO 22000をベースにしたより厳格な認証規格。
有機JAS認証 健康食品を含む食品全般 有機食品の認証制度。化学合成農薬・肥料・添加物を使用しておらず、有機として管理された原料・製造工程であることを証明する認証。
HALAL認証 健康食品を含む食品全般 イスラム教の戒律に則った食品の製造・原料・衛生管理が行われていることを証明する認証。

原料調達から製造までの品質保証システム

サプリメントOEMメーカー各社は、原料調達から製造工程・出荷まで一貫した品質保証システムを構築しています。一般食品と異なり、多くのサプリメント形態では濃縮された成分などが使用されることから、一般食品の品質保証よりも医薬品の品質保証を意識した体制を整えているところが多いといえます。

トレーサビリティが確保された原料を使用する仕組みを構築し、入荷時には受入検査で不合格品を明確に区別します。

製造工程では、徹底した衛生管理が行われます。特に異物混入対策は重要で、金属検出器やX線・磁力選別機などを使用した異物混入対策を講じています。

しかし、さまざまな対策を講じたとしても、万が一問題が発生する可能性はゼロにはできません。そのため、OEMメーカー各社は、問題が発生した時の迅速な原因特定と影響範囲の絞り込み、拡大性の有無などを一刻も早く判断し、顧客である健康食品メーカー・ブランドオーナーと連携するための体制を整えています。

東洋新薬においても、万が一の際にも迅速かつ確実な原因究明を行えるように、「迅速微生物同定装置」や「微生物迅速培養装置」「FT-IR(異物同定装置)」などの最新の分析機器を備えています。

原料調達・製造工程・管理システムの関係図

法規制への対応

サプリメントOEM開発を取り巻く法規制は年々厳しくなっています。OEMメーカーの適切な対応が、健康食品メーカー・ブランドオーナーの信頼に直結します。

健康食品に関係すると思われる直近の法規制の改正だけでも、以下などの例があります。

  • 健康被害情報の提供義務化(「食品衛生法施行規則」改正2024年9月1日施行):機能性表示食品や特定保健用食品の届出者に対し、健康被害情報の収集・提供が義務化
  • 機能性表示食品届出内容の明確化(「食品表示基準」改正2024年9月1日施行)
  • サプリメント形状の機能性表示食品の製造・品質管理においてGMP基準を定めた(「機能性表示食品のうち天然抽出物等を原材料とする錠剤、カプセル剤等食品の製造又は加工の基準」告示2024年9月1日施行)
  • くるみのアレルゲン表示義務化(「食品表示基準」改正2023年3月公布、2025年4月1日施行)
  • 栄養成分表示基準改正、栄養強化目的の食品添加物表示の明確化(「食品表示基準」改正2025年3月28日公布)

OEMメーカーの選定においては、法規制の変化に迅速に対応できるパートナーの選択が必須といえます。これは将来的なコンプライアンスリスクを最小化することに直結します。

業界別・サプリメントOEM成功事例と失敗から学ぶポイント

成功事例と失敗から学べることは何か?

サプリメントOEM開発成功のためには、具体的な事例から学ぶことが有効です。ここからは、化粧品メーカーのサプリメント事業参入事例を見ていきましょう。

化粧品メーカーのサプリメント展開事例

化粧品メーカーによるサプリメント事業への参入は、既存の顧客基盤や美容に関する知見を活かした効果的な成長戦略といえます。

ファンケル

  • 代表的な成功例の一つ。「カロリミット」や「内脂サポート」などのヒット商品により、売上を大きく伸ばしています。
  • 化粧品で培った美容・健康への知見を応用し、独自性のある商品を展開しています。
  • 中でも「カロリミット」は、単なるダイエットサプリではなく、「食べたい気持ち」をサポートするという機能性で差別化を図ることで、消費者の共感を得ました。

DHC(ディーエイチシー)

  • オリーブオイルを使った化粧品開発をきっかけに、1980年代前半に健康食品事業へと展開。
  • 通信販売を主軸に、高品質かつ優れたコストパフォーマンスを実現することで顧客を獲得。
  • ビタミン・ミネラルなどのベースサプリメントを基幹とする豊富な商品ラインナップを揃え、定期購入システムの導入と丁寧な顧客対応により、LTV(顧客生涯価値)を最大化する戦略で成功を収めています。

資生堂

  • スキンケアと連動したインナービューティの提案を打ち出し、1990年代後半から2000年代初めに「ザ・コラーゲン」シリーズを通じてサプリメントに本格参入。
  • 2024年2月にウェルネス領域への展開を加速、ツムラ(漢方大手)やカゴメ(食品大手)とそれぞれ業務提携。
  • 東洋の五臓思想や体内時計に着目した新ブランドを立ち上げ、「ビューティとウェルネスの融合」による新市場創造を目指しています。

OEM製造における失敗事例と回避策

サプリメントOEM開発では、製造過程で予期せぬ品質トラブルが発生することがあります。いろいろなトラブルがありますが、健康食品メーカーが承認した試作品と量産品とで、品質が異なってしまうケースがあります。原因はさまざま考えられますが、例えば、以下のような理由が考えられます。

  • 試作段階と量産時とで原材料の細かいスペック・型番がわずかに異なる
  • 試作段階は少量で行ったため、量産時とスケールが異なり品質に違いが生じた
  • 工程中で生じた不適合品が何らかの原因で除去されずに出荷された
  • 製品ロットによる品質のばらつき

こういった事態を回避するためには、信頼できるOEMメーカー・工場を選定することに尽きます。そして、以下のような点に注意しましょう。

  • GMP認証など第三者認証の取得状況を必ず確認し、実際に製造にも立ち会う
  • 商品検討段階ではOEMメーカーと充分協議し、商品仕様を決定する
  • 万が一問題が発生した時はどうするのかを事前に決めておくことで、迅速な解決につなげる
サプリメントOEMにおける品質トラブルとその回避策、効率的な品質管理フロー
無料OEM 商品企画~製造の流れガイド~【健康食品・サプリメント編】

まとめ

いかがでしょうか。サプリメントOEM市場は異業種からの参入増加やD2Cブランドの隆盛を背景に成長しており、戦略的なパートナーとしてのOEMメーカーの役割が増しています。

東洋新薬は、機能性表示食品のトップクラスの届出実績と、青汁・顆粒・打錠品に強みを持つ独自技術、国際基準であるNSF GMPに準拠した品質管理体制を有しています。法規制の厳格化や多様化する市場ニーズに対応し、お客様の商品の差別化と事業の確実な成功をサポートします。

まずは、お客様の商品に関するアイデアや、サプリメント事業参入における課題について、お気軽にお問い合わせください。

無料OEM 商品企画~製造の流れガイド~【健康食品・サプリメント編】

機能性表示食品の商品開発を例に、健康食品・サプリメントのOEM製造の流れを細かくまとめた資料です。お客様側とOEM側のそれぞれの対応や注意点などをご紹介します。

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※1:日本製薬団体連合会ホームページ、医薬品等承認情報に基づき集計。調査期間:2016年1月1日~12月31日(当社調べ)
※2:消費者庁2024年8月15日発表情報より作成【許可取得実績数300件】
※3:消費者庁公開情報の製造受託を主たる業務とする企業の届出情報を基に、届出件数、独自エビデンス数を抽出・集計。(2024年5月31日時点、自社調べ)

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