商品開発時におさえておきたい特許・商標の有効性と侵害リスク
- 2020.12.16
商品開発において「他社との差別化をいかに図るか」は非常に重要です。
その方法の1つとして、「商標」及び「特許」を用いた他社との差別化があります。
今回は、その概要および商品開発への応用法について、実例を交えて解説します。
>他社との差別化を図るポイント①~原料の選び方&付加価値の高め方
- 目次
- 1.「商標」「特許」とは?
- 2.「商標」「特許」の商品への応用
- 3.他社の「商標」「特許」侵害のリスク
- 4.まとめ
「商標」「特許」とは?
「商標」「特許」は「知的財産」のひとつ。知的財産とは、人の知的創作活動により生み出されたアイデア・技術などのうち、価値ある情報のことで、「商標」「特許」以外に、「実用新案」「意匠」「著作物」などがあります。
これらを保護する権利が「知的財産権」。ネーミング、技術や思想、アイデアなど、「形のないものを保護する権利」です。
<それぞれの権利とその対象>
・商品名、ブランド名 | ⇒ | 商標権 |
・技術的アイデア、発明 | ⇒ | 特許権 |
・物品の形やデザイン | ⇒ | 意匠権 |
・イラスト、写真、論文等 | ⇒ | 著作権 |
「商標」「特許」の商品への応用
ここからは「商標」「特許」の商品への応用について、実例を交えて解説します。
●「商標」の商品への応用
お客様は商品を購入する際、商品名、ブランド名などを手掛かりにして商品を選んでいます。
商品名やブランド名は商標権によって保護できますが、商標登録をしていないと、第三者が同じ商品名やブランド名を勝手に使用することを阻止するのは困難です。
それだけでなく、品質の劣る商品が同じ商品名で販売されると、消費者は本来の商品と混同するため、著しく評判は下がってしまい、商品やそれを販売している企業のイメージや信用が大きく損なわれます。しかし、商標権を登録していれば、勝手に登録商標を使っているとして使用を中止させたり、損害賠償を請求したりできます。
このように商品名やブランド名などを第三者が勝手に利用するのを防ぐ意味で商標登録を行い、知的財産権を確立しておく必要があります。
●「商標」の応用事例
男前豆腐店「水もしたたるいいトーフ」「風に吹かれて豆腐屋ジョニー」他
男前豆腐店(株)は、印象的な商品名を考案し「男/男前豆腐/その心意気が男前/水もしたたるいいトーフ」(商標登録第4792262号)、「風に吹かれて豆腐屋ジョニー」(商標登録第4833751号)などを商標登録しています。記憶に残りやすい商品名で、消費者の認知を獲得した好例です。さらに、商品の品質(味)も他社との差別化をはかることで消費者からの信頼を得て、ブランド化に成功しています。
明治おいしい牛乳「ナチュラルテイスト製法」
(株)明治は、新鮮なおいしさに近づけるための牛乳の製法で特許を取得(特許第3083798号、特許第3091752号)し、その製法を「ナチュラルテイスト製法」の商標として登録しています(商標登録第5397255号)。このように差別化が難しいとされる商品カテゴリであっても、商品名以外の名称を想起させることにより、商品を特徴づけることができます。
資生堂 「美白美容液V HAKU メラノ機能体」
(株)資生堂は、2種の美白有効成分「4-メトキシサリチル酸カリウム塩」と「トラネキサム酸」を独自の処方で組み合わせたものを「抗メラノ機能体」(商標登録第5484821号)と呼び、美白美容液Vに配合しています。個々の成分は難しい成分名ですが、機能をイメージできる名称を別につけることで、商品の訴求力を高めています。
●特許の商品への応用
発明の内容を記載した書面を特許庁に提出(出願)して、特許庁の審査をクリアすると特許が取得できます。特許取得により、出願から20年間、その発明を独占できます。
他社と差別化した独自性のある商品を市場に投入すると模倣品の脅威に晒されますが、特許を取得することにより、最長で20年間その発明を独占できるため、他社による模倣品を排除して商品の独自性を維持することができます。
さらに、特許の発明を利用した商品について市場を独占できるため、価格競争に陥ることなく独占的な利益を得ることができます。
また、特許は、素材について新しい用途(効能効果)や新しい製造方法を見出した場合など、これまでにない新しい発明に対してのみ認められるため、特許の取得は独自性と技術力の高さの裏付けとなります。特許取得を商品の広告などに記載することにより、素材や商品の独自性や技術力の高さをアピールできるため、商品の付加価値を向上させることができます。
さらに、「特許取得」の付加価値がつくことで販促時の訴求力が高まり、その商品がより魅力的に受け取られる効果が期待できます。
●特許の応用事例
東洋新薬
• 「特許第6646692号」は、商品に配合する素材である大麦若葉末の肌の保湿等美肌に関する東洋新薬の特許です。特許権者より購入した大麦若葉末を使用しなければ肌の水分量の用途を訴求できません。用途に関する特許は、特定保健用食品や機能性表示食品など効能効果を訴求する食品において、市場独占性を高めています。
• 「特許第4977024号」は、商品に配合する素材である松樹皮抽出物の製造方法に関する東洋新薬の特許です。特許取得済の独自技術を用いた素材であるため、独自性が高く、他社との差別化を図ることができます。
このように「商標」「特許」を取得することで、「守り:他者による模倣品の製造・販売の牽制と防止」と「攻め:他社商品との差別化や販売促進販促に有効)」の両面が強化できるのです。
他社の「商標」「特許」侵害のリスク
これまで「商標」「特許」を取得するメリットを紹介しましたが、商品開発時には、他人の商標や特許に抵触しないように注意する必要があります。
他人の商標権及び特許権を侵害した場合の代表的なリスクとしては、「差止請求権」や「損害賠償請求権」の行使があります。
商標権に基づき差止請求権を行使された場合には、商品名やパッケージの変更が必要となります。
特許権に基づき差止請求権を行使された場合には、商品の販売を中止する、もしくは特許に該当しないように商品を変更することが必要となります。
そして、商標権や特許権に基づき損害賠償請求権を行使された場合には、損害賠償金の支払いが必要となります。
商品開発時には、自社の商標や特許に注目するだけでなく、他社の商標・特許にも十分、注意しましょう。個人でも「商標」「特許」の調査が可能なサイトもありますので、活用しましょう。自社で調査が難しい場合は、弁理士などの専門家に相談することをおすすめします。
参考)
J-PlatPat <特許情報プラットフォーム>
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/
まとめ
いかがでしょうか。今回は「商標」「特許」の取得の有効性と、侵害リスクについて解説しました。
「商標」「特許」は誰でも見ることができる情報ですが、扱いには専門的な知識や経験が必要です。当社には商標や特許を扱う専門の部署があり、さまざまな「商標」「特許」を多数取得しています。
商品開発で「商標」「特許」に関してお悩みの際は、ぜひお気軽に東洋新薬までお問い合わせください。
東洋新薬は健康食品・化粧品業界を陰で支えるODEM(ODM&OEM)メーカーとして、世界の人々の『健康と美』への期待に『価値』で応えていくことをミッションとしています。 本サイトでは通販ビジネスにかかわるすべての皆様に様々な情報をお届けしています。
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