機能性表示食品の商品開発を成功へ導く!主要「機能性関与成分」徹底解説&トレンド分析

  • 2025.12.17

この記事で分かること

  • 機能性表示食品制度の基本と、特定保健用食品(トクホ)との違い
  • 消化・代謝、認知・睡眠、美容、関節など主要分野ごとの機能性関与成分一覧と特徴
  • 届出数から見る2024年度の最新市場トレンドと注目の成分ランキング
  • 効率的なエビデンス確保の手法(SR/RCT)と、OEM/ODMを活用した商品化の進め方

近年、消費者の健康意識の高まりを受け、機能性表示食品の市場はかつてない拡大を見せています。

その一方で、健康食品・サプリメントの商品開発担当者にとって「どの機能性関与成分を選定すれば市場で勝てるのか?」 、そして「いかにして確固たる科学的根拠(エビデンス)を効率よく確保するか?」は、事業成功の鍵となる重要課題です。

本記事では、多岐にわたる機能性表示食品の中から、消化・代謝、認知機能・睡眠、目の健康・美容、関節の健康といった主要分野における機能性関与成分の全容を解説します。さらに、届出数ランキングから読み解く最新のトレンド分析、エビデンス評価の実務的なポイント、そして効率的な商品化を実現するOEM/ODM活用法までをご紹介します。

次なるヒット商品開発のヒントを、ぜひここから見つけてください。

機能性表示食品制度の基本と関与成分の定義

機能性表示食品とは?特定保健用食品・栄養機能食品との違い

消費者庁によれば、「機能性表示食品は、事業者の責任において、科学的根拠に基づき特定の保健の目的が期待できる旨を表示することができる制度」です。

  • 特定保健用食品(トクホ)が国による個別審査を要するのに対し、機能性表示食品は事前届出制であり、栄養成分以外の幅広い健康機能の表示が可能な点が大きな特徴です。この自由度の高さが、市場拡大の要因となっています。
  • 機能性表示食品に表示する特定の保健機能の対象者は疾病に罹患していない成人に限定され、疾病名を含む表示は認められていません。そして、安全性と機能性の科学的根拠を示す必要があります。容器包装には「国による評価を受けたものではない旨」「疾病の診断・治療・予防を目的としない旨」の表示が義務付けられています。
項目 機能性表示食品 特定保健用食品 栄養機能食品
審査・許可 事前届出制 個別許可 自己認証制・規格基準型
表示可能な機能 健康維持・増進機能 保健効能 栄養成分機能のみ
科学的根拠 SR又はRCT ヒト試験必須 規格基準適合
対象者 疾病に罹患していない成人 一般成人 一般成人
開発コスト 中程度 高い 低い

機能性関与成分とは?科学的根拠と安全性の基準

「機能性表示食品の届出等に関するガイドライン」では、「機能性関与成分とは、特定の保健の目的(疾病リスクの低減に係るものを除く。)に資する成分」と定義されています。健康機能の根拠となる成分のことです。食事摂取基準が定められた栄養素以外の成分であって、定性・定量分析が可能であることが条件となります。

  • 科学的根拠は、最終製品を用いた臨床試験、または機能性関与成分に関する研究レビューによって説明する必要があります。
  • 安全性評価は、喫食実績による説明、既存情報による食経験の評価、または安全性試験の実施のいずれかで行われます。医薬品との相互作用や複数成分を含む場合の成分同士の相互作用も評価対象となり、相互作用が報告されている場合は安全な理由を明確に説明しなければなりません。

このような厳しい基準があることで、機能性関与成分の品質と安全性が担保されています。

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分類別・機能別の主要な機能性関与成分

消化・代謝に関わる主要成分と特徴

消化・代謝に関する主要な成分としては以下のものがあります。

成分分類 成分名 主な機能性 備考
食物繊維 難消化性デキストリン 食後血糖値・脂質の上昇抑制、整腸作用 トウモロコシ由来が多く、飲料に配合されることが多い
イヌリン 腸内環境改善、便通改善、食後血糖値上昇抑制、血中中性脂肪低下、肌弾力 チコリ由来など由来は様々、プレバイオティクスとしても注目
大麦若葉由来食物繊維 腸内環境改善・便通改善、肌のうるおい、睡眠 非精製の植物由来食物繊維
オリゴ糖 フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖 ビフィズス菌の増殖促進、整腸作用 プレバイオティクスとして機能
アミノ酸 HMBカルシウム(β-ヒドロキシ-β-メチル酪酸) 筋肉量・筋力維持、腹部脂肪低減 筋肉の生成・分解抑制に関与
脂質関連 中鎖脂肪酸(MCT) 脂質代謝・燃焼、体脂肪低減、疲労感軽減、筋力維持 ケトン体生成を促進する特性あり
植物由来 葛の花由来イソフラボン (テクトリゲニン類として) 体脂肪低減、脂肪分解・燃焼、エネルギー消費量増加 褐色脂肪を活性化する
茶カテキン・ガレート型カテキン 体脂肪低減 脂肪の吸収抑制や脂肪の燃焼作用がある
ブラックジンジャー由来ポリメトキシフラボン 腹部脂肪低減、脂肪燃焼、歩行・筋力維持 運動時の脂肪代謝を高めるとされる
エラグ酸 体脂肪低減、LDL(悪玉)コレステロール低下、血中中性脂肪低下 脂肪細胞の成熟や増殖を抑制
酢酸 酢酸(酢由来) 脂質代謝改善、腹部脂肪低減、疲労感軽減 飲料やサプリに多く使用される
クエン酸 クエン酸 疲労感軽減、エネルギー代謝促進 柑橘類由来、ミトコンドリア活性化に関与

認知機能・ストレス・睡眠に関わる成分

認知機能・ストレス・睡眠に関連する機能性関与成分としては、以下のようなものがあります。

認知機能に関わる成分
成分分類 成分名 主な機能性 備考
植物由来 イチョウ葉抽出物 記憶力・認知機能の維持 血流改善による脳機能サポート
カロテノイド ルテイン、ゼアキサンチン 視覚機能・認知機能の維持 黄斑部の保護、加齢による認知低下予防
アミノ酸 ホスファチジルセリン 記憶力・集中力の改善 脳細胞膜の構成成分として働く
DHA ドコサヘキサエン酸 脳の発達・認知機能の維持 青魚由来、神経細胞の構成脂質
ストレス緩和、睡眠の質に関わる成分
成分分類 成分名 主な機能性 備考
アミノ酸 GABA(γ-アミノ酪酸) 精神的ストレス・疲労感軽減、血圧低下、肌弾力、筋肉量維持、睡眠の質改善、認知機能の維持、活気活力の低下抑制 脳内の抑制系神経伝達物質として働く
植物由来 ラフマ抽出物 ストレス緩和、睡眠の質改善、月経前の気分低下抑制 中国原産の薬草、抗ストレス作用あり
アミノ酸 テアニン(緑茶由来) リラックス効果、ストレス軽減、睡眠の質改善 α波の増加による精神安定作用

目の健康・美容・関節の健康に関わる成分一覧

目・美容・関節の健康分野では、次のような成分があります。
目の健康についての市場は、デジタルデバイスの使用時間増加に伴う需要拡大が見込まれています。

目の健康分野
成分分類 成分名 主な機能性 備考
カロテノイド ルテイン・ゼアキサンチン 目の黄斑部の色素量を増やす、視覚機能維持など 加齢黄斑変性(AMD)予防にも注目
アントシアニン ビルベリー由来アントシアニン 目の疲労軽減、ピント調節改善 ブルーベリーよりもアントシアニンが高濃度
美容分野
成分分類 成分名 主な機能性 備考
ペプチド コラーゲンペプチド 肌の水分保持、弾力改善、膝・腰、骨など 魚由来が多く、肌の乾燥改善に届出多数
セラミド 米由来グルコシルセラミド 肌のバリア機能改善、水分保持 角層の水分量維持に関与
カロテノイド アスタキサンチン 肌の弾力・抗酸化作用、視覚機能維持、肩の負担など 紫外線ダメージ軽減にも作用
関節の健康分野
天然由来成分の需要が拡大しています。
成分分類 成分名 主な機能性 備考
糖類 グルコサミン塩酸塩 関節の柔軟性維持、痛み軽減 関節訴求商品に配合される成分として有名
タンパク質 非変性Ⅱ型コラーゲン 関節の動き改善、炎症抑制 鶏胸軟骨由来など、免疫調整作用あり
プロテオグリカン サケ鼻軟骨由来プロテオグリカン 関節の柔軟性改善 打錠品の採用が多い
植物由来 バナバ葉由来コロソリン酸 抗ロコモ(膝の違和感、軽減歩行能力向上、腰・肩の負担軽減)、筋肉量維持、内臓脂肪低減、空腹時血糖低減 筋量・筋力を維持・増加することで身体の悩みを改善
オリゴ糖 マルトビオン酸カルシウム 骨密度維持、ミネラル吸収、整腸 オリゴ糖の誘導体でプレバイオティクスとしても機能

機能性関与成分のエビデンス評価と安全性データの分析

SR(システマティックレビュー)とRCT(ランダム化比較試験)の違いと選択基準

機能性表示食品の科学的根拠として重要なSRとRCT。それぞれ異なる特徴を持っています。
SRは複数の研究論文を体系的に収集・評価し、総合的な結論を導く方法です。一方、RCTは対象者を無作為に群分けし、介入効果を直接検証する試験です。因果関係を明確に示すことができるため、医薬品の臨床試験でも標準的に用いられます。

どちらの方法を選ぶかは、以下の要素によって決まります。

  • 既存研究の量と質: 十分な数の高品質なRCTが存在する場合は、システマティックレビューが有効。
  • 成分の新規性: 新しい成分や独自素材の場合は、自社でRCTを実施する必要がある。
  • 表示したい機能性の明確さ: 因果関係を強く示したい場合はRCTが望ましい。
  • コストと時間の制約: 中小企業ではシステマティックレビューが現実的な選択肢となることが多い。

SRとRCTには、それぞれに強みと限界があります。成分の特性や事業者の戦略によって適切な手法を選択することが重要です。

機能性関与成分の安全性データ

機能性表示食品の安全性評価は、以下の3つの柱で構成されています。

①食経験の有無

最も基本的な安全性の根拠は「食経験」です。長年にわたり一般的に食されてきた実績があるかどうかです。
例:コラーゲン、イヌリン、GABAなどは、食品として広く摂取されてきた実績がある。
しかし、「食経験がある=安全」とは限らず、摂取量や加工形態によっては追加の安全性評価が必要です。

②毒性試験・安全性試験

食経験が不十分な場合や新規成分の場合は、動物試験やヒト試験による毒性評価が必要です。

  • 急性毒性試験: 短期間での摂取による影響を評価
  • 亜慢性毒性試験: 一定期間の摂取による影響を評価
  • ヒトでの長期摂取試験: 実際の摂取量での安全性を確認

これらの試験結果は、消費者庁への届出資料として添付され、公開されます。

③摂取量の妥当性

安全性は「量」にも依存します。いくら安全な成分でも、過剰に摂取すれば健康被害のリスクが生じます。
届出では「一日摂取目安量」が明記されており、その量での安全性が確認されている必要があります。

医薬品との違い 開発担当者が知っておくべき法規制ポイント

機能性表示食品は消費者庁が監督し、届出によって事業者の責任において販売可能となります。
一方、例えば指定医薬部外品は厚生労働省が監督し、個別審査による承認が必要です。

  • 表現: 機能性表示食品はあくまで食品であり、「健康な人が健康を維持する」機能性までしか言及できません。医薬品は具体的な症状を記述した効能・効果の表示が可能です。
  • 成分: 機能性表示食品の機能性関与成分としては、栄養素以外のほぼ全成分が対象となり得ます。指定医薬部外品の有効成分はビタミン類、アミノ酸類、生薬等に限定されます。
  • 商品名: 機能性表示食品が自由度の面で優位です。指定薬部外品の商品名には制限があります。
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機能性表示食品の商品開発

効率的な準備を

機能性表示食品の届出において、申請から承認までの期間短縮は販売する企業にとって非常に重要です。効率的な準備として、まず事前の調査を実施し、機能性関与成分と届出表示の文言を慎重に検討します。

  • 2025年4月以降は確認期間が「60営業日」、新規成分は「120営業日」まで延長されたため、スケジュール設計がより重要になりました。
  • 不備指摘(差戻し)を避けるため、既存の表示文言を活用するなどし、必要書類を漏れなく準備することで、スムーズな届出受理につなげることができます。

機能性表示食品のトレンド分析:2024年度届出数上位の成分と機能性

2024年度、機能性表示食品の届出件数は過去最多を記録しました。消費者の健康志向の高まりもあり、届出数の多い成分や機能性からは、ニーズが反映された市場のトレンドが見えてきます。

  • GABAが人気を誇っています。これは、ストレス緩和や睡眠の質向上、認知機能維持など多様な機能性を表示できる点があるといえます。
  • このほか乳酸菌、ルテイン・ゼアキサンチンなど、ストレス軽減や腸内環境改善、視覚機能維持といった日常的な健康課題に対応する成分が上位を占めています。
  • エラグ酸やブラックジンジャー由来成分も、体脂肪や筋力維持など生活習慣病予防に寄与し、幅広いニーズに応えています。
順位 成分名 主な機能性
1位 GABA(γ-アミノ酪酸) 精神的ストレス・疲労感軽減、血圧低下、肌弾力、筋肉量維持、睡眠の質改善、認知機能の維持、活気活力の低下抑制
2位 乳酸菌(各種) 腸内環境改善、免疫機能維持
3位 ルテイン・ゼアキサンチン 目の黄斑部の色素量を増やす、視覚機能維持など
4位 エラグ酸 体脂肪低減、LDL(悪玉)コレステロール低下、血中中性脂肪低下
5位 ポリメトキシフラボン(ブラックジンジャー由来) 腹部脂肪低減、脂肪燃焼、歩行・筋力維持

(消費者庁機能性表示食品届出データベースから集計)

今後は、以下のような傾向が強まると予想されます。

  • メンタルケア・睡眠領域のさらなる拡大
  • 中高年向けの認知機能・骨・関節ケアの強化
  • 複数機能を訴求する“マルチ機能型”商品の増加
  • 安全性・エビデンスの強化による信頼性競争

OEM/ODM活用による機能性表示食品の商品化

OEM/ODMを活用したサプリメント形状の機能性表示食品の商品化では、自社開発に比べて大幅な期間短縮とコスト削減が実現できます。

製造設備といった大きな初期投資が不要であり、専門メーカーの豊富な経験とノウハウを活用することで、開発から上市まで約1年程度での商品化が可能となります。

独自素材の採用や製剤技術の工夫によって差別化を図ることで、ターゲット層に応じた商品設計を実現し市場での優位性を確保できます。

まとめ

いかがでしょうか。本記事では、機能性表示食品制度の基本から、市場トレンドを反映した主要な機能性関与成分の体系的な分類、さらにはエビデンス評価や安全性データの分析、効率的な商品開発の進め方までを包括的に解説しました。

市場の成長とともに、メンタルケア・睡眠領域のさらなる拡大や、複数機能を訴求するマルチ機能型商品の増加など、今後のトレンドはより複雑化していくことが予想されます。このような競争の激しい市場において、最短・最小のリスクで市場ニーズに合致した機能性表示食品を開発するためには、確かな実績と専門ノウハウを持つパートナーの存在が不可欠です。

東洋新薬は、機能性表示食品の黎明期から多数の届出実績を持ち、成分選定からエビデンス設計、製造、そして最終的な届出サポートに至るまで、トータルで貴社の商品開発を支援します。ぜひ、お気軽にご相談ください。経験豊富な担当者が、貴社に最適なソリューションをご提案いたします。

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※1:日本製薬団体連合会ホームページ、医薬品等承認情報に基づき集計。調査期間:2016年1月1日~12月31日(当社調べ)
※2:消費者庁2024年8月15日発表情報より作成【許可取得実績数300件】
※3:消費者庁公開情報の製造受託を主たる業務とする企業の届出情報を基に、届出件数、独自エビデンス数を抽出・集計。(2024年5月31日時点、自社調べ)

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