【事例あり】化粧品商品開発トレンド「ロンジェビティ」-エイジングケアから“美の長寿”へシフトする新市場の攻略法

  • 2025.12.24

この記事で分かること

  • 美容業界の世界的トレンド「ロンジェビティ」の定義と市場背景
  • 従来の「アンチエイジング」との違いと、消費者が求める新たな価値観
  • 日本市場におけるこれまでの変遷と、先行するブランド事例
  • 商品開発に活かすための「ウェルネス」や「インナーケア」の視点

世界の美容業界で注目のキーワード、「ロンジェビティ:Longevity」。これまで主流だった「アンチエイジング:抗老化」「若返り」から、「肌が長く健やかに機能し続けること」へとシフトする価値観の変化は、今後の商品開発において見過ごせない、大きなビジネスチャンスと言えます。

そこで本記事では、ロンジェビティについての国内外の動向やトレンドの背景、そして具体的な商品開発へ落とし込むためのポイントを、OEMメーカーの視点を交えて分かりやすく、詳しく解説します。

ロンジェビティ:Longevityとは?

化粧品・スキンケアの分野における定義

「ロンジェビティ:Longevity」とは、直訳すると「長寿・長持ち」を意味する言葉です。しかし、近年の化粧品・スキンケア分野においては、単に寿命が長いことではなく、以下の意味で用いられる重要なコンセプトとなっています。

年齢を重ねても「肌が元気に、健やかに、若々しい状態を保つ」こと

これまでの対処療法的なケアだけでなく、細胞レベルでのアプローチや、加齢・環境ストレスに対する予防的なケアを含んだ、「肌そのものが長く健やかであるための包括的なケア」として定義され、世界的なトレンドとなっています。

具体的な商品としては、Lancôme(ランコム)やVichy(ヴィシー)などのグローバルブランドが、すでに「ロンジェビティ」を謳ったクリームなどを展開しています。これらは細胞修復、DNAダメージケア、コラーゲン・エラスチン生成などに着目し、従来の「Aging(老化対策)」から「Longevity(長く健やかに)」へと、訴求の軸を移しているのが特徴です。

Googleトレンドなどの検索データを見ても、その関心度は着実に上昇しており、一過性のブームではなく定着する動きであることが読み取れます。

Googleトレンドの検索データから確認することができる。
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なぜいま、「ロンジェビティ」がトレンドなのか

美容業界でこのキーワードが注目を集めている背景には、大きく分けて4つの理由が挙げられます。

1.「健康寿命」への意識の高まり

世界的な平均寿命の延伸に伴い、「ただ長生きする」だけでなく、「年齢を重ねても元気で若々しくありたい」というニーズが急増しています。

2.「アンチエイジング」からの価値観シフト

従来の「アンチエイジング(老化を止める・戻す)」という、老化を否定するような考え方が見直され始めています。「老化そのものを否定せず、いかに健やかで美しい状態を維持するか」「老化の質を良くするか(Successful Aging)」というポジティブな方向へ変化しています。

3.科学技術(サイエンス)の発展

細胞生物学、遺伝子研究、バイオテクノロジーなどの進化により、スキンケア商品が「長期的な肌の状態」を科学的にターゲットにできるようになってきました。

4.美容とウェルネスの融合

美容がウェルネス(健康)という文脈で語られることが一般的になり、単に「見た目」を変えるだけでなく、「肌機能の健全化」を重視する流れが強まっています。

この流れは今後も加速すると予測され、特に2024年から2025年にかけて、コスメ・スキンケア業界内の「次の主要カテゴリ」になると位置づけられています。大手ブランドも研究開発を強化しており、商品投入が活発化しています。

消費者目線でロンジェビティを捉える、4つのポイント

こうしたトレンドを踏まえ、消費者が実際に化粧品選びやスキンケアを行う際に、どのような点を重視するようになるのか、商品開発のヒントとなる4つのポイントを紹介します。

①成分や技術に着目する(サイエンス重視)

「ロンジェビティ」を謳う商品では、これまでの一般的な保湿成分などに加え、より高度な研究テーマが取り入れられる傾向にあります。

  • 細胞環境の健やかさを保つ発想
  • ミトコンドリアの活性化
  • DNAへのストレスに着想を得たアプローチ
  • 老化細胞(ゾンビ細胞)対策 など

開発担当者としては、こうした先端のサイエンスに基づいた成分選定が差別化の鍵となります。

②年齢だけでなく「肌状態」や「ライフスタイル」を見直す

「〇〇代向け」といった年齢によるセグメントだけでなく、環境ストレス、生活習慣、紫外線、睡眠、栄養など、「肌が長く健やかであるための要素」全体を意識した提案が求められます。

ライフスタイル全体に寄り添うコンセプト設計が重要です。

③コストとのバランス

現在は高価格帯のプレステージブランドが先行して「ロンジェビティ」を打ち出していますが、将来的にはマス向けブランドや中価格帯コスメにも波及することが予想されます。

早い段階でOEMなどを活用し、コストパフォーマンスと高機能を両立させた商品を開発することで、市場の先行者利益を狙える可能性があります。

④エビデンスに基づいた誠実な表現

新しい用語であるため、「これを使ったら若返る・老化しない」といった誇張表現には注意が必要です。

消費者のリテラシーも高まってきているため、商品説明、配合成分、そしてそれを裏付けるエビデンス(科学的根拠)をきちんと提示できるかどうかが、ブランドの信頼性を左右します。

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日本ではいつ頃から「ロンジェビティ」が注目されはじめた?

日本は世界でも有数の長寿国であり、「年齢を重ねても美しくありたい」という意識は根強くありました。しかし、「ロンジェビティ」という言葉や概念がマーケティング用語として定着するまでには、いくつかの段階を経ています。

日本市場における注目の変遷

日本の化粧品・スキンケア分野で「長く健やかに・若々しくあり続ける美容」という考え方が本格化したのは、2000年代後半から2010年代前半にかけてと考えられます。

~2000年代後半:「アンチエイジング」の拡大

この頃、「ロンジェビティ」という言葉はまだ一般的ではありませんでした。市場では「アンチエイジング(抗老化)」や「年齢肌ケア」が急拡大しており、2007年~2009年にかけてアンチエイジングを謳う新商品数が約85%増加するなど、「老化に抗う」ケアが主流でした。

2008年頃~:「成熟世代」へのターゲットシフト

団塊ジュニアやシニア層を明確にターゲットにした「40代以上向け」ブランド(カネボウ化粧品「CHICCA」など)が登場しました。「無理な若作り」ではなく、「今の年齢を美しく」という、ロンジェビティに通じる価値観が芽生え始めました。

2010年代:「未来への投資」という発想

資生堂「フューチャーソリューション LX」などが登場し、老化メカニズムの研究が進みました。「未来の肌まで健やかに保つ」という、持続性を意識したメッセージが増加し始めました。

2020年代~現在:「ロンジェビティ」の顕在化

「肌寿命」「細胞寿命」といったキーワードが登場。資生堂の「ロンジェネビティ サイエンス™」やロレアルの動きなど、科学的知見に基づいた「ロンジェビティ」が明確な開発テーマとなっています。

なぜ日本でこの概念が注目されたのか

この背景には、急速な高齢化とライフスタイルの変化があります。

活動期間の延伸:

定年後も長く働く、趣味を楽しむなど、社会参加の期間が延びたことで、「ただ若く見える」だけでなく、「歳を重ねても健やかで美しくありたい(高いパフォーマンス:肌機能を維持したい)というニーズが生まれました。

価値観のシフト:

少子高齢化に伴い、化粧品各社が成熟世代(40~60代)の消費力に注目。「若返り(Rejuvenation)」だけでなく、「年齢を重ねた美しさ(Positive Aging)」を肯定する文脈が受け入れられる土壌が整いました。

国内での先進的なブランド事例

日本国内で「ロンジェビティ(longevity):長く健やかに、美しくあり続ける肌」を意識したブランド・化粧品を年代別に紹介します。

資生堂(フューチャーソリューション LX)

「長く健やかに美しく」というケアを「未来を見据えたエイジングケア/持続的美肌」という形で商品化。
日本国内で「ロンジェビティ的」な考え方を商業化してきた代表的ブランド。

  • 時期: 2009年に「フューチャーソリューション LX」シリーズとして誕生。
  • 特徴: 皮膚科学と植物研究を融合して、「未来へ向けて美しさを高めていく」というコンセプト。
  • 最近の展開: 「ロンジェネビティ サイエンス™」という表現が登場して、「年齢を重ねても、美しくあり続ける肌」を目指す姿勢が明示されている。

ロレアルグループ

グローバルでロンジェビティ(longevity)の概念を積極的に推進、日本市場でもその動きが見られる。
ブランドというより概念や研究領域の拡張で、日本で「ロンジェビティ(longevity)」という言葉が明確に使われ始めた。

  • 時期: 2025年6月、「美を、長寿を構成する重要な柱の一つとして確立」すると発表。
  • 特徴: 「ロンジェビティ インテグレイティブ サイエンス™」という名称を用いて、肌細胞の健康寿命を延ばすことを目指した展開になっている。
年代別のまとめ
年代 主な動き・ブランド例
~2000年代後半 まだ「ロンジェビティ(longevity)」という言葉は明確になっていない。
市場では「アンチエイジング」「年齢肌ケア」が拡大。
2009年 資生堂が「フューチャーソリューション LX」シリーズを発売。
将来の美を意識したラグジュアリーエイジングケア。
2010年代 機能・技術の高度化、40〜50代以降をターゲットとしたスキンケアアイテムが増加して、老化メカニズムケアの意識が高まる。
2020年代 「ロンジェビティ(longevity)」「肌寿命」「長く健やかにあり続ける肌」といった言葉が、研究内容・製品メッセージ・化粧品原料の領域でも出てくるように。
(例:資生堂「ロンジェネビティ」、ロレアル「ロンジェビティ インテグレイティブ サイエンス™」など。)
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ウェルネス視点で考える「美容ロンジェビティ」

ロンジェビティを語る上で欠かせない「ウェルネス」

ロンジェビティを語る上で欠かせないのが、「ウェルネス(Wellness)=心身の健康と調和した美」という視点です。 「肌だけ」をケアするのではなく、食事・睡眠・メンタルヘルスを含めたトータルケアが、結果として「美の寿命」を延ばすという考え方が主流になっています。

「美容ロンジェビティ」と「ウェルネス」の相関関係

現代の消費者は、美容を「健康寿命の延長線上にあるもの」と捉えています。

  • Longevity(質の向上): 単に「長く生きる」だけでなく、「いかに健やかで美しく生きる」か。
  • Wellness(調和): 身体・心・社会・環境のバランス。

この2つは密接にリンクしており、ウェルネス的アプローチ(生活習慣の改善)が、肌のロンジェビティ(機能維持)にダイレクトに影響します。各ウェルネス要素が肌へ与える影響と、開発のヒントは以下の通りです。

1. 睡眠

肌への影響: 成長ホルモンの分泌、細胞修復。
開発のヒント: 睡眠不足は肌寿命を縮める最大要因となります。「夜間美容」「ナイトリペア」といった訴求の強化が有効です。

2. 栄養

肌への影響: 抗酸化物質による細胞酸化の抑制。
開発のヒント: 「食べるスキンケア」として、内外美容(化粧品+サプリメント)の提案が求められています。

3. ストレスケア

肌への影響: コルチゾール過剰分泌(炎症・老化)の抑制。
開発のヒント: 香りによるリラックス効果や、自律神経を整えるテクスチャーの研究が差別化につながります。

4. 運動

肌への影響: 血流改善、ミトコンドリア活性化。
開発のヒント: 細胞のエネルギー代謝に着目した成分配合がネクストトレンドです。

ウェルネス要素 肌への影響 ロンジェビティ的な観点
睡眠 成長ホルモン分泌・細胞修復・ターンオーバー促進 睡眠不足は肌寿命を縮める最大要因。
十分な睡眠(目安7時間前後)が重要。
栄養 抗酸化物質(ビタミンC、E、ポリフェノール等)が細胞酸化を防ぐ 「食べるスキンケア」。
地中海食・発酵食が注目されている。
ストレスケア コルチゾール過剰分泌は炎症・乾燥・老化を促進 瞑想・呼吸法・森林浴で自律神経を整えることが大切。
運動 血流・代謝アップで肌への酸素供給増 「ミトコンドリア活性化」により細胞エネルギー寿命を延ばすことが期待できる。
紫外線対策 DNA損傷・酸化を防ぐ SPFだけでなく、抗酸化スキンケアや飲む日焼け止めも有効。

インナーウェルネスという、新たな市場機会

注目すべきは、化粧品ブランドが「サプリメント(内側)+スキンケア(外側)」のクロスセルを提案し始めている点です。腸内環境や細胞エネルギーへのアプローチは、塗布する化粧品だけでは限界があるため、インナーケア商材はロンジェビティ市場において強力な武器になります。

注目されるインナーケア成分例
NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド) 細胞のエネルギー源を活性化し、肌・体の若さをサポート。
レスベラトロール(赤ワインポリフェノール) サーチュイン遺伝子(長寿遺伝子)を活性化。
アスタキサンチン/コエンザイムQ10/L-カルノシン 抗酸化・抗糖化により細胞寿命の延伸に貢献。
プロバイオティクス(腸活) 腸内フローラのバランスを整え、肌炎症・くすみを抑える。

特に、プロバイオティクス(腸活)は市場が拡大しており、注目度が高まっています。

「ロンジェビティケア」という言葉自体はまだ一般的ではありませんが、「ビューティー・サプリメント」「メディテーション系アプリ」「温活・睡眠改善グッズ」など、「ウェルネス美容」の柱として人気になっています。

ウェルネス×ロンジェビティに関する大手化粧品ブランド事例

資生堂:

「ライフクオリティビューティー」構想を打ち出し、心身の健康と美の関係を科学的に研究

ファンケル:

「未病」発想のビューティーサプリ開発。腸・血流・ストレスケアを美容と結びつけている

今後も、インナーウェルネスとロンジェビティ美容の融合が進み、より多角的なアプローチが広がっていくと考えられます。

まとめ

いかがでしょうか。本記事では、美容業界の新たな潮流「ロンジェビティ:Longevity」について解説しました。

  • 目指すのは「若返り」ではなく、「肌が長く健やかに機能し続けること」
  • 背景には、世界的な健康寿命への意識と、サイエンスの進化がある
  • 商品開発においては、「ウェルネス(インナーケア)」や「ライフスタイル」を含めた包括的な提案が鍵となる

ロンジェビティは、単なるマーケティングの流行語(バズワード)にとどまらず、これからの化粧品開発における「新・標準(ニューノーマル)」になっていくと考えられます。

消費者のリテラシーが高まる中、確かなエビデンスに基づいた成分選定や、独自性のあるコンセプト設計がこれまで以上に求められています。

「ロンジェビティ」をテーマにした高付加価値な化粧品・健康食品の開発をご検討の際は、最新の原料トレンドと製造ノウハウを持つ東洋新薬へ、ぜひご相談ください。貴社のブランド価値を高める「長く愛される商品づくり」をトータルサポートします。

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※1:日本製薬団体連合会ホームページ、医薬品等承認情報に基づき集計。調査期間:2016年1月1日~12月31日(当社調べ)
※2:消費者庁2024年8月15日発表情報より作成【許可取得実績数300件】
※3:消費者庁公開情報の製造受託を主たる業務とする企業の届出情報を基に、届出件数、独自エビデンス数を抽出・集計。(2024年5月31日時点、自社調べ)

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