化粧品OEM容器の選び方~役割と材質、形状、デザインの考え方

  • 2021.08.23
化粧品 OEM 容器

化粧品・コスメのビジュアルを左右する容器。コスメには「パケ買い」という言葉もあるほど、容器とデザインは消費者の購買意欲に訴える要素のひとつです。また、化粧品・コスメの容器はビジュアル性だけではなく内容物を守る品質管理としての役割があり、さらに商品開発時には、納期やコストに多大な影響を及ぼします。

そこで今回は、化粧品・コスメOEMの商品開発に欠かせない「容器」の考え方と選び方について解説します。

関連情報:化粧品OEM完全ガイド~成功事例から最新トレンドまで一挙ご紹介

目次
1.化粧品OEMで容器・パッケージが重要な理由
1-1.ブランドイメージの構築
1-2.化粧品の保護
1-3.ユーザーの利便性向上
2.化粧品・コスメ容器の機能
2-1.機能1:内容物の保護
2-2.機能2:使いやすさ
2-3.機能3:デザイン性
2-4.機能4:環境配慮
3.容器を構成する要素
3-1.材質
3-2.形状
3-3.デザイン
4.SDGs対策を意識した容器選定4つのポイント
5.化粧品容器で他社との差別化を図るヒント
6.OEM委託先変更時の容器に関する3つの注意点
7.まとめ

化粧品OEMで容器・パッケージが重要な理由

化粧品OEMにおいて、容器・パッケージは非常に重要です。商品開発者であれば当たり前に認識していることかと思いますが、まず初めに容器・パケージが重要な理由を大きく分けで3つご紹介します。

ブランドイメージの構築

パッケージや容器は、商品のブランドイメージを伝える重要な要素です。魅力的で高級感のあるデザインや素材を使用することで、消費者に商品の品質や価値をアピールすることができます。

化粧品の保護

パッケージや容器は、化粧品を外部の要素から保護する役割を果たします。適切な密封性や耐久性を備えたパッケージや容器を使用することで、製品の品質や効果を保つことができます。

ユーザーの利便性向上

パッケージや容器のデザインは、製品の使いやすさや持ち運びの便利さに影響を与えます。使いやすいポンプやスプレーボトル、コンパクトなサイズなど、消費者が製品を簡単に使用できるようにすることで、顧客満足度を高めることができます。

化粧品・コスメ容器の機能

化粧品・コスメの容器には、主に以下に挙げる4つの機能があります。

機能1:内容物の保護

化粧品・コスメの容器は商品の輸送〜開封、使い切りまで、品質を担保する役割があります。

例えば光によって劣化する製剤の商品は、不透明な容器を使用する必要があります。空気と触れ合うことで酸化が起こりやすい成分を配合する場合は、気密性の高い容器が必須となります。また、容器の材質と内容物の組み合わせの相性が悪いと、分離などの悪影響を起こすリスクがあります。

そのため品質が担保できるかを確認する、内容物(バルク)と容器の相性を見る「容器試験」を実施します。

関連情報:化粧品・コスメOEM商品開発 〜試作品・バルク評価のコツ

機能2:使いやすさ

化粧品・コスメの容器は安全に使えることはもちろんのこと、開けやすさや持ちやすさ、重さや大きさ、保管のしやすさも求められます。化粧品・コスメのバルクはさまざまな粘度や固形や形状をしているため、特性により容器を選択する必要があります。

例えばポンプ容器は内容物が簡単に、適量を出せる利点がある一方、粘度の高い内容物には不向きです。粘度が高い内容物にはチューブ容器が最適です。

使用シーンや内容物の特徴を考慮しながら、容器を検討しましょう。

機能3:デザイン性

嗜好品でもある化粧品・コスメの容器(パッケージ)はデザイン性が求められます。店頭の陳列で目に留まる、ドレッサーや洗面台に置いて使用する際に幸せな気持ちになるなど、商品の魅力を最大限に引き出すことができます。

法定表示を守りながら魅力的なデザインを考えることが、多くの消費者に手に取ってもらうポイントです。

機能4:環境配慮

近年は消費者の環境意識の高まりから、容器の消費を減らす詰め替え用商品、リサイクルPETなど環境に配慮した素材を使うケースが増えています。

商品開発時に商材イメージをOEM/ODMメーカーに伝えることで最適なバルクおよび容器が提案してもらえます。容器をお客様ご自身で手配する場合も、容器の設計段階からOEM/ODMメーカーに共有しておくと、商品開発がスムーズに進められます。

関連情報:エコ・レフィル・使い切り容器 ― 環境配慮・SDGs対策のヒント

無料OEM 商品企画~製造の流れガイド~【化粧品編】

容器を構成する要素

化粧品・コスメの容器はさまざまな材質と形状があり、商品に合わせて選択が可能です。主な種類と特徴をご紹介します。

材質

大きく、ガラスまたは樹脂に分かれます。

・樹脂容器
最もメジャーであり、安価で軽く、適度な光沢と清潔感から化粧品・コスメ容器にピッタリな材質です。
透明度の高いものから不透明なもの、加工しやすい特性を生かして形状もさまざまで、デザイン選択の幅も広い特性があります。透明性や硬さ・光沢感やアルコールなど内容物との相性により、樹脂の種類が変わります。

・ガラス容器
高級感を与えられるのが一番の特徴です。また、熱や空気による酸化に強いため、外部からの影響によって変質しやすい内容物に適しています。しかし、重たく衝撃に弱いため、通販主体の販路では注意が必要です。

形状

さまざまな形状がありますが、ここではスキンケアでよく用いられるチューブ・ボトル・ジャー・パウチをご紹介します。

●チューブ

中身を押し出して使用するため、柔らかい樹脂で作られます。内容物の粘度や使用量によって口径(吐出部分の大きさ)を選びます。持ち運びに便利な形状であり、洗顔やクレンジングジェル、ボディ・ハンドクリーム、日焼け止めなどでよく使用されます。

●ボトル

自立し、省スペースで陳列可能です。選択の幅が広いため、細分化してご紹介します。

キャップ+ボトル+中栓タイプ
ポンプを使用せず、入口の狭い中栓を付けて使用する容器です。比較的粘度の低い、化粧水や乳液で使用されます。ボトルの中でも安価な仕様です。

ポンプ+ボトル(+キャップ)
2プッシュなど使用量がわかりやすい点がメリットです。
化粧水、美容液、乳液、シャンプー、コンディショナーなど幅広い化粧品・コスメに使用されます。

エアレスボトル(+キャップ)
見た目はボトルやチューブの形状です。粘度が高い内容物でも採用可能です。空気に触れず、新鮮な状態を保てるメリットがある半面、コストは高価です。

●ジャー

粘度のあるクリームやオールインワンジェル、ヘアトリートメントなどで用いられます。サイズやデザインが豊富であり、スパチュラ(ヘラ)を同梱することが多く、ジャーの中に内包できるタイプもあります。

●パウチ

ボトルやジャー容器と比べると樹脂量が少なく、軽量で省スペース、幅広い内容物に対応可能です。キャップ付のものをスパウトパウチと呼びます。以前は詰め替え用や試供品としての需要が多かったのですが、物流コスト削減や環境配慮の観点から、近年では本製品にも採用されています。

材質/形状 チューブ ボトル ジャー パウチ
樹脂
ガラス ×
※本体部分のみ

※本体部分のみ
×

デザイン

規格品の容器に着色、印刷、ラベル貼りなどの加工を加え、オリジナル性を付加することを「加飾」と呼びます。

加飾の組み合わせにより「高級感」「かわいらしさ」「おしゃれ」などの商品コンセプトに合わせたパッケージを作り上げることができます。

●加飾の例

・着色
容器・付属品の生地そのものに色を練り込んで色をつけます。不透明、透明の選択も可能です。
色味の選択だけでなく、キラっと輝くようなパール調の光沢を出すこともできます。

・印刷
印刷する色の数、色味を選択することができます。

・塗装
ガラスや樹脂表面をコーティングします。グラデーションなどの演出も可能です。

・蒸着
素材表面に金属の皮膜を形成します。メタリック調になり、高級感が与えられます。

・金冠
キャップやディスペンサーに金属を被せたもの。金属独特の高級感が演出できます。

加飾内容によりロットや開発期間、費用への影響が出る場合がありますので、OEM/ODMまたは容器メーカーにご相談ください。

無料OEM 商品企画~製造の流れガイド~【化粧品編】

SDGs対策を意識した容器選定の4つのポイント

①エコ容器の採用
1点目は、エコ容器の採用。近頃は、エコ容器の代表格であるバイオマスプラスチック容器も、普及と共に価格が下がり、採用するお客様が増加しています。
他にも、印刷に植物性インクの採用や、薄くて軽いフィルム容器を選択されるお客様も増えています。

②無駄を省く
また、「極力無駄を省くことこそがエコ」という観点もあります。シンプルな容器に合わせ、デザインもシンプルを追求したお客様では、ブランドのヴィジュアルやWebサイトも、他社とは異質な洗練されたものに仕上がりました。するとその結果、「無駄がないのが格好いい」「自分の考えと一致する」として、固定ファンが獲得できたそうです。

長年、重厚感を重んじてきたあのシャネルでさえ、近頃は環境に配慮した容器を次々発表しています。素材の使用量を減らし容器自体を薄くしたり、装飾目的のコーティングを省くことで、容器をリサイクルしやすい状態にするなど、引き算の設計をしています。

③レフィル容器
また、レフィル容器も、以前とは大きく進化を遂げています。レフィル(英: refill)またはリフィルは、「詰め替え」のこと。かつてはチープなイメージが強く、ハイブランドではあまり見られませんでしたが、近頃の百貨店ブランドの商品はレフィル容器で溢れています。シャネル、イヴ・サンローラン、ランコム、POLAのB.A、KOSEのコスメデコルテなど、名高いハイブランドが次々とレフィル容器を採用しています。

デザイン次第でレフィル容器ならではの美しい外観を実現できます。レフィルは本品より少し安くすることでリピートも見込めることから、本品価格から10%前後低めに設定、販売しているところが多いようです。

ユニークなレフィル容器もあります。例えば、まるで試験管のような美容液用の縦長レフィル容器。ドクターやサイエンスティックな雰囲気の外観で、消費者がレフィルするときに気分が上がることは間違いなしです。東洋新薬でもカップシーラーのレフィル容器の充填ができますので、ぜひお気軽にご相談ください。

④最後まで使い切る
「最後まで使い切る」ことも、エコの観点から重要です。通常のポンプ容器ではなかなか最後まで使い切れないという課題を、弊社はインナーボトルという容器で解決に導きます。韓国の企業と提携し、最後まで使い切りやすい容器を開発しておりますので、ご興味がある方はぜひご相談ください。

化粧品容器で他社との差別化を図るヒント

容器で他社と差別化を図るには、自社でデザイナーと共に「型起し」ができればそれに越したことはありませんが、大半の化粧品ブランドオーナー様では難しいでしょう。ですので、メーカー汎用の容器において加飾や着色、パッケージデザインにより、独自性や差別化、自社らしさを「魅せる」必要があります。

その際、国内ブランドだけを参考にすると、どうしても似たり寄ったりに・・・。ぜひ、海外にも目を向けてみることをオススメします。

今ではさまざまな通販Webサイトで、世界中のメーカーの日本にはないデザインの商品を見ることができます。「Amazon」なら言語がわからなくてもレイアウトが日本と同じですので、直感的にビューティーカテゴリに到達できます。米国なら化粧品専門店「Sephora」のWebサイトを参考にしている方も多いのではないでしょうか。

もちろん国民性や文化、嗜好性が異なるのでそのままとはいかないまでも、アイデアや斬新さは大いに刺激的で、参考になる点も多いでしょう。特に若年層はセオリーとは異なる斬新なアイテムを好む傾向が高いので、思い切ってチャレンジしてみるのも面白いかもしれません。

無料OEM 商品企画~製造の流れガイド~【化粧品編】

OEM委託先変更時の容器に関する3つの注意点

製造委託先を変更する際、多くのお客様は容器もそのまま踏襲したいと希望されます。製造委託先が変わっても、容器はそのまま同じものを使い続けることは、できるのでしょうか?

結論から言えば、現行商品が「お客様側で容器を決定し、発注している」か、「容器の選定および調達を委託先に委任している」かにより、異なります。

お客様側で容器メーカーと直接交渉、発注しており、いわゆる「支給容器」として製造委託先に提供している場合は、そのまま使用できます。ただし、印刷されている「製造販売元」と「全成分」の表記を変更する必要があります。

1.こちらのコラムで解説した通り、製造委託先を変更することで内容物の処方に変更が生じます。それに伴い、容器と内容物の相性を改めて確認する必要があり、安定性上問題がないか試験を行う必要があります。

2.その容器が新しい委託先で充填できるかを確認する必要があります。容器の形状やサイズ、充填方法によっては、新たな製造委託先が対応できずに外注となり、コストやスケジュールに影響が出る可能性があります。早い段階で確認しておきましょう。

3.従来品と同じ仕上がりか、を確認する必要があります。新たな委託先で問題なく製造できた場合でも、ロットの印字方法やチューブの仕上がり寸法、シールパターンなどが異なる場合があります。市場のチューブ製品をよく見てみると、シール部分に横線や縦線、斜め線が入っている、また両端のカットが尖っている、丸いなど、仕様がさまざま異なっています。一見小さな違いですが、見比べてみるとかなり違いが生じます。そのため、新委託先でディテールがどこまで踏襲できるか、確認しておきましょう。

まとめ

いかがでしょう。化粧品・コスメの容器の役割や材質、形状、デザインのバリエーションをご理解いただけたでしょうか。化粧品・コスメの容器はビジュアルだけではなく、内容物を守る品質管理としての役割があり、商品開発時には納期やコストに多大な影響を及ぼします。

東洋新薬は企画の初期段階から納品まで、常にお客様に寄り添う対応を心がけています。
化粧品・コスメの開発を検討される際はぜひ、東洋新薬へご相談ください!

>関連情報:化粧品OEMサービス

無料OEM 商品企画~製造の流れガイド~【化粧品編】

医薬部外品の商品開発を例に、化粧品・コスメのOEM製造の流れをまとめた資料です。お客様側とOEM側のそれぞれの対応や注意点などをご紹介します。

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※1:日本製薬団体連合会ホームページ、医薬品等承認情報に基づき集計。調査期間:2016年1月1日~12月31日(当社調べ)
※2:消費者庁2024年8月15日発表情報より作成【許可取得実績数300件】
※3:消費者庁公開情報の製造受託を主たる業務とする企業の届出情報を基に、届出件数、独自エビデンス数を抽出・集計。(2024年5月31日時点、自社調べ)

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