アフィリエイト広告と薬機法について。問題点や違反対策を考える

  • 2020.10.01

アフィリエイト広告と薬機法等の法規制について

そもそも薬機法(旧:薬事法)とはどんな法律?

化粧品や健康食品などにおいて、その商品の魅力を紹介するために、効果効能を言及したり、複数の商品を比較したりするようなアフィリエイト広告は、薬機法含めた法規制に違反する恐れがあります。
アフィリエイト広告について、そしてそれがどんな法律と関連しており、規制対象となるのかを確認していきましょう。

アフィリエイト広告について

アフィリエイト広告とは、インターネット上の広告手法の一つで、ウェブサイトやブログなどで商品やサービスを紹介し、それによって商品が購入された場合に広告主から報酬を得る仕組みのことを指します。

この「ウェブサイトやブログなどで商品やサービスを紹介する」といった広告手段を行う者を「アフィリエイター」と呼びます。そして、広告主とアフィリエイターの間で仲介する存在が「ASP(代理店)」になります。つまり、アフィリエイト広告にまつわる登場人物として、一般的に「広告主」、「アフィリエイター」、「ASP(代理店)」、「消費者」が存在します。

なお、広告主とASP(代理店)間でアフィリエイトの委託契約を締結し、ASP(代理店)とアフィリエイター間でパートナー契約を締結するため、広告主とアフィリエイターの契約関係は無いのが一般的です。

以上の関係性でアフィリエイト広告が制作・表示されますが、アフィリエイターによる薬機法等の違反については、広告主やASP(代理店)が処罰の対象となるため、広告主として薬機法等の関連法規を理解する必要があるでしょう。

薬機法(旧:薬事法)

  • 略称:医薬品医療機器等法
  • 正式名称:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律
  • 管轄省庁:厚生労働省が管轄


薬機法とは、化粧品や薬用化粧品の定義、安全性や有用性の確保のため、製造から販売、市販後の安全対策までの規制を定めたものです。2014年11月の「薬事法」改正の際に、名称も合わせて変更となりました。

薬機法には化粧品をPRするための表示のルールや、化粧品の安全性を守るためのルールついても記載があります。この薬機法に紐づき定められている「医薬品等適正広告基準」では、虚偽・誇大にならないように適正を図ることを目的として、すべての媒体における広告を対象に基準が策定されています。例を挙げると、効能効果の範囲や、医療関係者の推せん広告不可などです。

この基準をさらに化粧品について具体化したものが、日本化粧品工業連合会によって作成された「化粧品等の適正広告ガイドライン」です。

参考:
厚生労働省 医薬品・医療機器ページ
日本化粧品工業連合会 化粧品等の適正広告ガイドラインページ

景品表示法

  • 略称: 景品表示法(景表法)
  • 正式名称:不当景品類及び不当表示防止法
  • 管轄省庁:消費者庁

景品表示法とは、消費者の利益保護を目的として、消費者がいい商品・サービスを安心して選ぶことができる環境を守るための法律です。

事業者側に故意・過失がなくとも、行政処分の対象となる場合があります。景品表示法の規定に基づき、化粧品の表示に関する事項を定めたものが「化粧品の表示に関する公正競争規約」です。容器やパッケージに記載する内容について、フォントサイズも含めて案内されています。他にも使用する目的を消費者にわかりやすく伝えるための種類別名称や、商品に関する責任を追う製造販売元の記載などが定められています。

薬機法と景品表示法の違い

薬機法は医薬品・化粧品・医薬部外品、医療機器及び再生医療機器が「医薬品等」にあたり、品質や安全性有用性の確保・保健衛生上の危害発生及び拡大の防止のための規制です。

一方の景品表示法は、消費者が自主的かつ合理的な商品選択と消費者利益の保護が目的で、食品などの化粧品以外も対象になります。

その他関連法規

アフィリエイト広告に関連する法律として、他にも「著作権法」や「不正競争防止法」、「消費者契約法」などが挙げられます。

著作権法:第三者の著作物を無断で使用することが禁止されています。アフィリエイト広告においては、「他人の写真」「他サイトの文章・画像」「映画やアニメなどのコンテンツ」などを無断で使用する行為が該当します。

不正競争防止法:事業者間の公正な競争を保護する法律で、不正な手段で利益を得る行為を禁止しています。アフィリエイト広告においては、「他社の信用を失墜させるような情報提供」「消費者を誤認させるような表示」などの行為が該当します。

消費者契約法:消費者の利益を守るための法律で、不適切な勧誘や誤解を招くような表現が禁止されています。

このほか独占禁止法や商標、個人情報保護法なども関わるため、総合的な判断が必要です。また、業界ルールとして、化粧品表示に関するルールは医薬部外品にも適用することが推奨されています。

アフィリエイト広告の現状と問題点

アフィリエイト 広告 アフィリエイト広告の問題点 国内初の逮捕事例

アフィリエイト広告において問題点がたびたび指摘されており、その問題点をアフィリエイト広告にまつわる現状から紐解いていきましょう。

アフィリエイト広告の背景と現状

アフィリエイト広告は、インターネットが一般化し始めた1990年代から存在しており、インターネットの普及とともに発展してきた歴史があります。従来のアフィリエイト広告は主にウェブサイトを運営する個人や企業を中心に、文章で訴求していましたが、近年ではSNSの普及に伴ってインフルエンサーやユーチューバーなども参加するようになり、ビジュアル重視の訴求ができるようになりました。

このようなアフィリエイト広告の発展に伴い、アフィリエイトパートナーの参加者が増加したことで、アフィリエイターによる法律違反の問題も発生しているのが現状です。

アフィリエイト広告の報酬システムとして、広告のクリック数に応じた「クリック報酬型」、消費者の購入件数に応じた「成果報酬型」などがありますが、いずれも歩合制であるため、報酬額を増やすために虚偽・誇大表現などをしてしまう恐れがあります。

そのような背景から、薬機法違反などを取り締まる法規制の強化がされており、アフィリエイターのみならず、広告主やASP(代理店)も処罰の対象です。また、直近ではデータプライバシーやフェイクニュースなど、新たな課題も浮上しており、業界の進化と改善がさらに求められています。

問題点①広告内容を十分に把握できない

アフィリエイト広告の背景や現状を踏まえて、問題点はどこにあるのでしょうか?まず、広告主やASP(代理店)が広告内容を十分に把握できておらず、表現規制の対応が後手に回ってしまっているということです。

アフィリエイト広告はかつては「薬機法の表現規制の対象外」との考え方が一般的でしたが、2016年6月30日に消費者庁が制定した「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意点について」の中で、アフィリエイトサイトが薬機法や景品表示法の表現規制の対象となることが明記され、今後は広告主の責任を積極的に追求していく動きがみられました。

そして2020年7月、サプリECを運営する通販企業の従業員や広告代理店社長らが、医薬品医療機器等法違反の疑いで逮捕されるという事件が起きました。同社の従業員らは、医薬品として承認されていないサプリメントについて「肝臓疾患の予防に効果がある」などと広告に表示した疑いがあるとの容疑です。

この件では、広告主および代理店が刑事罰の対象になりました。つまり、「アフィリエイターが知らないところで悪いことをやっていました」では済まされないということです。

上述したように、広告主とアフィリエイターとの間で契約関係が無いことに加えて、ASP(代理店)も数多のアフィリエイターを抱えており、
監督が行き届かないことがあるため、苦情があって初めて対応するという場合があります。

以上を踏まえて、広告内容の把握はもちろん、薬機法違反対策が持続的に可能な社内体制や社外関係者との体制を構築することも課題と言えるでしょう。

問題点②広告費の高騰

本来は成果報酬で広告費を安く抑えるためのアフィリエイト広告ですが、近年では広告費用が高騰していることも問題視されています。

アフィリエイト広告の需要の増大は、広告主やアフィリエイターも増えて競争が激化することを意味し、広告スペースの確保が難しくなっています。また、アフィリエイト広告は効果測定が容易である特徴があるため、広告主からの評価が高く、需要に拍車がかかっている状況があります。さらに、広告主がアフィリエイト広告による成果を重視し、成果報酬型の広告費が増えると、入札競争が発生して広告費全体も高騰する事態も発生します。

このように、アフィリエイト広告の広告費高騰は、広告市場の競争の激化や広告効果の見える化、広告主の成果重視など、複数の要因によって引き起こされていると言えます。

薬機法等の法令違反を避けるためにすべきこととは?

違反を避けるためにすべきこととは?

訴求内容に違反事項がないか注意する

紙面全体やランディングページ(LP)全体を見て、誤解を与えないか、薬機法を違反していないか確認することが大切です。薬機法の観点だけではなく、「消費者がどのように受け取るのか」を考え、事実に反する内容や実際よりも優良にみえる表現はしないよう、注意が必要です。

よくある事例は、「ヒアルロン酸配合!※」に「※加水分解ヒアルロン酸(保湿)」といった注釈のヌケモレです。ヒアルロン酸は有効成分ではありませんが特別に訴求したい成分にあたるため、配合目的と成分の特記表示が必要です。

この他にも、「角層まで浸透!」を訴求する際、文言は問題なくとも、「イメージ画像が角質層を超えているため不適切」とみなされるなどのケースがあります。

アフィリエイト広告以外のプロモーション手法を検討する

アフィリエイト広告と薬機法違反における問題を受けて、新たな動きも出始めています。ここでは、例として2つ紹介します。

一つ目は、自社でのコントロールが難しいアフィリエイトに代わり、SNSを積極的に活用したり、SNS広告を実施するインハウス化の流れです。

Instagramなどではテキストではなくビジュアルで表現できる点が、薬機法との兼ね合いからも有効です。なによりSNSは消費者一人ひとりが発信者となってくれることが魅力。うまく活用すれば、何気ない口コミから、思わぬヒットが生まれる可能性があります。

二つ目は、自社でインフルエンサーと共同のブランドを作り、ペイド広告(有料広告)ではなくファンに向けたメディアを立ち上げる流れ(PtoC,P2C)です。

これまでアフィリエイトで外出ししていた機能と効果を自社に取り込み、コントロール可能な状態で自社ブランドへのファン化を促す、という試み。すでにいくつかの企業が取り組みを開始しています。

【関連情報】
>P2Cとは?~インフルエンサーとの商品開発・販売戦略のメリット・デメリットとリスク回避の6つのポイント

無料EC・通販で「売れる商品」を開発する! 7つのポイント

まとめ

いかがでしょうか。EC・通販の広告手法として、アフィリエイト広告は根強い支持を長きに渡って受けてきました。インターネット広告費全体は年々増加傾向にあり、需要が増大することも予想できます。

しかし、アフィリエイト広告の規制強化、薬機法違反による処罰、広告費高騰などの問題。近年の状況の変化による今後の課題は明らかで、これまで以上にクリーンな運営が求められます。自社だけでの対応に不安がある場合は、専門家や弁護士に相談されることをオススメします。

無料EC・通販で「売れる商品」を開発する! 7つのポイント

商品開発に携わってきた東洋新薬の視点から、過去実際に「売れた商品」に共通した7つのポイントを、ご紹介します。

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※1:日本製薬団体連合会ホームページ、医薬品等承認情報に基づき集計。調査期間:2016年1月1日~12月31日(当社調べ)
※2:消費者庁2023年1月20日発表情報より作成【許可取得実績数300件】
※3:消費者庁公開情報の製造受託を主たる業務とする企業の届出情報を基に、届出件数、独自エビデンス数を抽出・集計。(2022年8月31日時点、自社調べ)

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