保湿クリームOEM完全ガイド~製造・開発の流れやトレンドを解説

  • 2022.09.30
保湿クリーム oem

冬場の需要期を狙い、毎年夏の終わりから秋にかけて新商品が続々と市場に登場する保湿クリーム。今回は、保湿クリームのOEM完全ガイドと称し、企画・製造の流れや商品のトレンド、試作のポイントなど、保湿クリームOEMに関わる情報を一挙に解説します。

目次
1.保湿クリームOEM/ODMの基礎
1-1.OEM/ODMについて
1-2.保湿クリームとは?
1-3.クリームとは?
2.保湿クリームOEMの基本的な流れ
2-1.工程①:商品企画・OEM/ODM先選定
2-2.工程②:容器選定、バルク試作
2-3.工程③:各種試験・調査
2-4.工程④:パッケージデザイン検討
2-5.工程⑤:薬事申請
2-6.工程⑥:製造
2-7.工程⑦:発売
3.保湿クリームOEMの納期
4.保湿クリームOEMの費用について
5.保湿クリームのOEM商品開発のポイント
6.保湿クリームの商品化例
6-1.フェイスクリーム
6-2.ハンドクリーム
6-3.目元(アイクリーム)
6-4.ボディクリーム
7.まとめ

保湿クリームOEM/ODMの基礎

OEM/ODMについて

OEMとは「Original Equipment Manufacturer」の略語で、日本語にすると「受託製造者」という意味です。保湿クリームの製造開発においては、依頼を受けて「お客さまブランドの保湿クリームを製造するベンダー」のことを指します。また、ODMというものもあります。ODMとは「Original Design Manufacturer」の略語で、OEMは「製造のみ」、ODMは「企画から製造まで」という点が違います。

保湿クリームOEM会社でも企画部分から提案可能なケースもありますが、基本は製造受託を対象としています。そのため、商品の企画経験がない、企画が漠然としていてサポートが必要、といった場合は、OEMではなくODMが対応可能である会社に相談する方が安全です。本記事では統一して「OEM」として説明いたします。OEMとODMは共通する部分が多いため、まずはOEMとして理解を深めましょう。

関連記事:化粧品・コスメOEMとODMの違い~メリットとデメリット・選び方とは?

保湿クリームとは?

そもそも「保湿クリーム」とは、文字通り保湿するクリームのことで、角質層にうるおいの膜を張って肌を保護し、油分を補うと共に水分の蒸発を防ぐ役割があります。

美容成分を配合しやすい剤型のため、保湿に特化したもの、美白有効成分が入ったもの、エイジングケアを意識したものなど、種類も豊富です。容器もジャーやチューブ、使用感もこってりからさらっと、使用部位も手、顔、目元などバリエーションも作りやすく、中には乳液とクリーム機能を兼ね備えた商品もあります。

保湿クリームは、気温と湿度が低下する冬に使用者が増えるため、8月下旬〜9月にかけて発売が相次ぎます。近年では長期的なマスク着用に伴い使用後すぐにマスクをつけてもべたつかない、肌表面をマットな手触りに整える朝用クリームや、ナイトクリームや美容クリームなど、スペシャルケアに位置づけした商品展開が活発化しています。

クリームとは?

クリームは、水分・油分・保湿剤をバランスよく配合しているため、水と油を混ざり合わせる乳化が欠かせません。乳化には大きく2タイプあり、使用感に違いがあります。

  • O/Wクリーム:水の中に油が分散している状態です。さらっとしていて、みずみずしい使用感が特徴です。
  • W/Oクリーム:油の中に水が分散している状態です。コクがあって、軟膏のような被膜感がある使用感が特徴です。

*配合する油剤などの成分により、使用感はこの限りではありません。

どちらの乳化タイプでも、クリームには水分も油分も適度に配合されているため、水溶性油溶性に関わらず、美容成分を豊富に配合することができます。また、ジャー容器は容器タイプや形状が豊富で、こだわりの容器を選ぶこともできます。オリジナル性を視覚的にアピールしやすいアイテムと言えるでしょう。

保湿クリームOEMの基本的な流れ

保湿クリームOEM製造を行うとなった場合、大まかには以下のような流れになります。処方や容器、包装仕様などによって詳細は異なりますが、各工程の基本事項や注意点は共通しているため、それらを解説します。

工程①:商品企画・OEM/ODM先選定

保湿クリーム開発は、ターゲット層・商品コンセプトに加えて、上述のような成分やパッケージデザイン、テクスチャー、使用部位など、決めるべきことが多岐にわたります。肌に触れるものだけに関連法規や規制も数多くあります。そのため、自社だけで企画すると、薬事面や処方面の理由で商品化できない、といった事態になりかねません。

そのため、大まかな商品イメージを固めたら、早い段階でOEMメーカーに声をかけ、相談しましょう。オリジナリティを演出するための大切な要素である美容成分や市場へのアピール方法についても、よりよいアドバイスが得られます。その際、以下の項目は最低限、社内で合意を取っておきましょう。
・商品コンセプト・発売したいアイテム・ターゲット層
・発売価格・発売時期
・容量・希望容器イメージ

関連記事:OEMメーカーの選び方講座~化粧品OEM・健康食品OEM先はどう選ぶ?

工程②:容器選定、バルク試作

ある程度企画が決まったら、バルク(保湿クリームの中身)と外見(保湿クリームの容器)の検討が始まります。OEMメーカーにバルクや容器、使用感などの要望を伝えると、OEMメーカーはバルクや容器の相性を考慮した上でお客様に提案し、改良や変更を重ねながらお客様の理想の商品を一緒に作り上げていきます。

イメージが湧いていない場合は、OEMメーカーが持っている処方や容器を試すことも可能で、発売時期が決まっている場合はその中から納期に間に合う容器を選ぶこともできます。

工程③:各種試験・調査

化粧品は基本的に「適切な環境において未開封状態で3年間の品質保証」が求められます。また、肌に直接塗る商品の特性上、消費者に安心して使っていただける安全性を守ることが求められます。そのため、品質を担保するための安定性試験や皮膚に対する刺激をチェックするパッチテストなどの安全性試験を行います。ただし、試験を実施してもすべての方に皮膚刺激が起こらないということではありません。

関連記事:化粧品のアレルギーテスト/パッチテストとは?テスト済み表示のルール

工程④:パッケージデザイン検討

上記と並行して、保湿クリームのパッケージデザイン検討を進めます。パッケージデザインについては、法規に則った作成が必要です。

工程⑤:薬事申請

保湿クリームを含む化粧品や医薬部外品の販売は、いずれも申請が必要であり、その期間は「医薬部外品」と「化粧品」で大きく異なります。

化粧品であれば、届出で1か月かからず完了しますが、医薬部外品は申請〜承認が必要であり、3~6ヶ月程度と時間がかかります。医薬部外品でこの部分を短縮したい場合は、OEM先が持っている「承認済み処方」を活用することも一つの手段です。

工程⑥:製造

薬事申請の届け出が完了または承認を得た後、原料や資材(容器・包装パッケージ)手配を行い、製造へと進みます。

原料や資材の手配期間は、種類によってさまざまで、特に容器がボトルネックになることが多く見られ、場合によっては手配だけで4か月かかることもあります。容器のチョイスは納品スケジュールに大きく影響するため、配慮が必要です。工場に原料・資材が届いたら、容器にバルクを充填、包装をして、製品の完成となり、お客様のもとへ届きます。

工程⑦:発売

発売時には広告用の商品写真が必要で、撮影用のモック(=見本、模型)も忘れないように準備しましょう。Webサイトであれば直前でも間に合いますが、チラシや会報誌など印刷物に広告を掲載する場合は、納品より1か月ほど前の準備が必要です。容器が決定した時点でいつまでにモックが必要なのかをOEM先に伝えることで、余裕を持って準備できます。

無料OEM 商品企画~製造の流れガイド~【化粧品編】

保湿クリームOEMの納期

保湿クリームOEMにおいて、上記のような流れで進む場合、目安の納期は基本的には6か月程度、医薬部外品の保湿クリームの場合は1年程度を見込むようにしましょう。あくまで目安であるため、オリジナルの容器を作成するといった場合は1年以上かかることも少なくありません。一方、多少の工夫によって期間を短縮することができた東洋新薬の事例もございます。

  • コンセプト段階からOEM先に相談する
  • 容器、バルクは製造委託先の持っているものを活用する
  • OEM先がもっている承認済の処方を活用する
  • 企画の早いタイミングで容器の相談をする

このような対応によって、試験や検査、承認申請などの工程が省け、早いものであれば数か月で商品化、発売まで進んだケースもあります。短期間での商品開発を進めたい場合は、東洋新薬をはじめとしたOEM製造のプロにまずはご相談いただくとよいでしょう。

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保湿クリームOEMの費用について

保湿クリームの製造に関わるコストには、大まかに以下のような項目があります。

  • 商品企画
  • バルク(中身)の開発(試作/検査)
  • バルク(中身)の製造(量産)
  • 容器 (調達/材質選定)
  • パッケージ(デザイン、加工費※)※デザインを印刷する刷り版や化粧箱・内箱をカットする型代
  • 包装
  • 運送

そして、これらは通常の「化粧品」なのか、「医薬部外品」なのかによって費用が大きく異なります。医薬部外品を自社のメーカーで販売するには、厚生労働省の許可が必要であり、申請費用がかかりますが、OEMメーカーが保有する既存の処方をそのまま使用する場合は不要です。

生産ロットによっても費用が変動します。毎月の製造数が5,000個、10,000個、100,000個なのかによって製造単価が大きく異なり、多く製造すれば商品1つあたりの「単価」は安く抑えることができます。仮に、試験的な小ロットでの製造依頼を検討する場合でも、商品1つあたりの原価を抑える意味でロットを増やす(=経済ロットにする)ことも検討するようにしましょう。

保湿クリームのOEM商品開発のポイント

保湿クリームOEMにおけるポイントとして、「繊細な使用感に注意する」、そして「OEMメーカー使用感を適切に伝える」ことが挙げられます。

クリームの処方検討において、ほんのわずかな成分や調製方法の変更で使用感が大きく変わってしまうため、温度管理や調合工程を含め、綿密な処方設計が必要とされます。つまり、理想とするクリームの使用感を実現させるためには、試作時にどういった方向を目指したいのか(変更の際もどのように改良したいのか)を、正しくOEMメーカーに伝えることが重要といえます。

イメージ通りの使用感をOEMメーカーへ伝えるには、以下のポイントをおさえましょう。

  • 手に取ったときのクリームの「硬さ」「指どれ*」「光沢感」
  • 馴染ませているときの「伸びの良さ」「馴染みの早さ」「濃厚さ」
  • なじんだ後の肌の「保湿感」「指滑り」「弾力感」「被膜感」「肌のツヤ感」

たとえば「手にとった時は硬いジェル状、肌にのせた瞬間にさっと崩れるような使用感にしたい」といった具合に伝えましょう。イメージに近い競合商品があれば、さらに明確です。

*「指どれ」とは、指にクリームをとったときのとりやすさを表します。クリームに触れたときの「角の立ちやすさ」と表すこともあります。

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保湿クリームの商品化例

ここからは、保湿クリームの使用部位別の特徴と、注目のカテゴリをご紹介します。

フェイスクリーム

フェイス部位では、若年層では、みずみずしく伸び広がるクリーム。エイジングケア世代には、しっとりと濃密なクリームが好まれる傾向にあります。加齢とともに油分が減り、肌表面がかさつきやすくなるためです。

特に人気が高まっているカテゴリは、薬用アイテムです。クリームは化粧水と比較すると高価格で販売されるため、シワ改善・美白(メラニンの生成を抑えシミそばかすを防ぐ)といった明確な効能効果が訴求できる医薬部外品アイテムが人気。シワ改善アイテムが急拡大していること、マスクで擦れることで色素沈着に悩む人が増えていることも、需要が拡大している理由です。

ハンドクリーム

香りで癒されたり、ギフトアイテムの需要も高いハンドクリーム。感染症対策で手洗いや消毒が増えたことから、手荒れや乾燥が気になる人が増え、使用層が拡大しました。

使用感では、塗布後の馴染みのよさや、手洗いをしても塗り直しが不要な耐水性が求められています。

最近はSPF機能付きで、塗り忘れの多い手元の日焼け対策クリームや、手元をキレイに見せるトーンアップタイプが人気です。

「手指の消毒」が効能効果に含まれる指定医薬部外品も、新型コロナウイルスの影響で2020年に発売が相次ぎました。

目元(アイクリーム)

目元カテゴリでは、エイジングケア世代をターゲットとするアイクリームが、市場の中心です。

しかし最近では、PCやスマートフォンなどデジタルデバイスの利用拡大、マスク着用で目元が目立つことなどから、アイクリームは若年層向けに使用者層を広げています。

若年層向けアイクリームは、ブルーライトによる肌ダメージを抑制したり、くまをカバーするなどアイメイクの下地の役割をもつアイテムが多いです。メイク前にも使える肌なじみのよさや、肌の凹凸をなめらかにしてシワをぼかすような使用感が好まれています。

また、アプリケーター付の容器で、ライトなマッサージ効果を付与する商品もあります。

特徴的な容器を検討する場合は、容器をある程度決めてからクリーム(バルク)の開発に進むとよいでしょう。

ボディクリーム

ボディ用では、毎日使用しやすいポンプタイプの大容量商品や、フレグランス効果を高めた商品が目立ちます。

通販系では、コンプレックス商材であるセルライト対策・スリミングクリームや、バストアップクリームも引き合いの多い商品です。温感を付与するもの、マッサージしながら使える厚みのあるものなど、著名な機能性成分を配合しての商品化検討が可能です。

しかし、化粧品では「痩せる」「痩身」「バストアップ」といった表現は効能効果の範囲外です。商品化する場合は、関連法規を確認の上、ご検討ください。

まとめ

いかがでしょうか。今回は生活様式の変化などに伴い、さらに幅広い層向けにバリエーションも豊富になってきている保湿クリームのOEM商品化に役立つ完全ガイドとして、保湿クリームOEMの流れから費用、ポイントなどを一挙に解説しました。

保湿クリームの商品開発には多くの工程がかかり、知っておくべき情報や検討すべき事項は多岐に渡ります。その状況で、スピーディーに売れる商品を開発し、貴社のビジネスを成長させるためには、化粧品OEMのプロに相談することも重要といえます。

東洋新薬では、三相乳化技術を使用した保湿クリームが「軽やかに伸び広がるのに、しっとりとした使用感が長時間続く」と大変好評です。医薬部外品申請済みの三相乳化薬用クリームの処方もありますので、スピードOEM開発をご希望の場合は、ぜひ東洋新薬へお気軽にご相談ください。

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商品開発に携わってきた東洋新薬の視点から、過去実際に「売れた商品」に共通した7つのポイントを、ご紹介します。

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※1:日本製薬団体連合会ホームページ、医薬品等承認情報に基づき集計。調査期間:2016年1月1日~12月31日(当社調べ)
※2:消費者庁2023年1月20日発表情報より作成【許可取得実績数300件】
※3:消費者庁公開情報の製造受託を主たる業務とする企業の届出情報を基に、届出件数、独自エビデンス数を抽出・集計。(2022年8月31日時点、自社調べ)

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