腸内環境を整える食事やオススメの素材とは?肌への影響も解説
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- 2023.02.02
皆さんは「腸内環境」と聞いて、何を思い浮かべますか?
すぐに思い浮かぶのは大腸菌や乳酸菌などのいわゆる「腸内細菌」や、便秘・下痢など、「便通」に関わることではないでしょうか?
しかし、実は「便通」だけではなく、腸内環境は「免疫」や「肌」、「肥満」など、我々の身体の健康状態の様々な側面に関わっていることが知られています。
そこで今回は、腸内環境に関連する商品開発を行う上で知っておきたい情報として、腸内環境の基礎知識から、「肌の健康」との関係性、そして改善効果を持つオススメ素材についてご紹介します。
- 目次
- 1.そもそも腸内環境とは?
- 1-1.善玉菌
- 1-2.悪玉菌
- 1-3.日和見菌
- 2.腸内環境が重要な理由
- 3.腸内環境と食事の関係
- 4.腸内環境と肌
- 5.大麦若葉末の腸内環境改善作用と肌改善作用について
- 6.腸活ブームによる腸活サプリメント、健康食品の需要拡大
- 7.まとめ
そもそも腸内環境とは?
ヒトの腸内には、100兆個、種類にして約1000種類もの細菌が住み着いており、腸内細菌叢(腸内フローラ)を形成しています。
腸内細菌は大きく分けて以下の3種類に分類され、身体に与える影響がそれぞれ異なっています。
善玉菌
ビフィズス菌・乳酸菌・酪酸菌など、身体に良い影響を与える菌の俗称。オリゴ糖や食物繊維を代謝して増殖し、短鎖脂肪酸を産生することで大腸の蠕動運動を促進し、排便をスムーズにするなどの作用をもたらす。
悪玉菌
ウェルシュ菌や一部のサルモネラ菌など、身体に悪い影響を与える菌の俗称。タンパク質や脂質を代謝することによって増殖し、腐敗産物を産生し便秘や下痢の原因となる。
日和見菌
バクテロイデス菌など、善玉菌と悪玉菌のいずれにも属さない菌の俗称。善玉菌と悪玉菌で、腸内に占める割合が優位な方と同じ働きをする。
腸内環境はこれら3種類の菌の腸内に占める割合によって、決定されます。
これらの理想的な比率は、善玉菌:悪玉菌:日和見菌=2:1:7と言われています。善玉菌が悪玉菌より優位な状態を、「腸内環境が良い状態」と言います。
反対に善玉菌と悪玉菌の比率が逆転し、悪玉菌の占有率が善玉菌と比べ高くなってしまうと、腸内細菌叢の大部分を占める日和見菌が悪玉菌の味方をしてしまい、腐敗産物の産生が促進してしまいます。
そのため、善玉菌の割合を優位に保つことが重要なのです。
腸内環境が重要な理由
腸内環境が重要な理由とは、腸内環境が体のバランスを維持する大切な役割を果たしているからです。
腸内環境は、私たちが毎日摂る食べ物によって大きく影響を受けます。適切な食べ物を摂ることで、腸内フローラのバランスが整い、健康維持に寄与します。また、腸内環境のバランスが崩れると、体調不良や病気の原因となることもあります。したがって、腸内環境を整えるためには、バランスの良い食事を毎日摂ることが大切です。これが、腸内環境が重要な理由です。健康な体を維持するためには、腸内環境のバランスを意識した生活、食事を意識する必要があります。
腸内環境と食事の関係
ここまで、善玉菌の割合を優位に保つ重要性を説明しました。そして、それを実現するには、適度な運動や十分な睡眠などの規則正しい生活習慣、適切な食生活が欠かせません。
中でも、食事によって腸内環境を整えるには、
○善玉菌そのものを含む食事(プロバイオティクス)を摂取し、腸内の善玉菌を増やす方法
○善玉菌の餌となる物質を含む食事(プレバイオティクス)を摂取し、腸内の善玉菌を増やす方法
の2つの方法があります。
プロバイオティクスは、乳酸菌を多く含むヨーグルトや、納豆菌を多く含む納豆などの発酵食品が該当。
プレバイオティクスは、水溶性食物繊維を多く含んだ海藻や果物、不溶性食物繊維を多く含んだ穀類や豆類、またオリゴ糖を多く含む玉ねぎやブロッコリー、バナナなどが該当します。
食事の欧米化が進んでいる日本ですが、肉や揚げ物中心の食生活を送り、野菜などのプレバイオティクスの摂取量が少なくなると、腸内は悪玉菌の餌となるタンパク質や脂質を多く含んでしまい、腸内環境は悪化します。
腸内環境は食事と密接に関わっているため、悪玉菌が優勢になり自身の健康に悪影響を及ぼさないようにするためにも、日々の食事のなかでプロバイオティクスやプレバイオティクスを意識することが重要です。
腸内環境と肌
このように身体の健康状態と深く関わる腸内環境ですが、肌の健康とも関わっていることが分かってきました。
これは、腸内環境が悪化して悪玉菌が増殖すると、産生される腐敗産物の量も増加してしまうため。悪玉菌によって産生されたフェノールやp-クレゾールなどの腐敗産物は、腸管より吸収され血管を通じて全身に巡り、やがて皮膚に到達します1)。
また、表皮構造の恒常性を維持するためには表皮の大部分を占めるケラチノサイトと呼ばれる角化細胞の正常な分化が重要とされますが、悪玉菌によって産生された腐敗産物はそのケラチノサイトの分化を阻害するという報告もあります2)。
実際に、腸内環境を整えることで皮膚の乾燥具合や弾力性などの皮膚の状態が改善することが報告されています3)。
肌の調子を整えるにはスキンケアなど身体の外部からのケアに意識がいきがちですが、このように腸内環境の改善という、身体の内部からのアプローチも効果的なのです。
大麦若葉末の腸内環境改善作用と肌改善作用について
ここまで、腸内環境を食事によって改善する方法や、腸内環境と肌との関連性について説明してきました。
ここからは、健康食品の商品開発に役立つ情報として、腸内環境改善作用と肌改善作用について実際にヒト試験でその効果が確認されている東洋新薬の独自素材、「大麦若葉末」をご紹介します。
1週間あたりの排便回数が3~5回の20歳以上65歳未満の健常男女、55名を対象として、大麦若葉末配合粉末飲料(大麦若葉由来食物繊維として0.7g/日)、または大麦若葉末を含まない粉末飲料をそれぞれ4週間摂取させ、腸内細菌叢解析を実施しました。
その結果、大麦若葉末を含まない粉末飲料を摂取した被験者と比較して、大麦若葉末配合粉末飲料を摂取した被験者では、善玉菌である乳酸菌(Lactobacillus)および酪酸菌(Faecalibacterium, Roseburia)について、摂取前から摂取4週間後の占有率の変化値が有意に増加しました4)。
また、肌の乾燥・かさつきを有する35歳以上50歳未満の女性を対象として、大麦若葉末配合粉末飲料(大麦若葉由来食物繊維として0.7g/日)、または大麦若葉末を含まない粉末飲料をそれぞれ8週間摂取させ、試験期間中の角層水分量を測定した結果、大麦若葉末を含まない粉末飲料を摂取した被験者と比較して、摂取4週間後および8週間後の角層水分量の有意な増加が確認されました5)。
このように、大麦若葉の機能性関与成分である大麦若葉由来食物繊維は、プレバイオティクスとして効果を発揮し腸内の善玉菌を増殖させることが明らかになっており、この作用を介して皮膚状態の改善作用を示すと考えられています。
腸活ブームによる腸活サプリメント、健康食品の需要拡大
近年では、心身ともに健康でいることに対する意識が高まり、そのアプローチとして運動や食事、睡眠といった各分野で注目が集まっています。特に食事は注目度が高く、食生活は生活習慣病に大きく影響することが研究によって明らかになりました。その対策の一つとして、食事によって腸内環境を整えるという手段が広く知られるようになりました。
このような腸活ブームによる影響を受け、腸内環境を整えることを目的としたサプリメントや健康食品の需要が拡大しています。以下のコラムで腸活や腸活に関するサプリメント開発のアイデアをご紹介していますので、ぜひご覧ください。
まとめ
いかがでしょうか。今回は、腸内環境と肌との関連性、また大麦若葉末の腸内環境改善作用、肌状態改善作用について解説しました。
この記事が、少しでも貴社の商品開発にお役立ちできれば幸いです。
東洋新薬は、健康食品・サプリメントのODM/OEMについて多くの実績を有しています。商品開発をご検討の際は、ぜひお問い合わせください。
【参考文献】
- 1)Iizuka R, et al. Phenols produced by gut bacteria affect the skin in hairless mice. Microb Ecol Health Dis., 21, 50-56, 2009.
- 2)Iizuka R, et al. Gut bacteria producing phenols disturb keratinocyte differentiation in human skin. Microb Ecol Health Dis., 21, 221-227, 2009.
- 3) 伊澤ら, LB81乳酸菌を使用したヨーグルトの皮膚機能改善効果に関する検証, 腸内細菌学雑誌, 22巻1号,1-5, 2008.
- 4) 松岡ら, 大麦若葉末含有食品が腸内細菌叢, 体調および便性状に与える影響-プラセボ対照ランダム化二重盲検並行群間比較試験-, 薬理と治療, 49, 1681-1688, 2021.
- 5) 上田ら, 大麦若葉末含有食品が皮膚状態に与える影響-プラセボ対照ランダム化二重盲検並行群間比較試験-, 薬理と治療, 49,1689-1695, 2021.
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