「葛の花エキス(葛の花イソフラボン)」の特性をご紹介!
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- 2020.10.14
抗肥満素材としていま注目の「葛の花エキス」。聞いたことがある方も、初めて聞くという方にも「葛の花エキス」やその機能性成分である「葛の花由来イソフラボン(テクトリゲニン類)」を今よりちょっと知ってもらえればと思います。
葛(くず)とは?なぜ中国の葛の花を使っているの?
葛(くず)とは、日本、中国、台湾、東南アジアをはじめ世界中に分布する、マメ科クズ属の多年生植物です。
日本では葛根湯の原料である「葛根」や、葛きりや葛餅などの原料である「葛粉」など、その根部が一般的。一方、中国や東南アジアにおいては、その花部も古くから利用されています。葛の花部は、「葛花(かっか)」と呼ばれ、消酒効果が期待され利用されてきました。1)
また、食用としても、中国南部およびその近辺の香港やマカオなどの地域で「五花茶」という5種類の植物の花を使用したお茶の原料として用いられており、少なくとも1950年代頃から飲用されていたと言われています。2,3)
実は、いわゆる葛と呼ばれる植物には複数の種類(亜種)があり、日本と中国の葛は異なる種類で含有成分も異なります。
「葛の花エキス」は、中国南部地域に自生する葛(Pueraria lobata subsp. thomsonii)の花部より熱水抽出した粉末です。葛の花エキスはテクトリゲニン類(葛の花イソフラボン)という特徴的なイソフラボン類を豊富に含有しますが、日本の葛の花には、このテクトリゲニン類(葛の花イソフラボン)はほとんど含まれません。4)
出典:1.難波恒雄,和漢薬百科図鑑[Ⅱ],保育社, 105, 1994
2.吉江紀明ほか, Food Style 21, 17, 33-36 , 2013
3.Chen Q. et al., J Med Plant Res., 6, 3351-3358, 2012
4.野原稔弘ら,薬学雑誌,124,183-205,2004
葛の花イソフラボンとは?大豆イソフラボンとの違いは?
イソフラボンと言えば大豆イソフラボンを思い浮かべる人が多いと思いますが、「葛の花エキス」に含まれるイソフラボン(葛の花イソフラボン )は大豆イソフラボンとは異なります。
大豆イソフラボンはゲニステイン、ダイゼイン、グリシテインの3 種類のアグリコンとそれらの配糖体(ゲニスチン、ダイジン、グリシチン)、配糖体のアセチル化体、及びマロニル化体が知られています。一方で、葛の花に含まれる特徴的なイソフラボンはアグリコンであるテクトリゲニン(Tectorigenin)とそれらの2つの配糖体テクトリゲニン-7-O-キシロシルグルコシド(Tectorigenin -7-O-xylosylglucoside)、テクトリジン(Tectoridin)です。イソフラボン基本骨格は同じですが、成分としては全く異なり、故に効果も異なるのです。
葛の花イソフラボン
大豆イソフラボン
大豆イソフラボンは化学構造が女性ホルモン(エストロゲン)と似ており、生体内でエストロゲンの受容体と結合することで、いくつかの作用を発揮することが知られています。
その作用は、良い影響と有害な影響の両方をもたらす可能性があります。例えば、骨粗しょう症、前立腺がん、乳がんなどの予防効果が期待される一方で、乳がんの発症や再発といったリスクを高める可能性も報告されているのです。
「葛の花エキス」に含まれるイソフラボン(葛の花イソフラボン)のエストロゲン様作用は、大豆イソフラボンと比較して極めて弱く、また「葛の花エキス」による子宮肥大作用は認められなかったことから、葛の花エキスは生体内においてはエストロゲン様作用(女性ホルモン様作用)を発揮しないものと考えられています。5)
「葛の花エキス」に含まれるイソフラボン(葛の花イソフラボン)は、大豆イソフラボンと異なりエストロゲン様作用は期待されませんが、逆にエストロゲン様作用によるリスクも少ないと考えられるのです。
5.Kamiya T. et al., Pharmacol Pharm., 4, 255-260, 2013
「葛の花エキス(葛の花イソフラボン)」の効果は?副作用はあるの?
「葛の花エキス」の効果としては、抗肥満作用が複数のランダム化比較試験(RCT)より確認されています。6-10)
これらヒト試験の実績から、2016年3月2日付けで「葛の花エキス」を関与成分とする粉末茶飲料「葛のめぐみ」が、「体脂肪、お腹の脂肪、お腹周りやウエストサイズが気になる方に適する」旨の、特定保健用食品(トクホ)の表示許可を取得しています。
また、2015年4月に施行された機能性表示食品制度においては、「葛の花由来イソフラボン(テクトリゲニン類として)」を機能性関与成分とする、さまざまな食品形態の機能性表示食品が研究レビューを機能性の根拠として届出されています。
通常、食品への効果・効能の表示は禁止されていますが、特定保健用食品または機能性表示食品であれば効果や機能性を表示することができます。特定保健用食品や機能性表示食品に使用できる「葛の花エキス」を扱うのは、東洋新薬だけです。
届出表示(一例):
【体脂肪減少訴求】
本品には、葛の花由来イソフラボン(テクトリゲニン類として)が含まれます。葛の花由来イソフラボン(テクトリゲニン類として)には、肥満気味な方の、体重やお腹の脂肪(内臓脂肪と皮下脂肪)やウエスト周囲径を減らすのを助ける機能があることが報告されています。
【エネルギー消費量増加訴求】
本品には、葛の花由来イソフラボン(テクトリゲニン類として)が含まれます。葛の花由来イソフラボン(テクトリゲニン類として)には、日常生活活動時や運動時(3.5メッツ程度のもの)のエネルギー消費(カロリー消費)を高める機能があることが報告されています。
【脂肪分解作用】
本品には、葛の花由来イソフラボン(テクトリゲニン類として)が含まれます。葛の花由来イソフラボン(テクトリゲニン類として)には、日常の身体活動による脂肪の分解を高める機能があることが報告されています。
【脂肪燃焼作用】
本品には、葛の花由来イソフラボン(テクトリゲニン類として)が含まれます。葛の花由来イソフラボン(テクトリゲニン類として)には、日常の身体活動による脂肪の燃焼を高める機能があることが報告されています。
※3.5Metsの運動負荷は、散歩や掃除機かけ、モップがけ、洗濯物干し、庭の草抜き、子供と遊ぶ、釣り、自転車に乗る(8.9km/h)、ゴルフ、トランポリン、ヨガ、卓球等の日常生活活動や運動と同程度の運動強度であり11)、普段行っている家事などの活動でのエネルギー消費アップも期待されます。
このように、葛の花由来イソフラボン(テクトリゲニン類として) を機能性関与成分としたさまざまな機能性表示食品のOEM商品開発が可能になっています。
機能性とともに安全性も気になるところです。葛の花由来イソフラボン(テクトリゲニン類として)に関して、複数の安全性試験を行っていますが、1日あたり124.8mgを継続的に飲用していただいた試験では、副作用は認められていません。ただし、体質や体調などによっては身体に合わないこともありますので、過剰摂取などはせず適切に摂取してください。
出典:6.Kamiya T.et al., J Heal Sci.,57(6),521–531, 2011
7.神谷智康ほか, 機能性食品と薬理栄養,7(3),233–249, 2012
8.Kamiya T.et al.:Biosci Biotechnol Biochem.,76(8),1511–1517, 2012
9.髙野晃ほか, 応用薬理,92(3/4),91–102, 2017
10.髙野晃ほか, 応用薬理,93(1/2),1–6, 2017
11.国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 改訂版「身体活動のメッツ(METs)表」
「エネルギー消費を高める」メカニズムとは?
肥満は、さまざまな生活習慣病を引き起こす原因と考えられています。肥満は食べ過ぎや運動不足などでエネルギーの摂取量が消費量を上回り、白色脂肪が過剰なエネルギーを脂肪として蓄積することで起こります。
そのため、「エネルギー消費量を高める」ことは、肥満の予防・改善の有効な方法と言えるのです。
脂肪は白色脂肪(いわゆる脂肪)と褐色脂肪に分けられます。褐色脂肪は、体温と体重を調節する”非ふるえ熱産生”と”食事誘発性熱産生”を担っています12,13)。また褐色脂肪における熱産生には、UCP1という炭水化物や脂質のエネルギーを「熱に変換」するタンパク質が重要な役割を果たしていることが知られています。
葛の花エキスに含まれるイソフラボン類には、褐色脂肪中のUCP1の発現およびエネルギー消費の指標である酸素消費量を有意に増加させる作用が報告されています14)。
したがって、葛の花エキス(葛の花イソフラボン)の摂取は、褐色脂肪におけるUCP1発現増加を介してエネルギー消費を増加させると考えられます。
引用文献:12. Cannon B. et al., The biochemistry of an inefficient tissue: brown adipose tissue. Essays Biochem., 20, 110-164, 1985.
13. Rothwell N J. et al., A role for brown adipose tissue in diet-induced thermogenesis. Nature., 281, 31-35, 1979.
14. Kamiya T. et al., The Isoflavone-Rich Fraction of the Crude Extract of the Puerariae Flower Increases Oxygen Consumption and BAT UCP1 Expression in High-Fat Diet-Fed Mice., Glob J Health Sci., 4, 147-155, 2012.
「葛の花エキス(葛の花イソフラボン)」を使用したサプリメントOEM開発事例
東洋新薬では「葛の花エキス(葛の花イソフラボン)」の機能性に着目したサプリメントのOEM開発を多数行っています。ここでは、OEM商品開発事例をご紹介したいと思います。
【サプリメント】ダイエット機能性表示食品
お客様の課題
- ダイエット自社商品を機能性表示食品として販売することを企画検討中。
- 美味しく続けられ、しっかり燃焼効果を高めて運動効率を上げる製品を作りたい。
東洋新薬のご提案
「葛の花エキス(葛の花イソフラボン)」を含んだダイエット素材・成分配合のダイエット代替食をご提案。多くのフレーバーを準備し、味の面からもご満足いただける製品としてリリースできます。
メタボ予防・改善サプリメント
お客様の課題
- メタボの予防・改善のためのサプリを短期間で商品化するように会社から指示されたが、はじめてなので何から始めたら良いのか分からず困っている。
東洋新薬のご提案
メタボ対策が期待される成分と訴求ポイントから「葛の花エキス(葛の花イソフラボン)」含む成分の中からお客様のご要望に沿った配合をご提案。
特定保健用食品や機能性表示食品の関与成分として許可・届出されている成分も多くあるため、短期間で信頼性の高い商品を開発できます。
まとめ
「葛の花エキス」は抗肥満素材として、多くの機能性表示食品へご採用いただいています。
抗肥満素材・成分はいろいろ知られていますが、体重、皮下脂肪、ウエスト周囲径という表現の入った届出表示が、特長の1つです。
「葛の花エキス」は溶解性、安定性などの物理化学的性質も優れており、青汁、スムージーをはじめとする粉末飲料、ペットボトル形態の液体飲料やゼリー飲料、錠剤やソフトカプセルなどのいわゆるサプリメント形態など、さまざまな食品形態への応用が可能です。
「葛の花エキス」のことをもっと知りたいという方は、ぜひ東洋新薬までお問い合わせください。
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