「免疫機能向上」に関連する注目の成分素材
- 2020.12.03

新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大を背景に、「免疫機能向上」に関連する食品素材が注目されています。今回は、免疫に関する解説とともに、注目素材についてご紹介します。
- 目次
- 1.そもそも「免疫」とは?
- 2.「粘膜免疫」の向上に期待できる成分
- 3.全身免疫の向上に期待できる成分
- 4.まだある、「抗ウイルス作用」が期待できる成分
- 5.まとめ
そもそも「免疫」とは?
人体の免疫系をおおまかに分類すると、
①ウイルスや細菌を体の中に侵入させない
②侵入してしまったウイルスや細菌と戦う
の2種類が存在します。
①ウイルスや細菌を体の中に侵入させない
この場面で重要なのは「粘膜免疫」と呼ばれるものです。粘膜は目や鼻、口腔や腸管に存在していますが、これらの組織内で実はウイルスや細菌との戦いが繰り広げられています。ここでの主役は「IgA抗体」と呼ばれるもの。IgA抗体とは、侵入してきたウイルスや細菌にくっつき、無力化する働きがあります。
②侵入してしまったウイルスや細菌と戦う
この場面で重要なのは「全身免疫」と呼ばれるものです。主にリンパ節、脾臓、血液中などで、マクロファージ、NK細胞、好中球、B細胞、キラー細胞といったものが細菌・ウイルス・感染してしまった細胞に複合的に攻撃をしかけます。
「粘膜免疫」の向上に期待できる成分
「ウイルスや細菌を体内に入れない」プロセスで重要な「IgA抗体」。主に口腔内、腸管内で防御能を発揮します。ここではIgAの分泌に有用と報告されている成分の一例をご紹介します。
①乳酸菌/ビフィズス菌
新型コロナウイルス拡大を背景に、メディアで「乳酸菌の腸管免疫系への有用性」が取り上げられるなど、免疫機能の調整や賦活のイメージが浸透。これにより発酵乳をはじめとした関連商品の需要が増加し、2020年は2019年見込比で16.3%増、93億円が見込まれています。
乳酸菌は、「樹状細胞」という細菌やウィルスなどを侵入を感知する細胞を活性化させ、IgA産生のもととなる細胞を刺激することで、IgAの分泌を促進する事が報告されています。実際ヒト試験で唾液中IgAの分泌を促進する作用がある事や、風邪に罹患する確率が低減する事が確認されています*1。
②プロポリス、ローヤルゼリー
プロポリスはミツバチが収集した樹脂など植物由来物質が蜜蝋と混ざることで生成される成分で、抗菌作用が確認されています。こちらも新型コロナウイルス感染症対策の有力素材として注目され、2019年見込比5.0%増の21億円が見込まれています。プロポリス関連はまだまだ商品数が少なく、今後注目の市場です。
マウスに対してローヤルゼリー及びプロポリスを投与した結果、コントロールと比較して腸内IgAが増加された事が報告されています*2。
③食物繊維、オリゴ糖等
オリゴ糖や難消化性デンプンなどの食物繊維類の摂取により、大腸菌内のビフィズス菌が増殖し腸管内で短鎖脂肪酸という成分が増加します。その結果、腸管内のIgAの分泌を高めると言われています。また、面白い事に、腸管内の短鎖脂肪酸が増加すると、唾液中のIgAの分泌が増加する事も知られています*3。各メーカーが研究を進め、インフルエンザウイルスに対する予防効果についての発表や、水溶性食物繊維の一種であるイヌリンが配合されたヨーグルトが発売されるなど、注目が高まっています。
全身免疫の向上に期待できる成分
④「L.ラクティスプラズマ」
「L.ラクティスプラズマ」という乳酸菌には、NK細胞、B細胞、キラー細胞といった、体内に侵入してしまった細菌・ウイルス・感染してしまった細胞を攻撃する細胞を活性化させる事が知られています*4。
残念ながら全身免疫機能の分野は食品の機能性研究が進んでいるとはいえません。逆に今後、さまざまな成分で全身免疫賦活化に関する機能発見がなされる可能性があり、注目すべき領域ともいえるでしょう。
まだある、「抗ウイルス作用」が期待できる成分
⑤「カテキン」「テアフラビン」
「カテキン」や「テアフラビン」などのポリフェノール類は、ウイルス自体に吸着してウイルスの感染能を低下させることが知られています。具体的には、ウイルスが増殖するには生体の細胞内に入り込む必要があり、その際に重要な役割を担う「スパイクタンパク」という部分に吸着する事でウイルスの感染能を低下させることが知られています*5。この作用は「生体の免疫を高める」という類のものではありませんが、「ウイルスから防御する」という観点では、有効な手段の一つといえます。
⑥「アミノ酸類」
BCAA、シスチン、L-テアニンなどのアミノ酸は企業や学術機関で免疫機能への関与にフォーカスしたさまざまな研究が行われています。
まとめ
いかがでしたでしょうか。「免疫」と一言でいっても、実は非常に奥が深いものであり、食品の研究領域としてもまだ未解明な事も多いものの、一定の機能が期待できる成分もあるようです。
ただし、免疫系には加齢、体温、睡眠、ストレス、食生活や運動などの生活習慣といった要因が重要な事も知られており、特定の成分を飲んでさえいれば免疫が賦活化されるという事はないでしょう。
バランスのよい食事、良質な睡眠、健康的な生活をベースに、免疫賦活が期待できるサプリメントをプラスする。こんな形で、免疫領域でのサプリメントの活用が確立される事が期待されます。
【参考】
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出典/参考:
*1 https://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2018/pr20180315/pr20180315.html
*2 プロポリス,ローヤルゼリーの腸内免疫,整腸作用及び放射線防護に関する研究、日本薬学会年会要旨集, 2011.
*3 https://www.atpress.ne.jp/news/112651
*4 https://health.kirin.co.jp/ps/about/comparison.html
*5 http://www.catechin-society.com/effect_02.html

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