消費者庁 機能性表示食品 事後チェック指針 とは?

  • 2020.10.01
機能性表示食品 メインイメージ

消費者庁では、機能性表示食品に関して法執行の方針の明確化を図るため、事後チェック指針を策定し、2020年4月1日から運用を開始しました。

今回は、その指針のポイントを解説します。

目次
1.正式名称
2.指針の構成
2-1.1.機能性表示食品の科学的根拠に関する事項
2-2.2.広告その他の表示上の考え方
2-3.3.届出資料の不備等における景品表示法上の取扱い
3.ポイント解説
3-1.①科学的根拠について
3-2.②広告その他の表示上の考え方
3-3.③届出資料の不備等における景品表示法上の取扱い
4.事後チェック指針を踏まえ届出者が行うべき事
5.おわりに

正式名称

「機能性表示食品に対する食品表示等関係法令に基づく事後的規制(事後チェック)の透明性の確保等に関する指針」

消費者庁 2020年3月24日【PDF】発表
https://www.e-expo.net/pdf/news2020/20200324_caa.pdf

消費者庁 機能性表示食品ページ
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_claims/

無料商品開発担当者向け 機能性表示食品届出の「3つの壁」~事例から見たその回避術

指針の構成

指針は大きく3つの項目から構成されています。

1.機能性表示食品の科学的根拠に関する事項

ここでは「基本的な考え方」と、「科学的根拠として明らかに適切とは考えられない具体例」が示されています。

2.広告その他の表示上の考え方

ここでは「基本的な考え方」と、「景品表示法上問題となるおそれのある広告その他の表示の要素」「打消し表示」「誤認される「表示」の判断」「景品表示法上問題となるおそれのある主な表示の類型」が示されています。

3.届出資料の不備等における景品表示法上の取扱い

ここでは届出資料に不備があった場合に、その不備パターン別に、景品表示法上どのように扱われるのかが示されています。

無料商品開発担当者向け 機能性表示食品届出の「3つの壁」~事例から見たその回避術

ポイント解説

機能性表示食品 ポイント解説

① 科学的根拠について

こちらは従来の「機能性表示食品の届出等に関するガイドライン」と「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」の考え方を踏襲しつつ、届出の事後チェックの透明性を確保する事を目的として、「科学的根拠として明らかに適切とは考えられない具体例」が示されたものです。

指針に記載されている内容は、あくまでも「明らかに適切でない例示」(悪い例)ですので、最低限超えないといけないハードルと言えるでしょう。そのため、内容が難しくてわからないという方もいらっしゃると思いますが、指針を熟読して十分に理解する必要があります。

機能性表示食品の研究開発に精通されておらず不安をお持ちの方や、科学的根拠をより盤石なものにされたい方は、外部機関に相談する事もできます。

相談窓口として、日本抗加齢協会や日本健康・栄養食品協会に設置されています。https://www.tsuhanshimbun.com/products/article_detail.php?product_id=5374

表. 科学的根拠として明らかに適切とは考えられない具体例

分類 例示(一部抜粋)
最終製品を用いたヒト試験及び研究レビューに共通する事項
  • ア)表示する機能性に見合ったリサーチクエスチョンは設定されているが、表示の内容が、科学的根拠の内容に比べて過大である、又は関連性が認められない場合
  • イ)限定的な条件下での結果であり、条件を限定しない場合には特定の保健の目的が期待し難い結果であるにもかかわらず、表示の内容で当該条件に言及されていないもの
  • ウ)根拠論文が撤回され、査読付き論文が存在しない場合

など

最終製品を用いたヒト試験
  • ア)試験の実施計画又は方法に不備がある場合
  • イ)試験結果の評価に不備がある場合
最終製品又は機能性関与成分に関する研究レビュー
  • ア)研究レビュー結果の客観性・透明性が担保されない場合
  • イ)研究レビューで採用した論文に不備がある場合
  • ウ)研究レビューと届出食品の機能性関与成分との同等性が担保されない場合
  • エ)「Totality of evidence」の判断が適切でない場合

疑義が生じた場合の新たな選択肢「エビデンスレビュー評価委員会」
機能性表示食品の届出後に消費者庁から科学的エビデンスの妥当性について疑義が出た場合、届出事業者にとっては従来の対応に加えて、「エビデンスレビュー委員会」に評価を依頼するという選択肢が新たに加わりました。

「エビデンスレビュー委員会」は、健康産業協議会、日本健康・栄養食品協会、日本通信販売協会、日本抗加齢協会の業界4団体による民間の第三者組織。医学・薬学・栄養学・臨床統計学などの各分野に精通した専門家で構成され、2020年6月1日から運用を開始しました。

同委員会は事業者の依頼に基づきエビデンスの妥当性を評価、判定。その評価結果が事業者並びに消費者庁に伝えられ、「科学的合理性」の有無が判断されることになります。

http://jaohfa.com/wp/wp-content/uploads/news/エビデンスレビュー評価委員会の設置について200529-1.pdf

② 広告について

機能性表示食品の広告その他の表示が届出された機能性の範囲を逸脱する場合、各法令上問題となるおそれがあります。とりわけ景品表示法について、事業者が留意すべき事項が、表示要素別に示されています。以下に主なポイントを解説します。

1)解消に至らない身体の組織機能等にかかる問題事項等の例示
「飲むだけで(他に何もしなくても)悩みが解消する」というような、あり得ないことを印象づける表現はNG

2)届出された機能性に係る表示
「花粉症に効く」「高血圧の方におすすめ」など、医薬品的な効果効能にあたる表現はNG。また本来の範囲(健康の維持・増進)を超えた「肉体改造」「増毛」「美白」などの表現は「意図的な健康の増強の標ぼう」にあたりNG

3)実験結果及びグラフ
消費者に信憑性の高さを印象付ける試験結果やグラフにおいて、実際の試験結果よりも過大な効果があるかのような表示は景品表示法上問題となるおそれがある。

4)医師や専門家等の推奨等
推薦がNGというわけではないが、下記の場合はNG

  • 特定の疾病名を示すことで当該疾病の予防・治療効果が得られるかのように表示する
  • 推奨等の事実がないにもかかわらず、推奨等を得ているかのように表示する
  • 全面的に肯定していないにもかかわらず、肯定している部分のみを引用する
  • 有償、無償を問わず、肯定するよう依頼して行われた利害関係者の推奨等であるにもかかわらず、客観的な立場からの推奨等であるかのように表示している
  • 推奨者の肩書を、事実に反して利用者に信頼される専門家であるかのように表示する

5)体験談
体験談を表示する際は

  • 体験者の数及びその属性
  • そのうち体験談と同じような効果が得られた者が占める割合
  • 体験者と同じような効果が得られなかった者が占める割合

などを「明瞭に表示する」ことが推奨される

6)届出表示又は届出資料の一部を引用した表示

  • 届出表示の一部を切り出して強調することで、届出された機能性の範囲を逸脱してはいけない
  • 届出資料に用いた論文を広告などで引用する際、逸脱した内容を表示した場合は景品表示法上問題となるおそれがある

7)その他留意すべき事項

  • 効果を暗示させるキャッチコピーやイラスト、図版などについても「一般消費者がどう認識するか」を十分に考慮する必要がある
  • 「売上No.1」の根拠(極端に短い期間、対象者が限られている、過去の売上実績を合算するなどして、これらを明瞭に記載しておらず、実際よりも著しく優良なものと誤認させるものはNG)

相談窓口の設置
日本通信販売協会や日本健康・栄養食品協会といった団体に相談窓口が設置されました。事業者は広告内容についてこれらの窓口を通じて、商品販売開始前に行政への確認・目線合わせを行うことで、「販売前に問題を解消する」事が可能となりました。

③ 届出資料の不備等における景品表示法上の取扱い

届出資料の不備等の問題が明らかになった場合、原則として以下の通り取扱うとされています。

  • 1) 適切な客観的評価により、表示の裏付けとなる科学的根拠が合理性を欠いているものでないと判断された場合、景品表示法上問題となるものとは取り扱わない
  • 2) 新たな科学的知見により、届出された根拠資料が科学的な合理性を欠くことになる事が判明した場合、ガイドラインに基づき速やかに届出の撤回を行う必要があるとともに、景品表示法上問題となるおそれが生じ得る。ただし、当該事実を速やかに把握し、当該撤回の対応を速やかに行った限りにおいて、景品表示法上問題となるものとは取り扱わない。
  • 3) 届出資料に形式上な不備がある場合、機能性を左右するものでない限り、景品表示法上問題となるものとは取り扱わない。
無料商品開発担当者向け 機能性表示食品届出の「3つの壁」~事例から見たその回避術

事後チェック指針を踏まえ届出者が行うべき事

機能性表示食品 事後チェック指針を踏まえ届出者が行うべき事

  • 前提として、機能性表示食品は、事業者(届出者)の責任により健康強調表示しているものです。社会的責任を果たすためにも、届出者は、事後チェック指針及び届出する食品の科学的根拠を正しく把握する事は必要不可欠です。同様に、広告物の作成においても、科学的根拠を正しく把握しておくことは重要です。例えば、開発メーカーに、科学的根拠と事後チェック指針内容を照合した結果の勉強会を開催して貰うと良いかもしれません。
  • 「③届出資料の不備等における景品表示法上の取扱い」2)に記載されている通り、否定的な新たな科学的知見が出た場合は、速やかな対応が求められます。そのため、届出をされている事業者の方は、届出公開されたら終わりではなく、新たな科学的知見の存在に常に目を光らせておく必要があるでしょう。特に、根拠論文が1報しかない研究レビューを表示の根拠とする場合は、特に注意が必要といえるでしょう。
  • 広告物に関しては、相談窓口が設定された事は画期的な事といえます。関連諸法規に相当な知識やご経験がない場合は、相談窓口(日本通信販売協会や日本健康・栄養食品協会)のご活用を強くお勧めします。

おわりに

いかがでしたか?2015年4月に施行された機能性表示食品制度ですが、5年が経過し、事後チェック指針が公開され透明性が確保された事は大きな変化であり、業界にとって良いニュースといえます。ただ、機能性表示食品は、あくまでも事業者(届出者)の責任であり、届出内容に社会的責任を伴う事には変化はなく、寧ろ今まで以上に襟を正していく必要があるといえます。

訴求できる内容、成分の希少性やストーリーばかりに、つい目が行ってしまいがちですが、科学的根拠の強さという指標も入れて届出される機能性関与成分を選定する事で、より健全で、リスクの低い商品開発が実現できると考えられます。

何かお困りのことがあれば東洋新薬にご相談いただければ幸いです。

*ここに記載したのはあくまでもポイントのみですので、必ずリンク先の原文をチェックしてください。

無料商品開発担当者向け 機能性表示食品届出の「3つの壁」~事例から見たその回避術

この資料では、機能性表示食品の開発において、消費者庁に届出・受理されるまでにぶつかりやすい「3つの壁」とその回避術をご紹介します。

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※1:日本製薬団体連合会ホームページ、医薬品等承認情報に基づき集計。調査期間:2016年1月1日~12月31日(当社調べ)
※2:消費者庁2023年1月20日発表情報より作成【許可取得実績数300件】
※3:消費者庁公開情報の製造受託を主たる業務とする企業の届出情報を基に、届出件数、独自エビデンス数を抽出・集計。(2022年8月31日時点、自社調べ)

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