機能性関与成分とは?概要から分析方法まで解説

  • 2022.05.09
機能性関与成分

本記事では、機能性表示食品の届出における「機能性関与成分」について解説します。「機能性関与成分が十分に含まれているか」は成分分析により確認されるため、機能性表示食品開発と機能性関与成分分析は切っても切り離せない重要な関係があります。

機能性表示食品 OEM開発シリーズ
「機能性表示食品を開発、販売したい!」という場合、商品開発から消費者庁への届出、製造、販売までにさまざまなステップが必要です。そこでシリーズとして、本記事以外にも機能性表示食品OEM開発のポイントを解説しているので、合わせてご確認ください。

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*本シリーズは、消費者庁「機能性表示食品の届出等に関するガイドライン」に基づいています。
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_claims/assets/foods_with_function_claims_230929_0002.pdf

目次
1.機能性関与成分とは?
2.機能性関与成分の分析方法について
2-1.機能性関与成分の定量分析
2-2.機能性関与成分の定性分析
3.機能性関与成分の分析を怠るとどうなる?
4.機能性関与成分の「安定性」について
4-1.機能性関与成分の「安定性」とは
4-2.安定性試験とは
5.まとめ

機能性関与成分とは?

機能性関与成分とは、機能性表示食品ごとに含まれている特徴的な有効成分のことを指します。

「機能性表示食品の届出等に関するガイドライン」では、この関与成分の条件について、明文化されています。

要約すると、次の要件を両方満たす成分が関与成分の候補となります(一部例外あり)。
①定量確認および定性確認が可能な成分
②ミネラルやビタミンなど、食事摂取基準において摂取基準が策定されている栄養素でない成分

上記を満たす成分の例として、以下のような機能性関与成分が挙げられます。
・GABA
・難消化性デキストリン
・ビフィズス菌
・葛の花由来イソフラボン
・L-テアニン
・アスタキサンチン

代表的な機能性関与成分一覧

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機能性関与成分の分析方法について

機能性表示食品の届出を行う際には、エビデンスに基づいた有効性を保証するために、製品にきちんと機能性関与成分が有効量含まれていることを、定量分析および定性分析で確認することが求められます。ここでは、定量分析と定性分析について解説します。

機能性関与成分の定量分析

定量分析とは、その名の通り機能性関与成分がどの程度含まれているかを確認するための分析です。一般的な栄養成分分析などをイメージすると、分かりやすいかもしれません。

分析方法は成分ごとにさまざまですが、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)やLC-MS(液体クロマトグラフィー質量分析法)による分析がよく用いられています。

注意点として、定量分析は「第三者機関で分析可能な方法であること」が前提とされており、届出の際には、分析の妥当性を示す資料として第三者機関で実施した定量分析の結果および、分析方法を記載した資料の提出が必須とされています。

第三者機関(例えば一般財団法人日本食品分析センターなどの登録検査機関など)での分析には、関与成分によっては1ヵ月程度かかるものもあります。そのため早期届出を予定している場合は、早めに分析用のサンプルを準備し、分析の準備をしておくことをお勧めします。

機能性関与成分の定性分析

一方、定性分析は「含有されている成分が間違いなく関与成分であるか」を評価するための分析です。例えば、メジャーな機能性関与成分の一つであるGABAはHPLC法で定量分析を行うことが一般的です。その際、定量している成分が本当にGABAであることを証明するのが、定性分析になります。

定性分析方法は関与成分の性質によってさまざまで、「○○由来△△」という成分を機能性関与成分とした場合には、「○○以外の原材料に由来する△△が含まれないか」を証明する必要があります。

また、腸内細菌等を関与成分とする場合には、特定の菌株を同定することで、表示する菌株と異なる種類の菌株でないことを証明する必要があります。

化合物の定性分析には、HPLC分析を始めとしたクロマトグラフィーにおける溶出時間やクロマトグラムのパターンで評価を行う方法(いわゆるパターン分析)が、腸内細菌等の定性分析にはRAPD法やシークエンス法といった試験を用いて遺伝学的に菌株の同定が行われます。

なお、定性分析は定量分析と異なり、届出時に分析結果の提出は求められません。ですが、分析の妥当性を示すために定性分析方法を記載した資料の提出が求められます。

関与成分を担保する2つの分析方法

機能性関与成分の分析を怠るとどうなる?

機能性表示食品の届出時に、最終製品を分析して機能性関与成分の量が表示値を満たすことを証明する書類(通常は第三者機関が発行する成績書)の提出が必要です。加えて、製品の機能性および安全性を担保するために市場に流通させる製品も継続的に表示値を下回ることがないよう、妥当性のある分析系にてきっちりと分析を行うことが重要です。

しかし、分析方法が不適切であった場合、第三者が分析した際に表示値を下回る可能性もあります。万が一消費者庁を始めとする第三者が買上調査を行った結果、表示値を下回るようなことがあれば、指摘を受けるリスクがあります。

また、トクホでは過去有効量未達により許可取り消しになった事例もあり、この事例に鑑みると最悪の場合、届出撤回という事態になる可能性も否定できません。

このようなリスクを回避するためには、届出時に妥当性のある分析系で機能性関与成分を測定することが重要です。

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機能性関与成分の「安定性」について

機能性関与成分における「安定性」とは

機能性表示食品における関与成分は多岐にわたり、成分ごとに特徴があります。例えば、熱やpHなどの周囲の環境の影響や長期間保存によって減衰する、といった成分です。このように、期間を経ても関与成分量が減衰しにくいかどうかが「安定性」ということです。

関与成分の安定性のイメージ

つまり、関与成分の量は、届出時や製品出荷時の定量分析で問題がなければOKというわけではありません。機能性表示食品は、市場に流通する製品においても賞味期限内で有効量以上の関与成分量が含まれることを担保する必要があり、その責任は届出者にあるということです。

このような関与成分の特徴を考慮する必要があるため、商品開発の過程で安定性を測る「安定性試験」を実施します。

安定性試験とは

安定性試験とは、試作品等を一定条件で保存して、経時的に関与成分の分析を行い減衰の有無を確認する試験です。安定性に問題がなければその配合で製品化して問題ないと判断できますが、もし減衰の幅が大きければ上市後に表示値を下回らないよう配合の見直しを行います。

東洋新薬では実績に基づいた手順で適切な条件・期間の安定性試験を実施し、賞味期限内に関与成分の減衰はもちろん、風味・水分等の品質の劣化が生じないことを確認しています。

このように、安定性試験は上市後のトラブルを避けるために重要ですが、その性質上数か月~数年という長い期間を要します。東洋新薬ではさまざまな関与成分・配合についての安定性情報を蓄積しているため、よりスピーディーな製品開発をサポートすることも可能です。

まとめ

いかがだったでしょうか。今回は、機能性表示食品の関与成分について取り上げ、定量・定性分析や安定性などについて解説しました。

機能性表示食品を開発する上で、関与成分と有効量の設定は核となる部分です。それゆえに、分析や品質管理が高いレベルで求められています。

そして万一、分析値が表示値を下回るようなことがあれば、消費者庁のHPで公開されたり、届出が撤回されたりして、消費者からの信頼を失うことにつながります。

そのような事態にならないためにも、しっかりと品質を担保する仕組みが必要なのです。

東洋新薬は豊富な届出実績に基づいた、信頼できる自社の分析系および分析委託先を持っており、お客様の届出における分析や品質管理をしっかりとサポートすることが可能です。機能性表示食品のOEM開発・届出でお困りごとがありましたら、ぜひ一度、東洋新薬にご相談ください。

参考文献:消費者庁 機能性表示食品の届出等に関するガイドライン
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_claims/assets/foods_with_function_claims_230929_0002.pdf

>関連情報:健康食品・サプリメントOEMサービス

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※1:日本製薬団体連合会ホームページ、医薬品等承認情報に基づき集計。調査期間:2016年1月1日~12月31日(当社調べ)
※2:消費者庁2024年8月15日発表情報より作成【許可取得実績数300件】
※3:消費者庁公開情報の製造受託を主たる業務とする企業の届出情報を基に、届出件数、独自エビデンス数を抽出・集計。(2024年5月31日時点、自社調べ)

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