【化粧品OEM開発のお悩み解決!㉓】化粧品OEMでの「機能性原料」まとめ。メリットや注意点を解説
- 2023.01.12
化粧品OEMにおいて、機能性原料を配合すること、特に希少性が高い成分は大きなアドバンテージになります。今回は、その機能性原料について概要から採用するメリット、注意点などをまとめて解説します。
- 目次
- 1.化粧品における機能性原料とは?
- 1-1.機能性原料の概要
- 1-2.希少性の高い機能性原料について
- 2.化粧品OEMで機能性原料を使うメリット
- 2-1.個別ニーズへの対応と効果
- 2-2.競争力が高まる
- 3.化粧品OEMで機能性原料を使うときの注意点
- 3-1.原料の安全性
- 3-2.原料の調達におけるリスク
- 4.機能性原料の例
- 5.まとめ
化粧品における機能性原料とは?
機能性原料の概要
「機能性原料」とは、文字通り化粧品に特定の機能を与える原料のことで、「機能性成分」、「美容成分」、「有効成分」などとも呼ばれています。
そもそも、化粧品の成分は基本原料と特定の機能・作用を与える原料に大別されます。基本原料は水性成分、油性成分、界面活性剤(乳化剤)の3つを指し、これらが化粧品の成分のうち70~90%を構成しています。
機能性原料は「特定の機能・作用を与える原料」に含まれ、以下のような機能を与えることが目的です。
・肌の保湿
・シミ、そばかすの予防
・美白
・しわ改善
保湿効果をもたらす機能性原料としてヒアルロン酸が例に挙げられますが、基本的に1%も配合しないくらいの少量になります。このように、機能性原料は少量で効果を発揮できるため、後述する安全性などの観点から配合量を慎重に検討する必要があります。
「特定の機能・作用を与える原料」には機能性原料以外にも、安定化成分や香料、着色料などの成分があり、化粧品の種類や目的によって含まれる組み合わせや比率が異なります。
希少性の高い機能性原料について
上述したように、機能性原料は化粧品に特定の機能を与えるため、化粧品の価値を決める重要な一つの要素と言えます。希少な機能性原料を使用すれば、化粧品自体も希少価値が生まれ、商品の差別化という観点で大いに貢献するということです。
珍しい機能性原料の例としては、以下が挙げられます。
・日頃なかなか目にしない珍しい天然成分、植物由来成分など
・特定の地域で生育された植物やブランド野菜・果物から抽出されたエキス
・新たに効果が確認されたもの
・発酵技術や植物・ヒト由来の幹細胞の培養技術(近頃は定番化の傾向あり)
当社も「まだあまり知られていない、珍しい美容成分を配合したいのですが」という相談をたびたび受け、その都度自社のデータベースやネットワークを駆使して探索することがあります。そのほか、独自の原料を開発している化粧品の製造会社も存在します。
もし希少原料をお探しの場合は、OEMメーカーに「独自原料はありますか?」と尋ねてみるのが有効です。
化粧品OEMで機能性原料を使うメリット
化粧品に機能性原料を用いることで、以下のような点がメリットとして挙げられます。
個別ニーズへの対応と効果
肌の保湿、シミ・そばかすの予防などの特定の肌のニーズに対応した化粧品を作ることができ、該当の悩みを抱える消費者にとって最適な製品を届けられるでしょう。
競争力が高まる
「商品の差別化の観点」と上述した通り、機能性原料によって商品の差別化に寄与し、ニーズを解決できる価値の高い製品となれば、結果的に競争力が高められます。
特に、希少な機能性原料を用いて特定のニーズを解決できた場合、その市場は独占に近い状態となります。すでにレッドオーシャンである化粧品市場にとって、そのくらい「希少性の高い機能性原料」は非常に価値が高いものと言えます。
化粧品OEMで機能性原料を使うときの注意点
このように、機能性原料は魅力的に見えますが、ブランドオーナー様の中には「長年の採用・流通実績がない原料は採用しない」といったポリシーの企業も存在します。では、機能性原料を用いる上での懸念点は何なのでしょうか?
原料の安全性
まずは、やはり「安全性」でしょう。化粧品業界では、過去に大きな事件がありました。
2013年、美白の有効成分で2万人もの被害者が出た「白斑」の問題です。その少し前には、加水分解小麦由来成分によるアレルギー反応で皮膚障害、中には呼吸困難、意識不明を引き起こした「アナフィラキシーショック」で問題となり、化粧品の安全性そのものが不安視される状況に陥りました。その後、制度の厳格化、また業界全体の安全性への取り組みも高まりましたが、日本はグローバルの中でも慎重な姿勢を重視する市場と言えるかもしれません。
その一方で、「流通している原料はすべて安全である」とも言い切れません。大半は信頼できる原料メーカーですが、中には疑わしい業者も存在します。例えば、化粧品原料に関する経験と知識が非常に乏しい会社があり、調査してみると、自社ビジネスの偶発的な独自入手ルートから、商品として横流し的に原料販売をしているだけだった、ということがわかりました。
そういった企業は安全性を示す充分なデータを所持していないことも多く、原料の組成や作用のメカニズムに関しても納得できる説明ができません。「お医者さんが使っている原料だから」「海外で認められている原料だから」など、首をかしげたくなるような説明で押し通そうとします。 しっかりと安全性を示せる原料メーカーと取引することが、安全安心の製品をお届けすることに繋がります。
原料の調達におけるリスク
使用する機能性原料次第になりますが、以下のようなリスクが存在します。
・最低発注量が多く設定されている
・海外など遠方からの輸送代がかさむことがある
・OEMメーカーによっては調達が難しく、「お客様の方で調達した原料を支給して欲しい」と要求される
・希少な原料の場合、流通量が少ないために販売が突然終了するかもしれない
原料の消費が多ければ、その分安定的に供給される傾向にありますが、消費が多くない原料、特に希少性の高い原料は供給も不安定です。場合によっては、「ビジネスに貢献しない」とみなされて製造が打ち切られ、日本市場での流通が止まることもあり、海外では前触れなしに製造・販売が終了するという事態も起こり得ます。
もし原料の供給が止まると、商品の製造に直結するため、今後の計画を考え直す必要性が出てきます。原料の在庫が豊富にあれば多少の猶予はありますが、遅かれ早かれ、原料の在庫が無くなった後を考えなければなりません。
原料の変更をする場合、影響範囲は多岐に渡ります。適切な代替原料を探す労力と時間や広告表記などです。広告で「◯◯産の▲▲成分」と原料を特定しているにも関わらず、差し替え後の原料がそれに沿わない場合は対応が必要になります。一般の化粧品で、まったく同じ表示名称の代替原料が見つかればパッケージの全成分表示に影響はありませんが、中身は異なる原料なので、安定性に支障が出ないかなどの確認は必要となります。
機能性原料の例
機能性原料の具体例をいくつかご紹介します。
・ヒアルロン酸
・コラーゲン
・レチノール
・ツボクサ(CICA/シカ)
ヒアルロン酸、コラーゲンは以前より認知度が高い成分ですが、レチノール、CICA(シカ)は近年になって注目度が高まっているものです。使用する成分次第で、肌のお悩みはもちろん、ターゲットとするユーザー層も異なるため、どのような化粧品を製造するかによって慎重に検討しましょう。
成分の詳細については、以下の記事で解説していますので、こちらをご覧ください。
まとめ
いかがでしょうか。今回は、化粧品OEMにおいて機能性原料を使うメリットと、注意すべきポイントについて解説しました。
機能性原料は、他社との差別化を図り、商品のPRをする上で有効ですが、一方で注意すべき点やリスクが存在します。信頼できる原料メーカー、原料ディーラー、原料を審査できる製造会社を見極め、取引することをお勧めします。
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