「腸活」ブームを活かした健康食品開発のヒント。注目ワードを紐解く

  • 2020.11.30
腸活ブーム

「腸活(菌活)」は、健康食品のトレンドの一つとして注目を集める分野です。乳酸菌、食物繊維、オリゴ糖などによって盛り上がりを見せ、「腸活」ブームと言えるほど一大ムーブメントが巻き起こっています。そこで今回は、そんな「腸活」ブームを活かした健康食品を開発する際のヒントを紹介します。

目次
1.腸活とは?
1-1.腸活の概要
1-2.腸活のメリット

2.腸活ブームの背景
2-1.健康志向の高まり
2-2.製品の開発

2-3.コロナ禍

3.腸活ブームで押さえたいキーワード
3-1.「プロバイオティクス」と「プレバイオティクス」
3-2.「食物繊維」

3-3.「乳酸菌」

4.腸と体の関係
4-1.腸と肥満の関係
4-2.腸と脳・肌の関係

5.まとめ

腸活とは?

腸活の概要

腸活とは、生活習慣を見直して腸内環境を整える活動のことで、健康を維持・向上させることが最終目的になります。ヒトの腸内にはさまざまな腸内細菌が存在しており、顕微鏡で観察すると、それらがお花畑(フローラ)のように見えるため、「腸内フローラ(腸内細菌叢)」と呼ばれるようになりました。この腸内細菌はおよそ1000種類、数にして100兆個ともいわれており、善玉菌、悪玉菌、日和見菌の3種類に大別できます。これらの腸内細菌はバランスが重要であり、「善玉菌20%:悪玉菌10%:日和見菌70%」が理想的といわれています。

腸活のメリット

腸活をすることで以下のようなメリットが期待できます。

免疫力の向上
腸内環境が整うと、免疫力向上につながるとされています。腸は人体の免疫機能の約70%を占めており、ウイルスなどの異物を排除する免疫機関の中枢です。そのため、腸内環境が良好であれば、免疫機能の維持や向上につながるということです。

便通の改善
腸内環境を整えることで、便通改善も期待できます。大腸では、粘液によるバリア機能によって排泄を促していますが、腸内環境が悪化するとそのバリア機能が正常に作動しなくなってしまいます。その結果として、便秘、下痢、軟便といった便通に問題が生じてしまうということです。さらには、便秘によって毒素が排出されにくくなり、肌荒れを招きます。
このバリア機能に必要な粘液は、善玉菌によって分泌が促されるため、善玉菌を増やす腸活を行うことで、便通の改善が期待できるでしょう。

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腸活ブームの背景

では、腸活はどういった背景から現在のブームへと発展したのでしょうか。

健康志向の高まり

近年では、心身ともに健康でいることに対する意識が高まり、そのアプローチとして運動や食事、睡眠といった各分野で注目が集まっています。特に食事は注目度が高く、食生活は生活習慣病に大きく影響することが研究によって明らかになりました。その対策の一つとして、食事によって腸内環境を整えるという手段が根拠のある健康法として広く知られるようになりました。

製品の開発

健康志向の高まりによって喚起された欲求を手軽に満たす手段として、ヨーグルトやサプリメントなど、腸活をサポートする商品が登場しました。これにより、腸活を日常生活に取り入れやすくなり、ブームを助長したといえます。

コロナ禍

そこに拍車をかけたのが新型コロナウイルスの感染拡大で、自己免疫力の向上や健康維持がより一層重要視され、外出ができない期間でもできる健康維持手段として腸活への関心が高まったのでしょう。

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腸活ブームで押さえたいキーワード

腸活ブームを活かした商品開発をするにあたって、押さえておきたいキーワードがいくつかあります。

「プロバイオティクス」と「プレバイオティクス」

「プロバイオティクス」とは、「腸管に限定せず、体全体に健康効果を示す生菌(乳酸菌やビフィズス菌等)を摂取する事」であり、「プレバイオティクス」は「オリゴ糖や食物繊維のように、腸内細菌に利用される結果体全体に健康効果を示すものを摂取する事」といえます。

「プロバイオティクス」 の歴史としては、1989年にイギリスの微生物学者ロイ・フラ―(Roy Fuller)が、「腸内フローラバランスの改善を通して、宿主に有益に働く生菌添加物」と定義した概念をもとに、1996年にSalminenが「宿主の健康や栄養に優位に働く生菌剤、または培養乳製品」との定義を示しました。その後、2000年にFAO/WHOが食品の介在する「プロバイオティクス」のガイドラインを刊行。「宿主に適当量与えたとき、健康効果を発揮する生きた微生物」と定義されました*1。

「プレバイオティクス」はGibsonらが1995年に「特定の細菌の増殖および活性を選択的に変化させることより、健康を導く難消化性食品成分のこと」と定義しました。最近では、同じくGibsonらが2017年に「腸内細菌に選択的に利用される結果、健康に寄与する物質」と定義しています*2。なお、「プロバイオティクス」と「プレバイオティクス」を組み合わせた「シンバイオティクス」という概念を、1995年にGibsonらが提唱しています。

腸活ブームを活かした商品開発をするうえで、健康な腸を目指す基礎知識として押さえるとよいでしょう。

「食物繊維」

食物繊維は「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」の2種類に大別され、いずれも消化吸収されませんが、それによって重要な役割を果たしています。

水に溶けやすい水溶性食物繊維は、体内で水分を吸収してゲル状になることで、食物の消化や吸収をゆっくりとさせる効果があります。その結果、血糖値の急激な上昇を抑える、コレステロールを下げる、といった効果が期待できます。また、大腸に運ばれると善玉菌のエサになるため、腸内環境を整える効果もあります。

一方、水に溶けない不溶性食物繊維は、そのままの形で腸を通過します。これにより、便の量を増やし、便通を良くする効果があります。

このように、腸内環境を整えるための成分として、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の2種類の食物繊維は押さえておくべきでしょう。

「乳酸菌」

漠然と「乳酸菌」と言われますが、実は分類学上の地位を持った学名ではなく、慣用的な呼び名です。

乳酸菌は

1)細胞形態が桿菌もしくは球菌である
2)グラム陽性である
3)カタラーゼ陰性(嫌気性菌)である
4)内生胞子をつくらない
5)運動性がない(鞭毛を持たない)
6)消費したブドウ糖から50%以上の乳酸を生成する細菌

と定義され、簡単に言えば、「乳酸を作る菌」のことです。「ビフィズス菌」も上記の定義に当てはまるものもあるため、広義の意味で乳酸菌と呼ばれることがありますが、厳密には異なるものといえます。

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腸と体の関係

腸活ブームのこれからを理解する意味で、近年の腸に対する研究から腸と体の関係を見てみましょう。

腸と肥満の関係

20世紀の乳酸菌の研究は、糞便を採取して培養、増えた菌を測定する方法が主流でした。ところが、科学の進歩によりDNAでの解析が可能になり、たくさんのことがわかるようになりました。

そこで注目されたのが、イギリスの科学雑誌NatureにGordonらが発表した「痩せ菌」「デブ菌」の存在です。具体的には、

①肥満の方の腸内細菌には、消化しづらい食物繊維まで栄養素にするファーミキューテス類(デブ菌)が多く、バクテロイデテス類(痩せ菌)が少ない。一方、非肥満の方の腸内細菌は、デブ菌が少なく痩せ菌が多かった。
②肥満の方が低カロリー食を摂取することにより、デブ菌が減り痩せ菌が増えた。
③無菌マウスにデブ菌を移植するとそのマウスが肥満になった。

といった内容です。この報告は、これまで腸と肥満の関係を直接的に証明してきたものがほとんどなかったため話題となり、腸活ブームに拍車をかけました。

腸と脳・肌の関係

腸については近年さらに研究が進み、腸と脳が双方向的に情報伝達を行い、相互に作用を及ぼしあう関係にある「腸脳相関」という言葉も、浸透しつつあります。

また、腸内細菌と肌への関係を示す論文も多くなり、腸をキーワードに、さまざまな悩みが解明できつつあります。上述したように、腸内環境の悪化によって毒素が排出されないと、肌荒れや肌のターンオーバーの乱れなど肌への悪影響を及ぼすといった内容です。

そこで必要な成分としては上述の「乳酸菌」や「食物繊維」です。 その他、「ビフィズス菌」 や「オリゴ糖」、「ポリフェノール」も腸内細菌に好影響を与えてくれます。

まとめ

いかがでしょう。「腸活ブーム」によって巻き起こっている腸活商品の需要の高まりや食習慣の見直しなどは健康志向の高まりともいえ、今後さらに注目されることが予想されます。その大きな動きはありつつも、研究成果や論文の発表によって、トレンドは移り変わる可能性があります。

このような状況を踏まえて、「腸活」関連商品開発を目指すのであれば、東洋新薬にヒントがあるかもしれません。ぜひお声がけください。

参考文献:
*1 細野明義,深化するプロバイオティクス研究
*2 境洋平,プレバイオティクス,腸内細菌学雑誌,33, 2019.

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※1:日本製薬団体連合会ホームページ、医薬品等承認情報に基づき集計。調査期間:2016年1月1日~12月31日(当社調べ)
※2:消費者庁2023年1月20日発表情報より作成【許可取得実績数300件】
※3:消費者庁公開情報の製造受託を主たる業務とする企業の届出情報を基に、届出件数、独自エビデンス数を抽出・集計。(2022年8月31日時点、自社調べ)

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