機能性表示食品の「届出」を解説。事前準備から事後対応まで

  • 2022.07.15
機能性表示食品 届出

本記事では、機能性表示食品の届出をメインテーマに、届出先の基本から届出における事前準備から事後対応までの流れなどを解説します。届出において必要なエビデンスや検討事項なども合わせてご紹介します。

機能性表示食品 OEM開発シリーズ
「機能性表示食品を開発、販売したい!」という場合、商品開発から消費者庁への届出、製造、販売までにさまざまなステップが必要です。そこでシリーズとして、本記事以外にも機能性表示食品OEM開発のポイントを解説しているので、合わせてご確認ください。

機能性表示食品の「エビデンス」を解説 ~有効性・安全性の担保
機能性関与成分とは?概要から分析方法まで解説
機能性表示食品の商品開発について。設計と製造を解説
機能性表示食品の「表示」を解説。記載義務や禁止事項とは

*本シリーズは、消費者庁「機能性表示食品の届出等に関するガイドライン」に基づいています。

目次
1.機能性表示食品の届出先について
2.機能性表示食品の届出の流れについて
3.1.機能性表示食品の届出における事前準備
4.2.機能性表示食品の届出におけるエビデンス
5.3.機能性表示食品の届出書類作成における検討事項
5-1.①機能性表示食品の対象となるか
5-2.②安全性に関する情報
5-3.③生産・製造及び品質管理に関する情報
5-4.④健康被害の情報収集体制
5-5.⑤有効性に関する情報
5-6.⑥パッケージデザインに表示している内容
6.4.機能性表示食品の届出~届出後について
7.まとめ

機能性表示食品の届出先について

機能性表示食品 エビデンス

機能性表示食品の届出において、まずはその届出先について解説します。

機能性表示食品の届出先は消費者庁になります。「特定保健用食品(トクホ)」のように国が個別に審査・許可する、または「栄養機能食品」のように、国の規格基準に従ってヘルスクレーム表示のみができる、というように、国ではなく事業者自らの責任において、エビデンスを基にしたヘルスクレーム表示をすることができる制度です。

トクホでは認められていないような「睡眠」「ストレス」「血管の柔軟性」などのヘルスクレーム表示をすることが可能です。ただし、商品として販売する前に、国の定めるルールに基づき食品の機能性、つまり有効性と安全性に関する科学的根拠(エビデンス)などの必要事項を事業者が消費者庁に提出し、審査を受ける必要があります。

国が個別に審査・許可しないとはいえ、この審査はかなり厳しく、基準をクリアしない場合は届出が差し戻しになります。また、一度受理されたとしても、不備が発覚した場合は、必要書類の提出など追加対応を求められます。

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機能性表示食品の届出の流れについて

機能性表示食品の届出を行う場合、大きく分けて以下の工程で進むことになります。

1.事前準備
・ガイドライン及びマニュアル等を確認しながら企画
・ユーザーIDの取得

2.エビデンスを作成する
・臨床試験
・研究レビュー(SR)
機能性表示食品の「エビデンス」を解説 ~有効性・安全性の担保

3.届出書類を作成する
・食感や色、香りなど味や体感性を試作品で実現する
・スケジュールや予算を確定する

4.届出~届出後
・デザインの作成
・機能性表示食品の届出~受理

5.届出が受理される

これらのプロセスを経て、機能性表示食品の届出が完了となります。本記事では、一通り解説いたしますが、届出書類の作成、届出~届出後の対応を重点的にご説明します。

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1.機能性表示食品の届出における事前準備

機能性表示食品の届出における事前準備として、主に以下の2点が挙げられます。
・ガイドライン及びマニュアル等を確認しながら企画・開発
・ユーザーIDの取得

機能性表示食品における商品開発については、以下の記事で詳しく解説しているため、商品企画や開発の詳細は以下よりご覧ください。

機能性表示食品の商品開発について。設計と製造を解説

ユーザーIDとは、機能性表示食品の届出を行う消費者庁の「機能性表示食品制度届出データベース」を利用するための必要情報になります。食品関連事業者の基本情報の届出を行うことで、ユーザーIDの取得が可能です。

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2.機能性表示食品の届出におけるエビデンス

機能性表示食品の届出において、有効性と安全性の科学的根拠、つまりエビデンスが求められます。そして、そのエビデンスは 「研究レビュー(SR)」と「臨床試験(RCT)」という2種類の手法のいずれかによって評価することを消費者庁が認めています。

機能性表示食品のエビデンス、及び2種類の手法については、以下の記事で詳しく解説していますので、合わせてご覧ください。

機能性表示食品の「エビデンス」を解説 ~有効性・安全性の担保

3.機能性表示食品の届出書類作成における検討事項

機能性表示食品の届出様式は、消費者庁によって定められているほか、前述のガイドラインに規定されていることを守る必要があり、抜け漏れがある場合は「不備」として差し戻されてしまいます。そのため、次に示すような情報を集めて届出する必要があります。

消費者庁 【食品関連事業者向け】機能性表示食品の届出について

①機能性表示食品の対象となるか

まず、届出をしようとする食品が機能性表示食品の対象か、確認する必要があります。食品全般が対象ですが、アルコール飲料や脂質、糖類、ナトリウム等の過剰摂取につながる食品は対象となりませんので、商品設計を行う際に気を付けましょう。

②安全性に関する情報

食経験や機能性関与成分に関する安全性試験、機能性関与成分と医薬品との相互作用があるかなどの情報を集め、機能性表示食品として届出する食品の安全性を評価する必要があります。また、機能性関与成分を複数配合する場合はそれらの相互作用があるか、の評価も必要です。

③生産・製造及び品質管理に関する情報

加工食品か生鮮食品か、により詳細は異なりますが、製造する際の衛生管理体制や製品規格、規格外の製品の流通を防止するための体制などを説明する必要があります。また、機能性関与成分を担保する必要があるため、機能性関与成分の定量・定性分析方法などを第三者機関で分析できることを示す資料の準備が必要です。

④健康被害の情報収集体制

機能性表示食品を摂取したことによる健康被害発生の未然防止および拡大防止のため、届出する事業者は健康被害の情報を収集し、行政機関への報告を行う体制を整備する必要があります。なお、消費者、医療従事者などから健康被害の連絡を受ける窓口は国内に設置し、適切な日本語で応対ができるものを置くこと、とガイドラインに規定されています。これらの行政への報告体制の説明資料として、組織図および連絡フローチャートを届出する必要があります。

⑤有効性に関する情報

表示しようとする機能性の科学的根拠について、最終製品の臨床試験(ヒト試験)、最終製品または機能性関与成分に関する研究レビューにより、説明する必要があります。なお機能性表示食品は疾病に罹患している方、未成年者、妊産婦、授乳婦を対象としていません。また、病気の治療や予防効果を暗示したり、意図的な健康の増強、例えば肉体改造など意図的な健康の増強となる表現は対象外となります。また、機能性の作用機序について、in vitro試験及びin vivo試験または臨床試験(ヒト試験)により考察し説明資料を届出する必要があります。

⑥パッケージデザインに表示している内容

届出する食品のパッケージデザインや、表示されている機能性に関連する文言を届け出る必要があります。義務表示事項が網羅されていなかったり、届出する機能性を逸脱していたりするデザインの場合、不備として差し戻されることもあるため、注意が必要です。以前の記事でパッケージデザインについて解説していますので、そちらもぜひ目を通してください。なお、パッケージデザインは化粧箱など外装だけではなく、有償無償に関わらず個包装分包を販売・配布する場合には届出が必要です。注意しましょう。

機能性表示食品の「表示」を解説。記載義務や禁止事項とは

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4.機能性表示食品の届出~届出後について

機能性表示食品の届出~届出受理

上述の検討事項の情報を「機能性表示食品制度届出データベース」で入力し、送信することで届出開始となります。

届出開始後、不備がなければ届出受理となり、消費者庁が受理番号を交付し、消費者庁HPに届出を公表することになります。不備があった場合は差戻しとなりますが、この期間は通常であれば50日程度です。特に問題がなければ販売可能となります。なお、再届出や消費者庁がウェブサイトに掲載している団体による事前確認を受けた届出の場合は30日程度となります。

再届出とは、既に届出が公表されている機能性表示食品(以下、既届出品)と同一性を失わない程度の変更が行われた食品の届出のことです。変更可能である事項は届出者の基本情報、パッケージデザイン(商品名含む)、製造所情報、香料等食品添加物の一部の原材料などの軽微な変更であり、既届出品は原則販売中である必要があります。

消費者庁がウェブサイトに掲載している団体は2021年8月4日時点で2団体あり、公益財団法人日本健康・栄養食品協会、特定非営利活動法人日本抗加齢協会です。各事業団体による事前確認はそれぞれ費用や確認期間等異なるため、それぞれのウェブサイトを確認ください。

機能性表示食品の届出後に想定されること

届出内容に変更がある場合、製品設計や機能性に関わるような下記ア~オに当てはまる場合は、新規届出が必要です。ア~オに当てはまらない場合は変更届出で変更できますが、速やかに届出を行う必要があります。

パッケージデザインや内容量等商品仕様も機能性表示食品の届出内容となりますので、軽微な変更であっても変更届が必要です。

変更届出には新旧対照表、変更理由、変更理由によっては参考資料が必要になり変更届の消費者庁の確認も時間がかかります。

【新規届出が必要になる場合】

  • ア 原材料の配合割合又は製造方法について、製品の同一性が失われる程度の変更がある場合
  • イ 科学的根拠を有する機能性関与成分又は当該成分若しくは当該成分を含有する食品が有する機能性の変更がある場合
  • ウ 一日当たりの摂取目安量当たりの機能性関与成分の含有量の変更がある場合
  • エ 一日当たりの摂取目安量の変更がある場合
  • オ 商品名の変更がある場合

なお、届出者の変更についてはユーザーIDが法人番号に紐づいているため、吸収合併される場合などで法人番号が変わる場合は、現在届け出ている商品を撤回、再度届出する必要があります(社名変更や吸収合併する場合でも、法人番号が変わらなければ変更届出で可能です)。

機能性表示食品は事業者の責任において消費者庁に届出を行うものですが、その商品が関連法令に抵触する場合、消費者庁から指摘を受けるのは販売後(事後)となります。科学的根拠として不適切であると判断される事例や広告が関連法令上問題となる場合についての考え方が、事後チェック指針1)として公表されていますので、機能性表示食品の販売を考えている方は一度目を通しておきましょう。

参考1)>機能性表示食品に対する食品表示等関係法令に基づく事後的規制(事後チェック)の透明性の確保等に関する指針

さらに、届出後に消費者庁から機能性関与成分に関する分析方法の検証事業で対応が必要になることがあります。機能性関与成分の定量・定性分析については第三者が分析できる必要があるため、消費者庁が分析方法について検証を行い、疑義がある場合には事業者に追加資料の提出を求めるというものです。

まとめ

いかがでしょうか。今回は機能性表示食品の届出について解説しました。
消費者庁に届出し公表された後もさまざまな対応が必要となりますが、東洋新薬では多数の届出実績から蓄積したノウハウを活用し、商品設計やエビデンスの取得、届出資料作成など、消費者庁への届出サポート、届出後の対応までトータルサポートが可能です。

機能性表示食品のOEM開発・届出でお困りごとがありましたら、ぜひ東洋新薬にご相談ください。

>関連情報:健康食品・サプリメントOEMサービス

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商品開発に携わってきた東洋新薬の視点から、過去実際に「売れた商品」に共通した7つのポイントを、ご紹介します。

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※1:日本製薬団体連合会ホームページ、医薬品等承認情報に基づき集計。調査期間:2016年1月1日~12月31日(当社調べ)
※2:消費者庁2024年8月15日発表情報より作成【許可取得実績数300件】
※3:消費者庁公開情報の製造受託を主たる業務とする企業の届出情報を基に、届出件数、独自エビデンス数を抽出・集計。(2024年5月31日時点、自社調べ)

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